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高校生活
しおりを挟む高校に編入してから2ヶ月が経った。
Sクラスは本当に勉強量が多い。毎日朝イチに小テストがされ、その日の昼には点数と順位が張り出される。
授業に宿題はないが、前回の内容は全員が把握しているのが前提として授業が進められるので毎日予習復習に追われている。普段は宿題はないが、テスト前、長期休暇中は驚くほどの量が出ると翔くんに教えてもらった。実際、すごい量が出た。
翔くんとはあれからもずっと仲良くしている。今週の土曜日には翔くんの家に遊びに行くことになった。
クラスメイトとも少しずつ話すことができてきて、毎日が楽しい。
「わぁ~周くんまた1位だ!!すごいね!」
「そんなことないよ、、毎日必死だよ。翔くんも4位じゃない!すごいよ!!」
編入してから毎日の小テストでは1位を取り続けることができている。翔くんも4位~6位を行ったり来たりで頭いいんだなと知った。
2位と3位もいつも同じ名前、クラスでいつも1人でいる2人の名前だ。
3位が神谷 葉月君、長い前髪の背の高い男の子だ。
2位が鈴木 ハルヒ君、眼鏡をかけていていつも本を読んでいる。
2人とも話してみたいなと思ってはいるんだけど、自分から話しかけるなんてできなくて、未だに話すことができていない。僕の意気地なし。
「あーあ、来週には中間テストだしな~嫌だよ~」
「宿題もたくさん出てるもんね。」
「土曜日に頑張って片付けようね!!!」
「うん!」
翔くんと仲良くはしているし、毎日楽しい。でも、なんだかこの学校には変なところがある。
隣のクラスの男の子が体や顔中が怪我だらけで登校してきたんだ。なのにみんなそれが当たり前のようにスルーしていた。何人かは自業自得だって言ってた。僕は話したこともないし関係ないのかもしれないけれど、そんなふうに思えなくて、玄関で会ったとき、思わず、どうしたの?と聞いてしまった。彼は、大丈夫だからと震えていた。だから、れおんが持たせてくれていたお菓子をいっぱいあげると、泣きながらありがとうと言われた。
そのことは今だに周りに聞けないでいる。なんだか聞いてはいけないような気がして。
そのことはれおんにも言っていない。
あ、チャイム。
今日は午後休だから迎えにきてくれるんだ。
「翔くんまた明日ね!!」
彼に手を振って校門の外まで急ぐ。
学校に行っているからこそれおんとの時間がとても貴重で、でもどの時間よりも大切で、ほんの少しの時間でも長く一緒にいたい。
---ガチャ
「ただいま!!!」
「おかえり。」
迎えにきてくれる時はいつも車に乗ってすぐに頭を撫でてくれて触れるだけのキスをしてくれる。
「今日のテストね、満点だったんだ。」
「すごいね、編入してからずっとだよね?」
こうして学校のことを報告するといつも褒めてくれる。僕が勉強に詰まると分かりやすく教えてくれる。僕が小テストで満点をとり続けていられているのはれおんのおかげだ。
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