【完結】全てが嫌いな不憫Ωの少年が初恋相手のスパダリαに愛される?ふざけんなお前のことなんか大っ嫌いだ!

にゃーつ

文字の大きさ
上 下
183 / 189
8

陣痛

しおりを挟む

高校に行くこともなく1日中家にいる僕の今の楽しみは刺繍。

やることがなかった僕に橋下さんが勧めてくれた。橋下さんの奥さんが妊娠中にしていたからって。

もう臨月を迎えた僕のお腹の中では毎日のように赤ちゃんがお腹を蹴ったり動いたりしているのを感じていて、もうすぐ会えるのかと思うと楽しみで仕方ない。

昼間はずっと橋本さんがついてくれていて、お腹が大きくて動きにくい僕の代わりに家事をしてくれている。夜はれおんが僕をお風呂に入れてくれて、髪も乾かしてくれて至れり尽くせりだ。

お腹が大きくになるに連れて2人の過保護度もアップしていて、何か運ぼうとするとすぐに止められるし胎動が激しくて少し痛がった顔をすると陣痛かと心配してオロオロするし。

お義母さんが

「出産の時、男親は頼りにならないものよ?普段あんなしっかりしてる洋輔さんだってオロオロするばっかりで全然だったの。れおんにも期待しちゃダメよ~。」

と笑って言っていた。その時はお義父さんが、、?なんて信じられなかったけどそれは事実なんだろうなってここ最近感じる。

とはいっても、僕自身もいつ陣痛が来るのかとドキドキしている。予定日まであと1週間ほどはあるけど、もういつ産まれてもおかしくないって病院で言われたから毎日緊張しっぱなしだ。お腹の子の性別は聞かなかったからその楽しみのドキドキもある。

「ただいま!!!」

臨月に入ってからというもの、れおんはものすごい急いで帰ってくるようになった。本当は会社に行きたくないと毎晩駄々を捏ねている。何がなんでも出産に立ち会いたい、陣痛がきてから生まれるまで1秒たりとも離れたくないというのがれおんの考えみたいだ。

妊娠してからはネットで出産レポなどを調べて読んでいて、その中には妊娠してから旦那さんが冷たくなったや浮気されたなどの記事も多かった。読んだ瞬間は少し不安を感じたが、毎日のこんな様子を見ていたらありえないことなんだなと不安なんか禁じずに済んでいる。

「れおん、おかえりなさい。ご飯できてるよ?」

「うん、ただいま。」

お腹が大きくなってからはキスした後に後ろからギュッてしてもらうのが恒例になった。最初は橋本さんに見られるから恥ずかしかったけど、橋下さんが幸せそうなお姿見ると涙が、、とか言いながら本当に泣き出すから恥ずかしさなんて吹き飛んだ。

「今日は唐揚げだよ。」

「周の唐揚げ大好き。いつもありがとうね。」

今日もれおんとご飯を食べて、お風呂に一緒に入って、後ろから抱きしめられながら目を閉じた。


その2時間後のことだった。

お腹が少し痛む。治ったと思ったらまた始まる。

陣痛がきた。

しおりを挟む
感想 43

あなたにおすすめの小説

完結・オメガバース・虐げられオメガ側妃が敵国に売られたら激甘ボイスのイケメン王から溺愛されました

美咲アリス
BL
虐げられオメガ側妃のシャルルは敵国への貢ぎ物にされた。敵国のアルベルト王は『人間を食べる』という恐ろしい噂があるアルファだ。けれども実際に会ったアルベルト王はものすごいイケメン。しかも「今日からそなたは国宝だ」とシャルルに激甘ボイスで囁いてくる。「もしかして僕は国宝級の『食材』ということ?」シャルルは恐怖に怯えるが、もちろんそれは大きな勘違いで⋯⋯? 虐げられオメガと敵国のイケメン王、ふたりのキュン&ハッピーな異世界恋愛オメガバースです!

【完結】選ばれない僕の生きる道

谷絵 ちぐり
BL
三度、婚約解消された僕。 選ばれない僕が幸せを選ぶ話。 ※地名などは架空(と作者が思ってる)のものです ※設定は独自のものです

事故つがいの夫は僕を愛さない  ~15歳で番になった、オメガとアルファのすれちがい婚~【本編完結】

カミヤルイ
BL
2023.9.19~完結一日目までBL1位、全ジャンル内でも20位以内継続、ありがとうございました! 美形アルファと平凡オメガのすれ違い結婚生活 (登場人物) 高梨天音:オメガ性の20歳。15歳の時、電車内で初めてのヒートを起こした。  高梨理人:アルファ性の20歳。天音の憧れの同級生だったが、天音のヒートに抗えずに番となってしまい、罪悪感と責任感から結婚を申し出た。 (あらすじ)*自己設定ありオメガバース 「事故番を対象とした番解消の投与薬がいよいよ完成しました」 ある朝流れたニュースに、オメガの天音の番で、夫でもあるアルファの理人は釘付けになった。 天音は理人が薬を欲しいのではと不安になる。二人は五年前、天音の突発的なヒートにより番となった事故番だからだ。 理人は夫として誠実で優しいが、番になってからの五年間、一度も愛を囁いてくれたこともなければ、発情期以外の性交は無く寝室も別。さらにはキスも、顔を見ながらの性交もしてくれたことがない。 天音は理人が罪悪感だけで結婚してくれたと思っており、嫌われたくないと苦手な家事も頑張ってきた。どうか理人が薬のことを考えないでいてくれるようにと願う。最近は理人の帰りが遅く、ますます距離ができているからなおさらだった。 しかしその夜、別のオメガの匂いを纏わりつけて帰宅した理人に乱暴に抱かれ、翌日には理人が他のオメガと抱き合ってキスする場面を見てしまう。天音ははっきりと感じた、彼は理人の「運命の番」だと。 ショックを受けた天音だが、理人の為には別れるしかないと考え、番解消薬について調べることにするが……。 表紙は天宮叶さん@amamiyakyo0217

成り行き番の溺愛生活

アオ
BL
タイトルそのままです 成り行きで番になってしまったら溺愛生活が待っていたというありきたりな話です 始めて投稿するので変なところが多々あると思いますがそこは勘弁してください オメガバースで独自の設定があるかもです 27歳×16歳のカップルです この小説の世界では法律上大丈夫です  オメガバの世界だからね それでもよければ読んでくださるとうれしいです

運命の番はいないと診断されたのに、なんですかこの状況は!?

わさび
BL
運命の番はいないはずだった。 なのに、なんでこんなことに...!?

ただ愛されたいと願う

藤雪たすく
BL
自分の居場所を求めながら、劣等感に苛まれているオメガの清末 海里。 やっと側にいたいと思える人を見つけたけれど、その人は……

欠陥αは運命を追う

豆ちよこ
BL
「宗次さんから番の匂いがします」 従兄弟の番からそう言われたアルファの宝条宗次は、全く心当たりの無いその言葉に微かな期待を抱く。忘れ去られた記憶の中に、自分の求める運命の人がいるかもしれないーー。 けれどその匂いは日に日に薄れていく。早く探し出さないと二度と会えなくなってしまう。匂いが消える時…それは、番の命が尽きる時。 ※自己解釈・自己設定有り ※R指定はほぼ無し ※アルファ(攻め)視点

【BL】声にできない恋

のらねことすていぬ
BL
<年上アルファ×オメガ> オメガの浅葱(あさぎ)は、アルファである樋沼(ひぬま)の番で共に暮らしている。だけどそれは決して彼に愛されているからではなくて、彼の前の恋人を忘れるために番ったのだ。だけど浅葱は樋沼を好きになってしまっていて……。不器用な両片想いのお話。

処理中です...