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しおりを挟む「なぁなぁ!!soleilってアイドル知ってるか!昨日デビューしたばっかなんだけど!!めちゃくちゃかっこいいんだ!!」
俺はまず仲の良い、鈴木裕貴と橋下晋作にsoleilのことを話して動画を見せた。昨日の記者会見後のミニライブの動画だ。センターは蒼!!こんなにかっこいい人たちの集まりなのに蒼が1番かっこいい。
絶対に蒼が1番人気になるって俺は確信していた。だってこんなにかっこいいんだから。
「何?アイドル?あー、なんか朝のニュースでやってたよな。」
「伊織ってアイドルとか好きだっけ?」
「アイドルっていうか、soleilが好き!蒼が頑張ってるから!!幼馴染で大親友なんだ!」
「えー!お前芸能人と友達なのかよ!!強っ!!」
「すげえな、伊織」
俺は何もすごくない、すごいのは蒼だよ。毎日レッスン頑張ってて、これはまだオフレコなんだけど次のクールのドラマも決まってるんだ。蒼はたくさん努力してる。すごいんだ。
こうして毎日布教していると俺が蒼の友達だっていうのも広まってしまっていて、soleilのファンになった子達に話しかけられるようになった。
「ねえねぇ!伊織くんってsoleilの蒼と友達なの?」
「あ、うん、、幼馴染。」
「じゃあさ!サインとか貰ってよ!!私たちsoleilのファンなの!!」
「蒼は今東京にいるから会えてないんだ。だから、貰ってこれないや。」
こんなやり取りが毎日行われていた。話しかけてくれるのは女子ばかりで、俺はこれまであまり女子と関わってきたことがないから女子内での噂の回る速さを知らなかった。毎日毎日知らない女子から声をかけられた。
そんな中、あの日がやってきた。
「お前さ~本当は蒼と友達じゃねえんだろ!女子と話したいから友達って言ってるだけだろ!」
クラスの人気者の男子、久保圭君がそう叫んだ。
「ぇ、、?嘘じゃない。蒼は俺の大事な友達だ。」
「じゃあ証拠見せろよ!!!蒼とのメッセージのやり取りとか!世に出てない写真とかよ!!」
それは、ある。蒼が送ってくれたメンバーとの写真とか、デビュー会見直前の写真とか、あるよ。あるけど、デビューした蒼のそんな写真勝手に見せていいわけがない。メッセージ画面もだ。
「あるけど、蒼は芸能人だ。俺が蒼に無許可で見せるわけにはいかない。」
そうはっきり言った。
久保君は俺に少しずつ近づいてきて、何も言わずに俺の頭にペットボトルの水をかけた。
「やっぱり嘘つき野郎だな。お前、女子と喋りたかっただけだろ。キモッ」
この瞬間から、俺へのいじめが始まった。
初めはちょっと嫌味を言われるくらいだった。嘘つきとか、キモいとか。
最初の頃キツかったのは、裕貴と晋作が俺と話してくれなくなったこと。いじめの首謀者の久保君はクラスのカースト上位。俺と仲良くしていたら自分たちもされるって思うだろうし、仕方ないんだけどな。大丈夫、俺は嘘ついてない。蒼はこんなのよりもっと大変なんだ、俺は俺で頑張らなきゃ。こんなことで挫けていたら蒼と対等になんてなれない。
そんな風に思って毎日学校に通った。俺がなんともないようにしていたら飽きてくれるってそう思っていた。今は中2の2学期だし、長くても3学期が終わるまでだ。そのくらい耐えられる。
そんな俺の考えとは裏腹にいじめは日々エスカレートした。クラス全員からの無視なんて当たり前、置いておいた教科書は落書きだらけ、お腹や背中などの先生にバレない場所を蹴られたり、複数人に取り押さえられてまつ毛をライターで炙られたり、日に日に身の危険を感じるものになっていた。
毎日学校に行くのが怖かった。でも、蒼や母さんたちに心配をかけたくなくて平気なフリして学校に行き続けた。誰も頼れない、誰も味方がいない、吐き出す場所がなくて、夜こっそりとその日に起きた辛かったことをノートに書き続けた。母さんに見つからないようにクローゼットの奥にしまって。
いじめの主犯は変わらず久保君だが、参加する人はどんどん増えた。喋ったこともない子から殴られるのには疑問しか浮かばない。怖かった、この世にいる人は皆敵なのかと思えるほど学校という小さな世界はどこもかしこも敵だらけだった。このままでは、卒業まで続くのではと思い3月のある日俺はこっそりと担任にお願いをした。久保君にいじめられているから来年はクラスを離してほしいと。すると担任は俺と久保君が喧嘩をしたんだと思ったらしく放課後2人揃って教室に呼び出され仲直りするようにと2人きりにされた。先生に告げ口したことがバレてしまい、いじめは過激なものとなっていった。
外面のいい久保君が担任になんで報告したのか4月のクラス替えで俺と久保君は同じクラスになった。
それからの1年は、地獄だった。
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