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問題
しおりを挟む1番大きな問題じゃないか。
すっかり頭から抜けていた。
「・・・・れおん、僕、お金持ってない。ここでの生活費も、食費も払ってないのに、学校なんて行けない。」
働けたらいいんだろうけど、僕にできる仕事なんて、一つしか、ない。
でも、もう、したくない。
でも、
---ギュッ
「落ち着いて。周、変なこと考えないで。周は今何歳?まだ16でしょ。俺はもう大学卒業してるから父さんの会社で働いてるけど周はまだ学校行く年齢。働かなくていいの。俺、言ったよね?いつかプロポーズするって。だから、お金は気にしないでいい。」
「・・・でも、」
「っていっても周は気にするよな。そうだな~、出世払いはどう?」
「・・・出世払い?」
なにそれ。支払い方法?
「周が夢を叶えて、自分でいっぱい稼げるようになってから払うのが出世払い。どう?それまではさ、俺に頼ってくれない?恋人だろ?」
「・・・いいの?僕、やりたいこと、して、いいの?」
夢なんて、叶えられるものじゃない。
希望なんて持ったって無駄だった。
だから、自分がやっと自分になっていけるような気がするんだ。
「周、俺にいっぱい甘えて?頼って?俺、アメリカにいたこと後悔してる。周が、苦しい時に近くに入れなかったこと、後悔してる。だから、罪滅ぼしってわけじゃないけど、10年分周のこと愛させて?」
「・・・れおん、僕、高校行きたいです。獣医になりたい、です。僕のことこれまでにも助けてくれたけど、これからもお願いしたい。」
「うん。もちろん。世界一大好きな周のためならなんでもできるよ、俺。」
胸がドキドキする。あんなに嫌いだって思ってたのが嘘みたいに、好きで好きで仕方ない。
---チュッ
愛しさが溢れて、何かしたくて、思わずれおんに自分からキスをしてしまった。
「・・・・・・え。」
れおんか固まってしまった。
キス、しない方が良かったのかな。
やっぱり、僕、汚い?これまで数え切れないくらいたくさんの人と関係持ってきたから、だから、嫌だったの?
苦しい。
涙が溢れる。涙が溢れる直前強く、強く抱きしめられた。
「・・・キス、してくれるなんて、思わなくて、嬉し、くて。その、」
「ほんと、に?キス嫌じゃ、なかった?僕、と、するの、嫌じゃ、ない?」
「嫌なわけない。こんなに好きなんだから。ね、お願い。もう一回、今度は俺からしてもいい?」
もう一回、、、、。
コクリと頷くとれおんの片手が後頭部に回る、もう片方の手は僕の頬に。
だんだん近づいてくるれおん。
スローモーションみたいに見える。
「・・ん。」
あぁ、れおんとキスしてる。
僕、好きな人と、キスできてる。
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