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落ち着き

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「周はクラスメイトの豹変ぶりと、大勢から向けられる罵倒が怖かったんだね。」

「・・・うん。」

「周の友達はいつものことだって言ってたんだよね?」

「うん、、、中等部の頃からずっとみたいで、、、。クラスのみんなは、あんな中でテスト受けてきたの?あれが普通なの?友達って急に嫌なこと言ってくるの?」

---ギュッ

「落ち着いて。俺や泰生はお互いに嫌なこと言い合うと思う?」

真剣な目をしてそう聞かれる。
れおんと泰生くん、、。

れおんは泰生くんにうるせーとか言ってるけど、言われてる泰生くんは笑顔だし、それに、相手を傷つけるようなこと言ってるのなんか聞いたことない。

だから、思いきり首を振った。
すると、れおんの真剣な目がいつも僕を甘やかしてくれる時の柔らかい目になった。

「そうでしょ?俺も泰生も傷つけるようなこと絶対に言わないし、少し言い合うことはあってもそれはただの喧嘩で、すぐ仲直りする。・・・でも、周が見たそれは、友達同士のやりとりじゃない。喧嘩っていうのはさ、この間したみたいに2人でするもんだろ?でも、それは一方的じゃないか。」

喧嘩、、前にれおんとした。
その時は、言い合いにはなったけど傷つける言葉じゃなかった。だって、言葉自身に傷ついたんじゃなくてその言葉に込められた相手の心が分からなくて悲しかったから。

「うん。僕、友達っていっぱいできたほうがいいと思ってたけど、そんな友達なら嫌だ。」

「うん、周の友達はまわりと同じように暴言吐いてた?」

「ううん、してなかった。なんにんかはしてなかったんだ。でも、僕も同じだ。」

「同じ?」

そう、僕はただ唖然として見ていた。クラスメイトが暴言を吐いて、クラスメイトが傷ついていってる様子を、ずっと見てた。怖かった、恐ろしかった。


でも、


「止めることができたかもしれないのに、止めることもしなかった。」

まだあの家にいた時、使用人の人は見て見ぬ振りをしていた。確かに、助けたら雇い主である父になにかされるかもしれないんだろうけど、そう思ったのは大きくなってからで、幼い僕にとってはみんな同じだった。みんな、僕を傷つける人だった。

「・・・偉いね、そう考えられる人は実は少ない。その考えで行動することで周が傷つくこともあるかもしれない。でも、周のその考えは正しいんだからね。」

そう言ってたくさんギュってしてくれた。頭も撫でてくれた。

キスもしてほしいって思ったら、ちゃんとしてくれた。

「あ、そういえば周のテスト結果はどうだったの?それ気になって帰ってきたんだけど。」

「あ、忘れてた。ちょっと待ってて。」

荷物を寝室に放ったらかしにしてたから、取りに行く。
そうだった。これ見せたら褒めてもらえるかもって思ってたのに、すっかり忘れてた。

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