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1年後
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「受験票持った?」
「持ったってば!大丈夫!!」
心配するれおんに手を振って試験会場へと入る。今日は共通テスト最終日。
結局僕は最初に書いた進路から希望を変えることなく今日を迎えた。僕以上に緊張しているれおんはここ最近僕のために温かい飲み物用意してくれたり栄養のいいものを取り寄せてくれたりと至れり尽くせりだった。
試験会場にはハルヒや神谷君もいて、3人でいつものように会話しながらそれぞれの試験教室へ入る。
僕自身は以前はなりたいと思っていた獣医が本当にしたいことなのかが分からないままだった。トトとココを守りたくてなりたいと思った。でも、トトとココだけじゃない。たくさん守りたいものができた。その全てを守ることってどうしたらできるんだろうって考えてるうちに分からなくなってしまった。
試験の日にそんな考え事してるからかなんだか少し気持ち悪くなってしまった。
深呼吸をして落ち着かせて試験に集中しなきゃ。
「おかえり!!2日間お疲れ様!!」
「ただいま!!!帰ったら一緒に自己採点してくれる?」
「うん。一緒にしよ?その前にお疲れ様の夕飯ね!」
れおんと一緒に暮らすようになってもう2年以上経つんだと思うと時間が流れるのは早く感じる。
増田の家にいた時は時間の流れは遅く感じていた。楽しい時間はあっという間っていうのは日常のほんわりした楽しさにも適用されるんだなって。
「ん?ちょっと待った。周、熱ない?」
「え?」
「なんかちょっと熱くない?」
「んー、わかんない。でもちょっと体調悪い、、か、も?」
なんで早く言わないんだと怒られはしたけど、おかゆ作ってくれてフルーツ切ってくれて布団かけてくれて、抱きしめて寝てくれるのが嬉しくて怒られてるのに笑っていて余計に怒られた。
「ねぇ、れおん?」
「なに?」
「僕幸せだ。」
「そんなの俺の方が幸せだよ。」
昔に比べてご飯もたくさん食べられるようになったし、体重も病院の先生が許容範囲というところまで増えた。
発情期も3ヶ月に1回安定してくるようになったし、発情期中は必ず休みを取って愛しまくってくれる。僕は乱れすぎて発情期中の記憶はあんまりないんだけど、いつも終わった時には可愛かったよ、愛してると言ってくれる。
「明日仕事休もうか?」
「ううん、大丈夫だよ。行って?発情期も近いしその影響だと思うしさ。」
2週間後には発情期が始まる。受験のストレスもあって早めにきたのかな。
「しんどいならちゃんと病院行きなよ!!」
そう言ってれおんが仕事に行った4時間後、僕はリビングでうずくまっていた。
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