トップアイドルのあいつと凡人の俺

にゃーつ

文字の大きさ
上 下
11 / 15

11

しおりを挟む

「ん、、?」

あれ、、?俺どうしたんだっけって蒼!?

目が覚めると蒼に抱きしめられたままで目の前にはさっきまでテレビで見ていた顔があった。

腕の中から抜け出そうとした途端に蒼の腕に力が入りぎゅっと強く抱きしめられた。「

「ダメ。ここから逃げんな。」

「いや、でも・・・ていうかなんで蒼がここに?お前仕事は?」

「金土日で休みだから大丈夫。そんなことより俺に言わなきゃいけねえことあるよな?伊織。」

「言いたくない。」

「なんで?」

「言いたくないから。」

「だからなんで。」

「・・・・・・」

「伊織、さっき泣きながら俺に助け求めてただろうが。全部言わなくてもいいから、なぁ、俺にもお前の辛いの少しは分けろよ。俺は東京行ってからずっとお前が支えだった。世間の声とか大人からの期待とかそんなんに耐えるのにお前が支えだったよ。お前は違えの?」

「そんなことないっ、、俺だって蒼がずっと支えだったよ。・・・ずっと、、」

「俺は、自分よりも何よりもお前が大事だ。お前が苦しい思いしてるなら一緒に苦しみてえんだけど?」

「・・・俺だって、蒼が大事だよ。」

そう言うと、さらに強く抱きしめてきた。
・・・蒼?

「怖えよ。ただでさえお前の顔が見れないメッセージだけのやり取りで不安だったのに、そのメッセージ返ってこなくなって、お前に何かあったのかって毎日そればっか考えてた。俺の前からいなくなろうとすんな。」

「っ~っ、、ぅ、、、そぉ、、っ。」

ずっと、こうして蒼と会って話したかった。テレビや雑誌だけで満足なんてできてなかった。会いたくてたまらなかった。

「ちゃんと話せ。な?」

「、んっ、ぅん、、」

途中何度も言葉に詰まりながらも中2の2学期からいじめられていたこと、いじめの内容、それが原因でご飯が怖くて食べられないこと、眠ってもいじめられていた時の夢を見て起きてしまうことを蒼に話した。

「いじめの原因は?分かんねえのか?」

「・・・うん、分かんない。」

「そっか。」

それだけは嘘をついた。いじめが始まった日のことは覚えているし、原因ってほどのものじゃないただの言いがかりだった。でも、それに蒼の名前を出したくない。だから嘘をついた。

「手見せろ。」

蒼は俺の手を取り火傷の場所を優しく撫でた。そのまま俺の服を脱がして背中も確認していた。

「伊織、そばで守ってやれなくてごめんな。ごめん、、、」

「蒼!謝んなよ!さっき言ってくれただろ?東京で俺が支えだったって!!俺もそうだ!お前の前で胸張っていられる人間でいたかったから中学の間いじめを耐えれてんだ。だから謝んな。」

「おぅ。悪いな、、、俺、好きなやつが傷ついてるの俺は耐えらんねえや。」

・・・好きな、奴、、、。

聞き間違い?いや、普通に友達として好きなやつって意味か。俺が蒼のこと好きだから変に変換しちまった。焦った・・・

「好きな奴って含みある感じで言うなよな。そういう言い方ばっかしてると誤解生むぞお前。」

「誤解じゃねえよ。お前のこと好きだって言ってんの。」

好き・・・・・・?お、俺のことが?

「う、嘘だっ!!そんなわけない!!蒼と俺じゃ天と地ほど差がある!!」

「嘘なわけねえだろ。昔からずっとずっとお前のことが好きだよ。」

「蒼・・・、、」

「俺は待つ気はねえよ。今ここで答え出せ。俺と付き合う?それとも親友のままでいる?お前がどんな答え出したとしても、俺がお前の親友なことに変わりはねえしお前の味方だ。ただ、俺はお前のことが好きで好きでたまんねえんだ。だから、付き合えなくても好きでいさせてほしい。」

蒼の真剣な顔が、蒼の気持ちが本物なんだって物語っている。

俺の気持ち、、、。

蒼のこと好きに決まってる。好きだよ。

俺なんか蒼に相応しくない、俺なんかよりもっといい人たくさんいるだろうし、優しい蒼もいつかは俺のことが嫌になるかもしれない。

でも、こんなに真剣に俺に気持ちを伝えてくれる蒼に嘘なんてつけない・・・

「っ、、ぅ、、」

「伊織?何で泣いて、、ごめん、困らせたよな?伊織、泣くな。お前に泣かれると辛い。」

違うんだ、困って泣いてるんじゃない。

釣り合わないって分かっていても、いつかはって思っていても、好きな人が好きでいてくれるなんて嬉しいに決まってる。

嬉しくて泣いてるんだ。久しぶりに蒼に会えただけじゃなくて、俺のことを好きでいてくれたことを知った。今日のことを俺は一生忘れないと思う。

「蒼・・俺も好き。」

真剣に伝えてくれた蒼に対して俺も真剣に伝えなきゃと思って涙で視界が歪みながらも蒼の目を見て俺の気持ちを伝えた。

---ギュッ

「本当に?いいの?俺男だぞ?」

「それはこっちのセリフだよっ、、」

「俺は世界中の誰より伊織のことが好きっ」

「俺もっ、世界で一番蒼が好きっ」

小さい頃からずっと一緒なのに、いつまででもこうやってドキドキするんだと思う。
蒼とのこの恋は終わりが来るだろうけど、今この瞬間蒼に気持ちを伝えることができて、蒼にも好きって言ってもらえるのは最高に幸せな瞬間だ。






しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

朝起きたら幼なじみと番になってた。

オクラ粥
BL
寝ぼけてるのかと思った。目が覚めて起き上がると全身が痛い。 隣には昨晩一緒に飲みにいった幼なじみがすやすや寝ていた 思いつきの書き殴り オメガバースの設定をお借りしてます

【完結・BL】俺をフッた初恋相手が、転勤して上司になったんだが?【先輩×後輩】

彩華
BL
『俺、そんな目でお前のこと見れない』 高校一年の冬。俺の初恋は、見事に玉砕した。 その後、俺は見事にDTのまま。あっという間に25になり。何の変化もないまま、ごくごくありふれたサラリーマンになった俺。 そんな俺の前に、運命の悪戯か。再び初恋相手は現れて────!?

絶対にお嫁さんにするから覚悟してろよ!!!

toki
BL
「ていうかちゃんと寝てなさい」 「すいません……」 ゆるふわ距離感バグ幼馴染の読み切りBLです♪ 一応、有馬くんが攻めのつもりで書きましたが、お好きなように解釈していただいて大丈夫です。 作中の表現ではわかりづらいですが、有馬くんはけっこう見目が良いです。でもガチで桜田くんしか眼中にないので自分が目立っている自覚はまったくありません。 もしよろしければ感想などいただけましたら大変励みになります✿ 感想(匿名)➡ https://odaibako.net/u/toki_doki_ Twitter➡ https://twitter.com/toki_doki109 素敵な表紙お借りしました!(https://www.pixiv.net/artworks/110931919)

楽な片恋

藍川 東
BL
 蓮見早良(はすみ さわら)は恋をしていた。  ひとつ下の幼馴染、片桐優一朗(かたぎり ゆういちろう)に。  それは一方的で、実ることを望んでいないがゆえに、『楽な片恋』のはずだった……  早良と優一朗は、母親同士が親友ということもあり、幼馴染として育った。  ひとつ年上ということは、高校生までならばアドバンテージになる。  平々凡々な自分でも、年上の幼馴染、ということですべてに優秀な優一朗に対して兄貴ぶった優しさで接することができる。  高校三年生になった早良は、今年が最後になる『年上の幼馴染』としての立ち位置をかみしめて、その後は手の届かない存在になるであろう優一朗を、遠くから片恋していくつもりだった。  優一朗のひとことさえなければ…………

そんなの真実じゃない

イヌノカニ
BL
引きこもって四年、生きていてもしょうがないと感じた主人公は身の周りの整理し始める。自分の部屋に溢れる幼馴染との思い出を見て、どんなパソコンやスマホよりも自分の事を知っているのは幼馴染だと気付く。どうにかして彼から自分に関する記憶を消したいと思った主人公は偶然見た広告の人を意のままに操れるというお香を手に幼馴染に会いに行くが———? 彼は本当に俺の知っている彼なのだろうか。 ============== 人の証言と記憶の曖昧さをテーマに書いたので、ハッキリとせずに終わります。

俺の親友のことが好きだったんじゃなかったのかよ

雨宮里玖
BL
《あらすじ》放課後、三倉は浅宮に呼び出された。浅宮は三倉の親友・有栖のことを訊ねてくる。三倉はまたこのパターンかとすぐに合点がいく。きっと浅宮も有栖のことが好きで、三倉から有栖の情報を聞き出そうとしているんだなと思い、浅宮の恋を応援すべく協力を申し出る。 浅宮は三倉に「協力して欲しい。だからデートの練習に付き合ってくれ」と言い——。 攻め:浅宮(16) 高校二年生。ビジュアル最強男。 どんな口実でもいいから三倉と一緒にいたいと思っている。 受け:三倉(16) 高校二年生。平凡。 自分じゃなくて俺の親友のことが好きなんだと勘違いしている。

好きなあいつの嫉妬がすごい

カムカム
BL
新しいクラスで新しい友達ができることを楽しみにしていたが、特に気になる存在がいた。それは幼馴染のランだった。 ランはいつもクールで落ち着いていて、どこか遠くを見ているような眼差しが印象的だった。レンとは対照的に、内向的で多くの人と打ち解けることが少なかった。しかし、レンだけは違った。ランはレンに対してだけ心を開き、笑顔を見せることが多かった。 教室に入ると、運命的にレンとランは隣同士の席になった。レンは心の中でガッツポーズをしながら、ランに話しかけた。 「ラン、おはよう!今年も一緒のクラスだね。」 ランは少し驚いた表情を見せたが、すぐに微笑み返した。「おはよう、レン。そうだね、今年もよろしく。」

【完結】I adore you

ひつじのめい
BL
幼馴染みの蒼はルックスはモテる要素しかないのに、性格まで良くて羨ましく思いながらも夏樹は蒼の事を1番の友達だと思っていた。 そんな時、夏樹に彼女が出来た事が引き金となり2人の関係に変化が訪れる。 ※小説家になろうさんでも公開しているものを修正しています。

処理中です...