【完結】優しくしないで

【第一部】 1章

3

あれから3日。

食事運ぶのが全部翔太さんで、来るたびに殴られるようになった。

「海さんが傷ついた分償うにはこれじゃ足りねえぞ。」


俺の部屋に食事を運んできて殴って蹴って、俺の前で食べてしまう。

そう、この3日間何も食べてない。水はトイレの手洗いの水を飲んで過ごした。

お風呂も傷が痛くて入れていない。


「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい」

「千秋く～ん、それしか言えねえのか？お前みたいなやつなんで若が面倒みてんだ？組の役にも立たねえしなぁ？俺のサンドバッグとしてしか役に立たねえじゃねえか」


そう言ってずっと殴られ続けた。

俺が部屋に引きこもってるから、みんな扉の外から声をかけるだけで、部屋には入ってこないし、その役目も翔太さんがやってるから。屋敷に残ってる人もこのことに気づいてないんだろうな。


「あれ？おい千秋、お前手首自分で切ってんのか？これ。ははっ、ウケる、死ねって言われたから死のうってか？さっさとくたばっちまえよ。今日の夜には若達帰ってくるから中々こんなことできなくなるしなあ。
だから今日は殴り溜めしとくか」


死のうと思ったんじゃないよ。血出るの見ると落ち着くんだ。だから切るんだよ。
生きてるって感じするでしょ？

あ、もうお腹と足の感覚なくなってきちゃった。

背中は少し痛いなあ。

殴り溜めしとくってことは今日はいっぱい殴られるのかな。
なら俺死んじゃうかな。


若今日帰ってくるんだ。もし死ぬなら、最後に若に会いたいな。会って、ありがとうって俺を拾ってくれてありがとうって言いたい。
半年間の幸せくれてありがとうって。そう言いたいな。


涼也さんにも、勉強教えてくれてありがとうって。

蒼真さんには、パソコンの使い方教えてくれたのと一緒にゲームしてくれたのありがとうって。

京平さんには、食べたことないものいっぱい食べさせてくれてありがとうって。


だんだんと意識が遠のいていく。


もう目は開けられないのかもしれない。

バイバイみんな。