【完結】優しくしないで

にゃーつ

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【第一部】 4章

3 空side

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「喧嘩とかじゃ、、ない。」

「まあどうせならねえんだろ。付き合えよ」

そう言って酒を持ってリビングに向かう父さん。

俺にはコーヒーを入れてくれた。


「んで?何が原因で喧嘩したんだよ」

「だから喧嘩じゃない。一方的に怒って出てきただけ。」

「千秋大好きのお前が怒るなんて珍しいこともあんだな。」

そう。僕はちーのこと大好きだ。


でも、今回のは、どうしても、つらくて


「ちーに、彼女できたかって聞かれて、カーッとなって飛び出してきちゃった。」

「ハハッ、ガキかおめえは。」

「だって、ちーは僕の気持ち知ってて僕から離れたのにちーのこと思わない日はなかったのに。僕の8年を否定されたみたいだったんだ。」

告白もしてないのに、振られた、みたいな。

「離れてた間に、ちーは彼女とかできちゃったから聞いたのかな。でも、女の人ダメだったはずだし、でも、、

---ガシッ

「落ち着け」

頭鷲掴みにし、目を合わせてくる父さん。

「千秋は、お前の気持ち知っててでてったんじゃない。お前の気持ちに気づいたからでてったんだ。」

「どういうこと?」

「それ以上は俺から教えられねえよ。」

意味わかんない。俺の気持ちに気づいたならなんで。

「だいたいなあ、好きなら振り向かせるくらいの気持ちでいかねえのかおめえは。女々しい男に育っちまって、そんなもんか?おめえの7年半は」

「ううん。諦めるつもりなんてない。監禁してでもちーのこと手に入れる。」

「お前、犯罪は犯すなよ?極道の俺が言えたことじゃねえが、ったく、この依存体質誰の遺伝子だ。」


千秋が僕を拒否しなければいいだけの話だよ。

拒否しなければね。


つい怒鳴っちゃったけど、どうしよう、ちーのとこ戻るか迷う。

なんかかっこ悪いじゃん

「千秋のとこ戻んねえのか?あいつ、8年経ったけど心はそんなに変わってねえぞ?心の外側ばっかり強くしようとして、内側は弱いままだ。」

弱いまま、、

なら、僕から嫌われたって思ったかもしれない。

「僕あっち戻る!!」

「あぁ。好きにしろよ。


そういやお前、千秋のことずっと好きだったんならその年で童貞か?」


馬鹿にしたように言ってくる父さん。

子どものそんなん普通知りたくないんじゃないの?


「童貞だよ。なんなら精通も、夜のおかずも千秋だよ。じゃあね、おやすみ」


リビングからする笑い声を後ろから聞いて僕は千秋の部屋へ向かった。

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