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したい事
しおりを挟む榊さんたちを見送って、帰りは部屋までれおんがおんぶしてくれた。
また熱上がったら大変だからって。
「ねぇ、周?周はさ、自由になったんだ。何かしたい事ないの?」
してみたい、こと?
「夢、とかさ。」
「れおんは、あるの?」
「俺は、父さんの会社をもっとおっきくすることと、その、」
「なに?教えてよ。」
「ただの俺の夢だからね!気にしないでね?・・・周をお嫁さんにもらう事、が俺の夢。」
「・・・・・・」
「黙んないでよ、返事はいらないし。頑張って周にもっと好きになってもらう。それで、いつかプロポーズするから。」
れおん、、そんな風に考えていたんだ。
嬉しい。
僕多分、断らないよ?今は何も言ってあげないけど。
僕の、したいこと。か
「・・・僕、動物のお医者さんに、なりたい。」
「獣医?」
「うん。トトとココが傷ついていた時に、何もできなかったのが悔しかったんだ。」
あの時ほど絶望したことはない。自分自身が傷つくことよりもはるかに痛くて苦しかった。
「優しい周らしい夢だね。じゃあ、高校に行かなきゃだね。そのあと大学!」
「え、でも、僕そんな頭良くなくて、、」
「それはまともな教育を受けられるような状況じゃなかったからだろ?」
たしかに、勉強に集中できるような状況ではなかった。でももう同い年は高校に入学して数ヶ月経ってるし。
「1年遅れにはなるけど、入学できるよ?俺の親友が北見財閥なんだけど、経営してる学園があるからね。編入試験さえパスすれば入学できる。どう?頑張ってみる?」
何か夢中になれるもの、見つけてみたい。高校に行ってみたい。
「僕、頑張りたい。」
「よし。なら今日から猛勉強だ。俺が専属家庭教師で教えるから。頑張ろうね。」
れおんは頭いいっぽい。もう大学卒業まで済ましているって言ってたし。
「周はどこまでなら自信ある?小学校まで?中学校まで?」
「中学は、仕事とかあってほとんど行ってなかったけど教科書だけ読んだよ。」
「読んだだけじゃあんまりわかってないよなきっと。じゃあ、小テストしてみてどこからわかんなくなってるか見てから始めよっか。」
そう言ったれおんは村重さんに何かを頼んでいた。
僕は何もすることができずただただトトとココと遊んだ。
はやくトトとココと走り回れるくらいになりたいな。
勉強、頑張れるかな。
もう12月になってしまった。編入試験は3月って言ってた。4ヶ月弱でどうにかなるんだろうか。
不安でいっぱいだけれど、頑張りたいって気持ちが強い。
れおんもそばにいてくれるし、トトもココもいる。
と、ここで僕は大事なことに気づいてしまった。
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