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震える体 れおんside
しおりを挟むすぐに周を俺の洋服ごと抱えてベッドに座らせる。
とりあえず事情を聞くより落ち着かせるのが先だな。泣くのが止められないというより恐怖からくる体の震えが止まらないんだろう。俺の胡座の中で横抱きにし、全身が俺に包まれる、番に包まれれば少しは安心するはずだ。
「っ、、れ、お、、ん、、、もっと、ぎゅって、、っ、してっ」
「ん、痛くない?」
「うん、、、大丈夫、、」
「お、トトもココも心配みたいだよ。周の膝に乗ってきた。もうかなりおっきくなったからはみ出てるね。」
トトとココを撫でてやりたい気持ちはあるんだろうが俺にしがみつく手が離れることはない。不安なんだな。
学校から帰ってきて約2時間ずっとこうしていたんだろう。不安で番の側にいることを求めたのに番はいなくて、早く帰ってきてくれと願って1人震えながらあの中にいたんだ。
「帰ってくるの少し遅くなってごめんね?ケーキ買ってたんだ。今日は村重もいないし、2人きりでゆっくりできると思って。」
「うん、僕こそごめん、、、。少し、落ち着いた。」
「そっか。じゃあご飯にしよ?」
「・・・聞かないの?」
「話したければ聞くけど、まずはご飯食べて元気つけよ?」
「・・・うん、ありがと。」
今日はデリバリーを頼むことにした。周にデリバリーのメニューを見せると食べたことないものがたくさんあったみたいですごく難しい顔してるんだ。
最終的にお寿司にした。届いて開けるとすごいキラキラした目で見るから思わず笑ってしまって怒られたけど。
いつもは向かい合わせになって座るが、今日は離れたくないんだろう。隣に座りたそうにしていたから、
「今日はソファで食べる?くっついて食べれるからイチャイチャできるよ。」
「・・・ばか。」
恥ずかしがっているようだけど、嬉しいって顔してる。・・・今日は、離れちゃダメだ。周のそばにいないと。
お寿司の中でも周は王道のマグロやサーモンでなく鯛が気に入ったようだった。初めてのお寿司だから、生魚が嫌だったらとか思ってたが美味しい美味しいと食べ勧めてくれてよかった。
「・・・・あのね、、、」
少し言いづらそうに周が話し始めた。
なぜ泣いていたのか、震えていたのか、今日学校であったことを話し始めた。
俺は信じられないものを聞いた感覚だった。
そんなことが起こったのか。
暴力に、暴言に恐怖を持っている周の目の前でそんなことが起こったのか。
不安になるのも当たり前だ。怖くなるのも当たり前だ。
くそっ、やっぱり学校に行かせない方がよかったのか。
「僕、怖かったんだ。僕もたくさん暴力と暴言を受けたよ?でも、あんなに大勢から言われてる人を見るのは初めてで、、昨日まで、今日の昼まで仲良くしてたのに、、、その、」
そうか。ただただ暴力と暴言が怖かったんじゃない。
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