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矛盾 れおんside
しおりを挟む一瞬で理性なんてぶっ飛ぶくらいの匂い。
何も考えられなくなるくらい夢中になるような、今すぐ頸を噛んで俺のものにしたくなるそんな匂い。甘くて、芯のあるような周みたいな匂い。
ただひたすらに目の前の愛しい人を愛することにばかり気を取られた。付き合った時に待つって言ったのに。
後悔した。目の前で恐怖で震えてる周を見て、ごめんなさいって俺に謝罪する周を見て。
「僕、れおんが嫌なんじゃない。れおんとならできるって本気で思ってたし、れおんとしたいってちゃんと思ってる。なのに、一瞬であの夜のことが頭にフラッシュバックしたんだ。」
「うん。俺も焦りすぎた。がっつきすぎた。ごめん。周、いい匂いしたから。つい・・・」
言い訳でしかないかな。
「・・・嬉しい。僕の匂い、自分じゃわからないから。れ、れおんも、いい匂いだよ。今も香ってる。」
抑制剤が効いてはいるがまだ発情期中。俺の匂いにも敏感だし、俺も周の匂いに包まれていると感じるくらいだ。
「周、自分を責めないでね。周が悪いことなんて何一つないんだから。」
「・・・。」
「・・・周?」
黙り込んでしまった周の顔を覗くとポロポロと涙を流していた。
「・・・!?どうしたの、え、そんなに嫌だった、、?」
「・・・ちがぅ、、僕、なんで、怖がっちゃうんだろ。どうやったら治るの、れおんに、上書きしてもらいたい、れおんは怖くないのにっ、、もぅ、、やだ、こんな僕、嫌いだ。」
---ギュッ
「周、周のこと嫌いなんて言わないで。俺は大好きなんだから。」
そう言うと、また泣き出してしまった。
本当なら、病院に行った方がいいし、トラウマが消えることはないかもしれないけれど、その日まで何もしないのがいいのかもしれない。
でも、周の気持ちも汲み取ってあげたい。
「ねぇ、周?発情期中の1週間、少しリハビリしてみる?」
「リハビリ、、?」
「うん。キスしたり少しだけ触れる。少しでも嫌になったらすぐ止める。お互い抑制剤の服用は絶対ね。」
俺はいい彼氏じゃないかもしれない。
こんな提案するんだから。
また、周に嫌いって言われるかな、、
「れおん!ありがとう!!!リハビリする!!!」
え、、予想外すぎる。
え、、周から思いっきり抱きつかれたんだけど、俺どうしたらいい?
死にそうなくらい嬉しいんだけど。
「リハビリ!しよ!今から!!」
さっきまで泣いていたから目や鼻がまだ赤いのにもう笑顔で俺の手を引っ張っていく。
よかった、、のか?
ま、喜んでる?っぽいしいいのかな。
結構嫌がること言ったと思ったのにな。
「れおん!はやく!」.
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