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守る
しおりを挟む「こんなことしてどうなるか分かんないわけ?」
剛さんの腕を掴んでいるれおんの手に力が入っていることがわかる。
αの威嚇フェロモンも出ていて番である僕にとっては守ってくれる安心する匂いだけれど、βである剛さんはガクガクと震えているし、その場から動くこともできずにいる。
れおんがこの部屋に入った瞬間から威嚇フェロモンを垂れ流しているのでハルヒは神谷君が連れだしたみたいだ。
たぶんこのレベルのフェロモンはαにも影響が出る。
それを正面から受けている剛さんは意識が飛ぶほどだろうがれおんが力を込めて握っている腕の痛みが意識を失わせていない。
「・・・れお、ん」
「周、怖い思いさせたね。でもちょっと待ってね、俺今余裕ないから。こいつのこと今すぐに殺せるほどには余裕ないから。」
そう言うれおんに僕はもう何も言えなくなった。
助けてくれただけで十分だ。
このフェロモンはみんなにとっては威嚇されるような苦しいものに感じるのかもしれないけれど、僕にとっては僕を守ってくれる盾のような、そんな安心するフェロモンだから。
外からパトカーの音が聞こえる。
さっき神谷くんが警察呼んだって出て行く時に言っていたから警察が到着したんだ。
「っっ、、れお、ん、、、君、、」
「君は、俺の大切な人を過去に傷つけただけでなく今!!周とお腹の子供2人を危険な目に合わせた!!情けは不要なようだね。君みたいな人、人として軽蔑するよ。」
「な、なんで、、、、。なんで!!なんで分かってくれないんだ!!!僕はこんなにれおん君を思ってるのに!!!」
「は?何言ってんの?君みたいな人僕は露ほども興味ない。いや、そんなことないか。興味というか、存在自体虫唾が走る。俺は基本誰かに惚れられても周一筋だ。ただ、誰かのことを好きな気持ちは俺が一番わかるからその気持ちは否定しないようにしてきた。でも、お前のその気持ちだけは向けられるだけで不愉快だ。」
その言葉で、剛さんの心が折れたようだった。その場に座り込んでしまい、警察の人が到着しても抵抗一つせず連れて行かれた。執行猶予中にこんなことをしてしまったから、確定で牢に入ることになる。これで本当に、終わり。
僕はと言うと、精神的ストレスがかなりかかってしまったため念のため検査を受けたが特に問題なくお腹の子も無事だった。よかった、、、。
「れおん、駆けつけてくれてありがとう。」
「ううん、無事でよかった。連絡が来た時は頭が真っ白になったよ。」
「お腹の子も無事だよ。守ってくれてありがと、パパ」
「パ、パ、、、、。そっか、そうだよね。なんか照れるな、、、。これから先、お前のことはパパとママで守るからな。」
ふふっ、僕もママだ。この辛い悪阻もこの子のためならどれだけでも頑張れるな。ママ頑張るからね、一緒に頑張ろうね。お前を早くパパに会わせてやりたいよ。
まずは目標、卒業式に出ること!そのためにもご飯少しでも食べて元気にならなくちゃ。
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