【完結】優しくしないで

にゃーつ

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【第一部】 1章

4 蓮side

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「若。おかえりなさい。」

「あぁ、なにもなかったか?」

「特に問題はない。海さんも元気だ。今はつわりもなくて部屋で昼寝してる。」

親に勧められての結婚。

千秋のことも考えてギリギリまで一緒に住んではいなかったが、今は子供もお腹にいるしで大事な時期だ。
しかも子供は双子だしな。


「千秋は?」

「相変わらず部屋からは出てきてない。でもこの3日は食事を残さず食べてるみたいだ。翔太が話聞いたり勉強見たりしてやってるみたいだ。」


やっぱりだめか。あいつの口からも聞いたが調べれば調べるほどひどい生活だったあいつは、女にトラウマがある。海と仲良くなんてことは無理だろう。
海にも千秋には近づくなと言ってある。

海と会ってから食事も減ってたし笑うことも無くなって心配だったが食事が戻ったのなら一安心か。



--ガララッ


「若っ!おかえりなさい!」

「翔太、ご苦労だったな。今日は俺は休みだ。お前も海の護衛から外れて涼也の手伝いしてやってくれ。」

「わかりました。海さんは特に変わった様子はありませんでした。」


寝室に入ると海は起きていた。


「蓮!おかえり!!!会いたかった!」

3日ぶりに会ったのが相当嬉しいのかはしゃぐ海。

離れていた間のことを俺に楽しそうに話していた。
だが急に少し暗くなって、


「千秋くんと仲良くなれなかった。」


「は?」

千秋って言ったか?こいつ。


「千秋に会ったのか?」


「うん。千秋くんの部屋に行ったの。そしたら怒鳴られちゃって怖かった。すごい暴言だったんだよ?翔太くんが極道のやり方で対処してくれたけど、ほんとに怖かったの。仲良くなりたかっただけなのにね。」


こいつ何言ってんだ。


「俺、千秋には近づくなって言ったよな?」

「うん、だけど仲良くなりたかったの。でももう近づかない。あんなに凶暴だから近づくなって言ってたんでしょ??あの子なんか変だし。」

「変??」

「うん、途中からごめんなさいってずっと言うの。」



ガタタッ

「ちょっと蓮!どこいくの!?」


そんな海の声を無視して千秋の部屋に走る。






--ガララッ


開けた先は地獄だった。


床に倒れて口から血を吐き出してる傷だらけの幼い体。
意識はギリギリあるが、ごめんなさいと消えそうな声で言い続けている。


すぐに毛布にくるんで抱きかかえた。



「涼也!!!!車回せ!!!!!」


何で俺はこんなになる前に気づいてやらなかったんだ。


車に乗り込み組の専属病院へ向かう。

涼也と蒼真と京平は信じられないような絶望したような顔で千秋を見ている。


気づいたら俺の腕の中から千秋はいなくなってて、手術中のランプがついていた。


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