【完結】全てが嫌いな不憫Ωの少年が初恋相手のスパダリαに愛される？ふざけんなお前のことなんか大っ嫌いだ！

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嫌なこと れおんside

こんなに拒否したいことってあるんだろうか。これまでにも我が儘は言ったことある。だけど、そんな可愛いものですまないくらいに絶対に嫌だと思った。ここに俺1人で残ろうとそう思った。

「ぜったいにいかない！！！」

「れおん、言うことを聞いてくれ。お前に取ってもいいことなんだ。」

「なんでおれは！しゅうのそばからはなれなきゃいけないんだよ！！おれはのこる！！しゅうといる！！」

「れおん？パパの言うこと聞きましょう？あっちでもお友達はできるわよ。」

「ともだちなんかこっちにいないよ！！しゅうはおれのだ！！おれがそばにいなきゃ！！」

周のそばにいなきゃいけないんだ。

離れたくない。
俺はこのとき物心ついて初めて親への反抗で泣いた。
周から離れたくないと。

「おねがい、します、しゅうのそばに、いさせて、、おれから、しゅうをとらないで」

「・・・これは決定なんだ。」

「・・・あなた。」

その後も泣き続け結局その日は泣き疲れて眠ってしまった。
毎日両親に訴えたが、聞く耳を持ってくれなかった。
幼稚園が最後の日になるまで俺は周にそのことを告げられなかった。

伝えなければいけないのに、俺の口から伝えると俺もそれを望んでいるかのように思えて口に出せなかった。

今日しかもう言う日がない。
幼稚園最後の日、俺は周の手を引いてウサギ小屋の前に行った。周と出会った場所。

「しゅう、おれ、あしたからあめりかいく。」

「あめりか？ぼくもいっしょにいける？」

「・・・うみのむこうなんだ。とうぶんかえってこれないってパパがいってた」

「・・・ばいばい？」

バイバイなんかしたくないのに。

「ぜったいまたあいにいく。だから、ばいばいはしないよ」

ポロポロ涙を流す周を見ることしかできなかったその日、迎えにきた車の中でただ無言で涙を流し続けた。

アメリカについてからは一気に体調を崩してしまった。
毎日涙も止まらないし、ご飯もあまり喉を通らない。常に微熱が続き、嘔吐してしまうこともあった。

流石に異常だと思った両親が医者に見せると、

「子どもには珍しいですが、αのΩ欠乏によるフェロモン異常です。」

医者が言うには番のΩを何らかの形で失ったαによくみられる症状らしい。
幸い俺は比較的軽い症状なのでフェロモン剤を飲むことで少しマシになった。

だけど、周を思い出して流す涙は止まらないし症状はマシになっただけで治りはしなかった。
フェロモンが安定してくる10代までは通院し様子を見ることになった。

両親からは

「ごめんね。れおんは番にしたい大切な子を見つけていたのに、引き離してごめんね。」

そう言っていたけれど、日本に連れて帰ってはくれなかった。
今だからわかるが、この時会社をさらに大きくするためにアメリカに来ており軌道に乗り始めたところだったため日本に帰ることなどできなかった。
父さんの下には何万人もの社員とその家族がいるのだから。

そんな俺が友人と呼べる相手と出会ったのは10歳の時だった。