1 / 15
1
しおりを挟む国民的アイドルグループ「soleil」
フランス語で太陽を意味する名を持つそのグループはその名の通り太陽のように明るく人々を照らしてくれ、誰からも愛される国民的アイドルグループ。
メンバーは5人
リーダーでしっかりものの城野優、23歳。メンバーカラーは赤
クールで知的な草津翔、21歳。メンバーカラーは青
お調子ものでかわいい顔が人気の藤川理央、19歳。メンバンカラーは黄色
少しおバカだがバラエティーで大活躍!道枝結城、20歳。メンバーカラーは白
そしてデビューシングルから全シングルセンターを務め、アカデミー賞受賞歴もあるほど俳優としても大成功を収めているダントツ人気メンバー。
少し妖艶な大人は雰囲気が全ての女子の心を虜にしている。
工藤蒼、20歳。メンバーカラーはオレンジ。
テレビで見ない日などないほど引っ張りだこで、顔、スタイル、演技力に歌唱力、ダンス、、、、、。
何をしても一流で20歳にして芸能界のトップに君臨する男。
そんな彼には世間にはバレてはならない秘密があった。
それは幼馴染の男である俺、木村伊織と付き合っていること。そして、同棲していること。
俺たちが付き合い始めたのは4年前
ほぼ同時期、2人で暮らし始めたのは俺たちがまだ16の頃からだ。一緒に暮らし始めるずっと前から俺たちはお互いに片思いをしていた。それがやっと実った形だ。
アイドルにとって、いや、芸能人にとって致命的といえるのがスキャンダルだ。
俺たちが付き合っていることはもちろん、一緒に住んでいることも世間には隠し通さなければならない。
男性アイドルである蒼は90%が女性ファンだ。たった一回のスキャンダルでも大きな傷を負う可能性が高い。たかが一回、されど一回ってやつだ。
俺と付き合っていることは蒼は事務所の社長とグループのマネージャー、蒼個人についているマネージャー、そしてメンバーには伝えている。
俺はその誰にも会ったことはないけれど。
蒼はその人たちのことは信頼していると言っていたから大丈夫なんだと思う。それに、俺たちのことがバレる可能性はかなり低い。
俺は、この家から出ることができない。
蒼が監禁してるとかじゃなくて、俺自身の問題で外に出ることと人に会うことが出来ない。世間的に言うとニートの引きこもり。生活にかかるお金の全てを蒼に出してもらっているし、俺の力では到底住めないような超高級タワーマンションに住まわせてもらっている。しかも最上階。ちなみに、家賃は怖くて聞けないでいる。
俺が蒼がいない間にしていることといえばこの無駄に広い家の掃除と飼い猫のアオのお世話、蒼のために夕飯を作ること。そして、その日に蒼が出ている番組を全てリアルタイムで見ること。時間があれば過去に出ていた映画やドラマ、アイドルとしてのライブDVDや世間には出回っていないダンスの振付動画も見る。
今の俺の世界は蒼が全てで、こんなにキラキラした蒼に俺が相応しくないこともわかってる。
でも、いつか来る別れが来るまではたくさん蒼を堪能したい。毎日毎日、蒼が帰ってきたら別れを告げられる覚悟をして蒼のことを待つ日々。
蒼のことを信じてないのではなくて、人が急に手のひらを返すことを知っている。仲の良かった人が、信じていた人が急に敵になることを知ってしまったから。蒼にそれが当てはまらないなんて俺には証明できない。
いつ出ていけと言われてもいいように俺のものは増やさないようにしている。勝手に蒼が服やらゲームやらたくさん買ってくるから増えてしまってはいるが、自分では増やさないってことだ。
これまでかかった費用を返せって言われたら、、、の解決策はまだ見つかっていないが俺には蒼が全てだから臓器でもなんでも売って返して、その後死んでもいいかもなって最近は考えている。
ネガティブなのは分かっているが、俺みたいなやつ嫌にならないほうがおかしいんだ。変なトラウマ持ちで、出かけることも出来ない、働くこともできない。そんなやつ俺なら絶対に嫌だ。
だから俺は、常にこれが最後だと思って蒼との時間を過ごすんだ。
---ガチャ
バタバタと走る足音が聞こえる。蒼が帰ってきた。
「伊織、ただいま。」
「蒼、おかえりなさい。」
帰ってくるといつも俺のことをギュッと抱きしめて背中をトントンしてくれる。
「今日は何してたんだ?」
「テレビ見て、アオと遊んでた。」
「そっか。留守番ありがとうな。」
テレビではアイドルだから作り笑顔でニコニコとしているけれど、本当の蒼は少し口角をあげて微笑むことがほとんどだ。ツボに入るとケラケラと笑っているけど。テレビでは見せない顔だから、なんか、俺だけみたいで、すげえ好き。
「今日新曲のレコーディングした。音源持って帰ってきたから伊織に1番に聞いてほしい。」
「いいの?嬉しい。」
新曲のレコーディングの日はいつもこうして聴かせてくれる。CDが発売される頃には編集とかもされているけど、それをされる前の世には出回らない音源。
僕は世界一幸せなsoleilのファンだ。
94
お気に入りに追加
146
あなたにおすすめの小説
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
完結·助けた犬は騎士団長でした
禅
BL
母を亡くしたクレムは王都を見下ろす丘の森に一人で暮らしていた。
ある日、森の中で傷を負った犬を見つけて介抱する。犬との生活は穏やかで温かく、クレムの孤独を癒していった。
しかし、犬は突然いなくなり、ふたたび孤独な日々に寂しさを覚えていると、城から迎えが現れた。
強引に連れて行かれた王城でクレムの出生の秘密が明かされ……
※完結まで毎日投稿します
目が覚めたら囲まれてました
るんぱっぱ
BL
燈和(トウワ)は、いつも独りぼっちだった。
燈和の母は愛人で、すでに亡くなっている。愛人の子として虐げられてきた燈和は、ある日家から飛び出し街へ。でも、そこで不良とぶつかりボコボコにされてしまう。
そして、目が覚めると、3人の男が燈和を囲んでいて…話を聞くと、チカという男が燈和を拾ってくれたらしい。
チカに気に入られた燈和は3人と共に行動するようになる。
不思議な3人は、闇医者、若頭、ハッカー、と異色な人達で!
独りぼっちだった燈和が非日常な幸せを勝ち取る話。
トップアイドルα様は平凡βを運命にする
新羽梅衣
BL
ありきたりなベータらしい人生を送ってきた平凡な大学生・春崎陽は深夜のコンビニでアルバイトをしている。
ある夜、コンビニに訪れた男と目が合った瞬間、まるで炭酸が弾けるような胸の高鳴りを感じてしまう。どこかで見たことのある彼はトップアイドル・sui(深山翠)だった。
翠と陽の距離は急接近するが、ふたりはアルファとベータ。翠が運命の番に憧れて相手を探すために芸能界に入ったと知った陽は、どう足掻いても番にはなれない関係に思い悩む。そんなとき、翠のマネージャーに声をかけられた陽はある決心をする。
運命の番を探すトップアイドルα×自分に自信がない平凡βの切ない恋のお話。
平凡なSubの俺はスパダリDomに愛されて幸せです
おもち
BL
スパダリDom(いつもの)× 平凡Sub(いつもの)
BDSM要素はほぼ無し。
甘やかすのが好きなDomが好きなので、安定にイチャイチャ溺愛しています。
順次スケベパートも追加していきます
言い逃げしたら5年後捕まった件について。
なるせ
BL
「ずっと、好きだよ。」
…長年ずっと一緒にいた幼馴染に告白をした。
もちろん、アイツがオレをそういう目で見てないのは百も承知だし、返事なんて求めてない。
ただ、これからはもう一緒にいないから…想いを伝えるぐらい、許してくれ。
そう思って告白したのが高校三年生の最後の登校日。……あれから5年経ったんだけど…
なんでアイツに馬乗りにされてるわけ!?
ーーーーー
美形×平凡っていいですよね、、、、
罪人の僕にはあなたの愛を受ける資格なんてありません。
にゃーつ
BL
真っ白な病室。
まるで絵画のように美しい君はこんな色のない世界に身を置いて、何年も孤独に生きてきたんだね。
4月から研修医として国内でも有数の大病院である国本総合病院に配属された柏木諒は担当となった患者のもとへと足を運ぶ。
国の要人や著名人も多く通院するこの病院には特別室と呼ばれる部屋がいくつかあり、特別なキーカードを持っていないとそのフロアには入ることすらできない。そんな特別室の一室に入院しているのが諒の担当することになった国本奏多だった。
看護師にでも誰にでも笑顔で穏やかで優しい。そんな奏多はスタッフからの評判もよく、諒は楽な患者でラッキーだと初めは思う。担当医師から彼には気を遣ってあげてほしいと言われていたが、この青年のどこに気を遣う要素があるのかと疑問しかない。
だが、接していくうちに違和感が生まれだんだんと大きくなる。彼が異常なのだと知るのに長い時間はかからなかった。
研修医×病弱な大病院の息子
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる