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【第一部】 2章
3 蓮side
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ガキが生まれて5年。
毎日成長してる自分のガキを見ると俺の顔も柔らかくなってるみたいだ。
嵐はヒーローごっこだのなんだのして騒がしく遊んでいる。
空は本を読んだり誰かと話したりが好きみたいだ。
あとはよく1人で屋敷内を散歩している。
2人にはもちろん千秋の部屋に近づかないように言い聞かせている。
まだまだ不安定な千秋。可能な限りは部屋を覗くようにしているが、寝ているときはうなされているし、起きていても少しびくついている。
涼也が言うには学力は同年代より遥か上をいっているそうで、ここ1年は蒼真が情報系の知識を、涼也と京平が組で役立つ知識を学ばせている。
組の仕事につくつもりの千秋だが、人が怖いままでは難しいだろう。情報系で極めたとしても、どうしたって組の幹部連中や参加の組とは顔を合わせなきゃなんねえ。
食事は食べているようだが、なかなか成長はしてねえ。身長は伸びているが、折れそうなくらい細いままだ。いつか消えちまうんじゃねえかって思うくらい線が薄い。
明が診たところ、吐いてる可能性が高いみたいだ。喉に炎症があったそうだ。
少しは会話ができるようにはなっているが、泣いたり笑ったりはしない。
基本的に無表情だ。
解決策も見つからないまま5年が経ってしまった。
---ガララッ
「若!おかえり」
「どうした京平、屋敷が騒がしいな」
「あぁ、空がいなくなった。」
「どういうことだ。」
リビングに行くと海が嵐を抱えて泣いていた。
「っっ、、空がいなくなっちゃったの。っ、」
「最後に見たのは?」
「お昼の時よ。そのあと今日のおやつ先に欲しいって言うからあげたの。そのあといつものようにお散歩行ったんだと思って、でも夕方になっても戻ってこなくて、屋敷中探したけどいないの。」
「屋外に出た形跡は?」
「ありません。監視カメラにも映っていません。」
屋敷内で攫われたか?いや、そんなことあるか?本宅の中に建ててる別宅だぞ?
「どっかで寝ちまったか、攫われたか、カメラに映らない場所から外に出たかだな。」
「屋敷内はほとんど探しました。」
「おい嵐、お前なんか知らねえのか?」
「知らないよ!空は俺に何にもおしえてくれないんだ!!さいきんずっと昼からいないよ!たからものみつけたっていってはいたけど、」
「宝物?」
「うん、ちょっと前に言ってた。ニコニコしてたからどうしたの?って聞いたら、たからものみつけたんだっていってた。」
「この家にそんなもんあるか?本宅ならまだしも。」
「今日おやつを持って行ったってことは、猫とかを見つけて餌あげてるのでは?」
「その可能性あるよね。空は不思議ちゃんだし。」
「とにかく、もう一度屋敷内探せ。」
「だめです若。屋敷内も屋敷の周りも探しましたがいません。」
「やっぱり連れ去られたか?」
「屋敷内は全部見たぞ。俺たちの自室まで見たんだから。」
「そうそう。千秋の部屋以外はぜん、ぶ、、み、、、ねえ、千秋の部屋にいるなんてことないよね?」
「あの部屋には近づくなって言い聞かせてるはずだが、」
「子どもって逆にそういうの気になるんじゃないの?」
「行ってみるだけ行ってみますか。海さんと嵐は来ないでください。」
---コンコンッ
ノックしても返事がない。寝てんのか?
「千秋、開けるぞ。」
そこには千秋と一緒に眠っている空がいた。
「千秋があんな安心した顔で寝てるの久しぶりに見たかも。」
「、、、んっ、、、」
千秋を起こしちまった。
俺たちの顔を見たあと横にいる空を見て、血の気が引いたように顔色が悪くなり、ベッドの端で頭を抱えて小さくなって叫んだ。
「ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!!若の子どもと会ってごめんなさい!!ごめんなさい!っっっっ、ぅぁ、ごめ、ゴホッなさ、ごめなさ、」
過呼吸起こしかけてやがる。
「おい千秋!落ち着け」
「ごめんなさい、ごめんなさい、空は殴らないで、俺を殴ってもいいから、ごめんなさい、、、ぅぁ、、ゴホッ、ぅ、、「千秋!手に持ってるもん離せ!」
千秋の中で親ってのは子どもを殴るものなんだ。
空が殴られると思い込んでる。
まずい。パニックだ。
カッターで手首に傷付けてやがる。
近づくとヒートアップしそうだ、深くやっちまったらやべえ。
「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、
「んぅ、、ちー?
ちー!!!だめ!!!」
空が起きた途端に千秋の腕を掴んだ。
「ちー!血が出てるよ!だめだよ!!」
「ぅ、、ぁ、、ごめんなさい、、ごめんなさい、、」
千秋が、カッターから手を離した。
俺たちができなかったことを簡単に。
「パパたちがちーをいじめたの??やめて!!ちーをいじめないで!!!ぅぅぁぁあ、、ちー、ちー、ちーは悪いことしてないよ、、」
空が泣きながら千秋を抱きしめた途端、千秋の目から涙が溢れた。
「千秋が、泣いてる、、、?」
蒼真が驚くのも当たり前だ。俺たちは千秋の涙を見たことがなかった。拾った日も、翔太にぼろぼろにされた日もずっと。
その千秋が、小さな子どもに抱きしめられて泣いてる。
「ちー、いたいのいたいのとんでけ!だよ!!」
「ぅぅ、、、ぅぁ、、そらぁ、、そら、」
長いこと泣き続けた千秋はそのまま気を失った。
とりあえず明を呼んで千秋の手当を頼むか。過呼吸も起こしてたからな。
「空、一回リビング行くぞ。お前がいなくなって母さんが心配してた。」
「ちーのそばにいる!」
「千秋の傷の手当するのにお前は邪魔だ。一旦こい。後でまた連れてきてやるから。」
「うん、、」
千秋をチラチラみながら俺に大人しく抱かれてリビングへ向かった。
毎日成長してる自分のガキを見ると俺の顔も柔らかくなってるみたいだ。
嵐はヒーローごっこだのなんだのして騒がしく遊んでいる。
空は本を読んだり誰かと話したりが好きみたいだ。
あとはよく1人で屋敷内を散歩している。
2人にはもちろん千秋の部屋に近づかないように言い聞かせている。
まだまだ不安定な千秋。可能な限りは部屋を覗くようにしているが、寝ているときはうなされているし、起きていても少しびくついている。
涼也が言うには学力は同年代より遥か上をいっているそうで、ここ1年は蒼真が情報系の知識を、涼也と京平が組で役立つ知識を学ばせている。
組の仕事につくつもりの千秋だが、人が怖いままでは難しいだろう。情報系で極めたとしても、どうしたって組の幹部連中や参加の組とは顔を合わせなきゃなんねえ。
食事は食べているようだが、なかなか成長はしてねえ。身長は伸びているが、折れそうなくらい細いままだ。いつか消えちまうんじゃねえかって思うくらい線が薄い。
明が診たところ、吐いてる可能性が高いみたいだ。喉に炎症があったそうだ。
少しは会話ができるようにはなっているが、泣いたり笑ったりはしない。
基本的に無表情だ。
解決策も見つからないまま5年が経ってしまった。
---ガララッ
「若!おかえり」
「どうした京平、屋敷が騒がしいな」
「あぁ、空がいなくなった。」
「どういうことだ。」
リビングに行くと海が嵐を抱えて泣いていた。
「っっ、、空がいなくなっちゃったの。っ、」
「最後に見たのは?」
「お昼の時よ。そのあと今日のおやつ先に欲しいって言うからあげたの。そのあといつものようにお散歩行ったんだと思って、でも夕方になっても戻ってこなくて、屋敷中探したけどいないの。」
「屋外に出た形跡は?」
「ありません。監視カメラにも映っていません。」
屋敷内で攫われたか?いや、そんなことあるか?本宅の中に建ててる別宅だぞ?
「どっかで寝ちまったか、攫われたか、カメラに映らない場所から外に出たかだな。」
「屋敷内はほとんど探しました。」
「おい嵐、お前なんか知らねえのか?」
「知らないよ!空は俺に何にもおしえてくれないんだ!!さいきんずっと昼からいないよ!たからものみつけたっていってはいたけど、」
「宝物?」
「うん、ちょっと前に言ってた。ニコニコしてたからどうしたの?って聞いたら、たからものみつけたんだっていってた。」
「この家にそんなもんあるか?本宅ならまだしも。」
「今日おやつを持って行ったってことは、猫とかを見つけて餌あげてるのでは?」
「その可能性あるよね。空は不思議ちゃんだし。」
「とにかく、もう一度屋敷内探せ。」
「だめです若。屋敷内も屋敷の周りも探しましたがいません。」
「やっぱり連れ去られたか?」
「屋敷内は全部見たぞ。俺たちの自室まで見たんだから。」
「そうそう。千秋の部屋以外はぜん、ぶ、、み、、、ねえ、千秋の部屋にいるなんてことないよね?」
「あの部屋には近づくなって言い聞かせてるはずだが、」
「子どもって逆にそういうの気になるんじゃないの?」
「行ってみるだけ行ってみますか。海さんと嵐は来ないでください。」
---コンコンッ
ノックしても返事がない。寝てんのか?
「千秋、開けるぞ。」
そこには千秋と一緒に眠っている空がいた。
「千秋があんな安心した顔で寝てるの久しぶりに見たかも。」
「、、、んっ、、、」
千秋を起こしちまった。
俺たちの顔を見たあと横にいる空を見て、血の気が引いたように顔色が悪くなり、ベッドの端で頭を抱えて小さくなって叫んだ。
「ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!!若の子どもと会ってごめんなさい!!ごめんなさい!っっっっ、ぅぁ、ごめ、ゴホッなさ、ごめなさ、」
過呼吸起こしかけてやがる。
「おい千秋!落ち着け」
「ごめんなさい、ごめんなさい、空は殴らないで、俺を殴ってもいいから、ごめんなさい、、、ぅぁ、、ゴホッ、ぅ、、「千秋!手に持ってるもん離せ!」
千秋の中で親ってのは子どもを殴るものなんだ。
空が殴られると思い込んでる。
まずい。パニックだ。
カッターで手首に傷付けてやがる。
近づくとヒートアップしそうだ、深くやっちまったらやべえ。
「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、
「んぅ、、ちー?
ちー!!!だめ!!!」
空が起きた途端に千秋の腕を掴んだ。
「ちー!血が出てるよ!だめだよ!!」
「ぅ、、ぁ、、ごめんなさい、、ごめんなさい、、」
千秋が、カッターから手を離した。
俺たちができなかったことを簡単に。
「パパたちがちーをいじめたの??やめて!!ちーをいじめないで!!!ぅぅぁぁあ、、ちー、ちー、ちーは悪いことしてないよ、、」
空が泣きながら千秋を抱きしめた途端、千秋の目から涙が溢れた。
「千秋が、泣いてる、、、?」
蒼真が驚くのも当たり前だ。俺たちは千秋の涙を見たことがなかった。拾った日も、翔太にぼろぼろにされた日もずっと。
その千秋が、小さな子どもに抱きしめられて泣いてる。
「ちー、いたいのいたいのとんでけ!だよ!!」
「ぅぅ、、、ぅぁ、、そらぁ、、そら、」
長いこと泣き続けた千秋はそのまま気を失った。
とりあえず明を呼んで千秋の手当を頼むか。過呼吸も起こしてたからな。
「空、一回リビング行くぞ。お前がいなくなって母さんが心配してた。」
「ちーのそばにいる!」
「千秋の傷の手当するのにお前は邪魔だ。一旦こい。後でまた連れてきてやるから。」
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千秋をチラチラみながら俺に大人しく抱かれてリビングへ向かった。
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