【完結】優しくしないで

【第一部】 1章

2

「千秋くん、お話ししたいなって思ったの。みんなとは前から交流あったけど、千秋くんとはないから。
今蓮と涼也は出張で1週間以内からその間に仲良くなれたら2人驚くと思って！！！！」



最初に紹介された時は震えなかったのに、今は震えが止まらない。
冷や汗が垂れてくる。



「・・・・で、・・」




「ん？なんて？？」

女が近づいてくる。


「来ないで！！それ以上近づかないで！俺の居場所取らないでよ！！！！なんでここに来たんだよ！！くんな！！帰れ！！！！」



訳も分からなくてとにかく叫んだ。



「っっ、ぅぁ、ご、ごめんなさい、私そんなつもりじゃ、ただ千秋くんと仲良くなりたくて、、」


目の前の女が泣き始めた。






---バキッ


あ、久しぶりの感覚だ。でも前より痛いや。


俺は殴られた。


女の護衛の翔太さんに。



「てめえ、ガキだと思って舐めた真似してんじゃねえぞ。若の妻である姐さんに暴言吐いてタダで済むと思ってんのか！？あぁ？？！！！！」


ガシッガシッ

殴られた蹴られて、男の人の力ってこんなに強いんだ。じゃあ俺お母さんに殴られてたのマシだったんだな。


半年前まではこれが日常だったんだ。大丈夫。俺はまだ大丈夫。目頭が熱いのは痛いからだ。辛いからじゃない。大丈夫。



「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、生まれてきてごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい」


数分間殴られ続けたところでようやく止まった。


「海さん、こんなやつ放っておきますよ。せっかくの海さんの優しさ踏み躙るようなやつこの世にいりませんから。」


この世に、いらない。

死んだほうがいい。


「でも、千秋くん怪我が「海さんを傷つけたんですから当たり前です。これが極道ですから。」


俺が殴られるのは、当たり前。



「うん。わかった。ごめんね千秋くん。」



生まれてきて、生きててごめんなさい。