146 / 189
7
旅行⑦
しおりを挟む楽しい時間は過ぎるのが早くて、れおんとハワイに旅行に来てからもう4日目。
明日の昼頃の飛行機で僕たちは日本に帰る。
今日は念願のビーチに来ている。
昨日までに、有名なショッピングモールに行ったり観光地を巡ったりクルージングも連れて行ってもらった。
食事だってロコモコも食べたし、アサイーとかパンケーキとかハワイっぽいものもたくさん食べた。
れおんと2人だけでの旅行。
普段から2人で暮らしているから場所が変わっただけかと思ったらそんなことなくて、幸せを噛み締めるってこんな感じなんだなって思うほど幸せで仕方ない。
堂々と手を繋いでいられるし、海外だからってれおんが道端でキスすればヒュー!っとどこからか指笛が聞こえることもあった。
帰りたくないな。ずっと2人でこうしていたい。この旅行中に何度思っただろう。
でも今は全力で帰りたい。
「し、沈む、、」
「浮き輪あるから大丈夫!」
「さ、鮫がくる、、」
「ここはそこまで深くないよ。それにこのビーチは安全だよ。ね?」
僕は泳いだことがない。小学校も中学校も体の傷を見られたくなくて見学していたから。
泳ぎなんて誰でも簡単にできると思ってた。こんなに難しいなんて思わなかった。
「そんなに難しく考えないで足バタバタさせてごらん?」
足をバタバタさせてはみるが浮き輪とれおんにしがみつかないとどんどん沈んでいくのが怖くてすぐやめてしまう。
「~~っ、、こわぃ、、」
「わ~、、ごめんごめん、怖かった?足つくとこ戻ろ?」
怖くなってしまった僕を足のつくところまで連れてきてくれた。
「ごめんね?れおん、泳ぎたいのに。」
「ん?俺は周と海に入れればそれで良いから泳ぎたいとかどうでも良いよ?そんなこと気にしてたの?」
僕が不安で仕方ないこともそんなことで済ませて解決してくれるからほんと敵わない。
「もう明日の今頃は飛行機だよ?ハワイを楽しまなきゃ。」
「うん!!」
「ハワイ楽しい?」
「うん!楽しい!!知らない食べ物とかいっぱいあるし、海綺麗だし!あと、勉強してた英語が伝わって会話できたのが楽しかった!!早くて聞き取れない時もあったけど!」
「周ならもっとたくさん話せるようになるよ。周との初めての海外旅行だから不安だった。楽しんでくれるかなって。でも、楽しいなら何より。」
そう言って海の中でれおんに抱きしめられ、キスをした。
ハワイで何度もしてるし、日本でだってしてるけど、すごく、すごく特別に思えたんだ。間違いなく一生忘れられないような、そんな時間だった。
こんなに楽しい日々、終わってほしくないな。そう思い、まだまだいたいという思いを残しながら次の日、僕たちは飛行機に乗った。
応援ありがとうございます!
4
お気に入りに追加
1,515
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる