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対策本部
しおりを挟むれおんから話を聞いた次の日、僕たちはれおんの実家に来ていた。トトとココを迎えにきたのもあるが、
お義父さんとお義母さんが今回のことを一緒に考えようと言ってくれたからだ。
僕はみんなが思っているほど今回のことは傷ついていない。僕にはこの南家という家族がいると思っているし、急に存在を知った祖父母にまだ信用とかの気持ちが芽生えていなかったから。
「周?大丈夫?」
昨晩何度も何度もそう聞いてくれたれおんは僕がまた傷ついたと心配してくれて、というか心配しすぎていて逆に僕が心配になるくらいだ。
「おかえり~!!シンガポールはどうだった?また私たちとも旅行に行きましょうね?」
「ただいま、、これお土産、、です。」
お土産を初めて1人で選んだ。お義母さんとお義父さんが好きそうなものと思って2人それぞれに。
「これ、お義父さんに、、です。」
恥ずかしくて声が小さくなってしまったが、お義父さんもお義母さんも嬉しそうに微笑んで受け取ってくれた。
お義父さんにはコーヒーに合いそうなお菓子とシンガポールの夜景が描かれたマグカップ、お義母さんには以前好きだと言っていたチョコレートとお義父さんのとついになっている昼のシンガポールが描かれたマグカップを渡した。
お義父さんは僕の頭を撫でて、
「ありがとう、大切にするよ。」
そう言ってくれたのが何だかむず痒くて頷くことしかできなかった。
「さて、周くんの祖父母に関してこれからどうしようか。」
「養子縁組はしないでほしい。周が利用されるなんて絶対あっちゃいけないことだ。」
「そうね、私も同意見よ。」
「財界から追放されるのも時間の問題かなと僕は踏んでるよ。れおん、今さらに詳しいことを調べてもらえるよう彼に頼んである。」
「彼の情報は本当に助かる。裁判でもかなり有力な発言をしたんだってね。」
彼?
あ、なんか調べたり助言してくれたりしたっていう?どんな人なんだろう?
「その協力してくれてる人に僕お礼言いたいです。」
そう言ってみると、お義父さんが気まづそうにこう言った。
「彼は君に合わせる顔はないから君のために働くけど、姿を見せることはできないと言っているんだ。」
「・・・僕の知ってる人なんですか?」
「あぁ、そうだよ。」
「それでも、会いたいと言ったら?」
「・・・この家の2階への階段、左側に曲がって3つ目の扉が彼の部屋だ。訪ねてごらん。顔を合わせてみて嫌だと思ったらここに戻っておいで。」
僕はソファから腰を上げ、1人でその部屋へと向かうことにした。
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