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【第一部】 5章
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やばいドキドキしてきた。
「ちー、大丈夫?」
「ん。大丈夫、だと思う。」
今日はついにきてしまった初診の日。
「牧野 千秋さん、こちらはどうぞ。」
「は、はい!
空、行ってくる。」
「うん。きつくなったらすぐ戻っておいで。」
---コクリ
「こんにちは。 担当させてもらいます。結城 達也と言います。」
「結城先生。」
「今日は千秋さんのことを知りたいなって思うし、僕のことも話そうと思うんだけど、いいかな?」
「はい。」
こういうの、根掘り葉掘り聞かれるのかと思ってた。
でも違った。
好きな食べ物の話から始まって、今は空の話ばっかりしている。
「空が小さい頃は、人参食べれなくて、10歳ぐらいの時に人参のサラダ出したらこの世の終わりみたいな顔してて!」
「ふはっ、その顔見てみたかったよ。僕の弟も嫌いなピーマンが出るとすごく嫌な顔してたよ。」
こんな感じでほんとにただ話してるだけ。
しかも俺が話しやすいように相槌うってくれるしちょっと詰まっちゃったら先生のこと教えてくれて、話しやすい。
「あ、もう時間だね。また2週間後、お話ししにきてください。」
「はい。なんか、思ってたのと違った。俺ちゃんと通うよ。」
---ガラガラッ
「ちー!!どうだった??」
「嫌じゃなかった。嫌なこと聞かれなかった。俺さ、ちゃんと通う。」
「うん。できる限り僕もついてくるから。それに嫌になったらいつでもやめていいんだからね。」
「何回も聞いたよ。ほら、デートして帰ろ?」
「ん。なんか食べに行く?」
「俺、パンケーキってやつ食べてみたい。」
「パンケーキか。僕も食べたことないや。食べに行こ!!!」
「ちー!すごいよ!ふわふわ!」
「だな。めっちゃ美味しい。」
「ね!美味しいよね!」
「ほら空、俺のいちごあげる。あーして」
「っぅぇ!? あ、あーんしてくれるの!?」
「はやくしねえとあげねえぞ」
「やだやだ!!あーー!」
「はい。」
「おいしい!ちー!ちーも僕のマンゴー食べる?」
「ん。あー」
あ、マンゴーも美味い。
「ちー美味しそうに食べてるの見るの幸せ。」
「俺も、幸せ。」
「ねえ空、ここまた来ようね。おいしかったから。」
「うん。他にも美味しそうな店探しとく。」
俺の彼氏ほんとに、できすぎてない?
「空、俺さ、ちょっと怖かったんだ。」
「怖かった?」
「うん。病院行くのもだけど、自分と向き合ったり、自分を出して誰かに頼るの、怖かった。」
「うん。」
「でも空にさ、思ってたこと言ったときに空が、なんて言葉かけていいかわからないって言っただろ?その時にさ、そう言って抱きしめてくれただけで安心したんだ。それにさ、その時に気づいた。自分の嫌なとこもさらけ出しても包み込んでくれる人いるって。」
「っっ、うん。」
「だから俺、ちゃんと頼る。空には何でも話す。空には俺のことちゃんと知ってて欲しい。」
「うん。うん。」
「8月にある顔合わせ、俺がしんどくなったら、守ってください。」
「うん。もちろん、ちー、ありがとうそう言ってくれて。」
空がすごく嬉しそうだ。
「ちー、大丈夫?」
「ん。大丈夫、だと思う。」
今日はついにきてしまった初診の日。
「牧野 千秋さん、こちらはどうぞ。」
「は、はい!
空、行ってくる。」
「うん。きつくなったらすぐ戻っておいで。」
---コクリ
「こんにちは。 担当させてもらいます。結城 達也と言います。」
「結城先生。」
「今日は千秋さんのことを知りたいなって思うし、僕のことも話そうと思うんだけど、いいかな?」
「はい。」
こういうの、根掘り葉掘り聞かれるのかと思ってた。
でも違った。
好きな食べ物の話から始まって、今は空の話ばっかりしている。
「空が小さい頃は、人参食べれなくて、10歳ぐらいの時に人参のサラダ出したらこの世の終わりみたいな顔してて!」
「ふはっ、その顔見てみたかったよ。僕の弟も嫌いなピーマンが出るとすごく嫌な顔してたよ。」
こんな感じでほんとにただ話してるだけ。
しかも俺が話しやすいように相槌うってくれるしちょっと詰まっちゃったら先生のこと教えてくれて、話しやすい。
「あ、もう時間だね。また2週間後、お話ししにきてください。」
「はい。なんか、思ってたのと違った。俺ちゃんと通うよ。」
---ガラガラッ
「ちー!!どうだった??」
「嫌じゃなかった。嫌なこと聞かれなかった。俺さ、ちゃんと通う。」
「うん。できる限り僕もついてくるから。それに嫌になったらいつでもやめていいんだからね。」
「何回も聞いたよ。ほら、デートして帰ろ?」
「ん。なんか食べに行く?」
「俺、パンケーキってやつ食べてみたい。」
「パンケーキか。僕も食べたことないや。食べに行こ!!!」
「ちー!すごいよ!ふわふわ!」
「だな。めっちゃ美味しい。」
「ね!美味しいよね!」
「ほら空、俺のいちごあげる。あーして」
「っぅぇ!? あ、あーんしてくれるの!?」
「はやくしねえとあげねえぞ」
「やだやだ!!あーー!」
「はい。」
「おいしい!ちー!ちーも僕のマンゴー食べる?」
「ん。あー」
あ、マンゴーも美味い。
「ちー美味しそうに食べてるの見るの幸せ。」
「俺も、幸せ。」
「ねえ空、ここまた来ようね。おいしかったから。」
「うん。他にも美味しそうな店探しとく。」
俺の彼氏ほんとに、できすぎてない?
「空、俺さ、ちょっと怖かったんだ。」
「怖かった?」
「うん。病院行くのもだけど、自分と向き合ったり、自分を出して誰かに頼るの、怖かった。」
「うん。」
「でも空にさ、思ってたこと言ったときに空が、なんて言葉かけていいかわからないって言っただろ?その時にさ、そう言って抱きしめてくれただけで安心したんだ。それにさ、その時に気づいた。自分の嫌なとこもさらけ出しても包み込んでくれる人いるって。」
「っっ、うん。」
「だから俺、ちゃんと頼る。空には何でも話す。空には俺のことちゃんと知ってて欲しい。」
「うん。うん。」
「8月にある顔合わせ、俺がしんどくなったら、守ってください。」
「うん。もちろん、ちー、ありがとうそう言ってくれて。」
空がすごく嬉しそうだ。
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