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しおりを挟む「俺、出発は来週の金曜日の13時20分の飛行機になったよ。」
みんなでお茶を飲んでゆっくりしていると理玖さんがそう言った。
来週の金曜日・・・
「そうか。気をつけていくんだぞ。」
「理玖おじさん金曜日なら俺見送りいけないね。」
「そうだな~。前の日の晩に優の家にちょっと顔出させてもらおうかな。楓君、いいかい?」
「あ、はい!あの、その日俺お見送り行きたいけど病院の定期検診の予約が11時半でにあって間に合うかが・・・」
「いいよいいよ!!別に一生向こうにいるわけじゃないし。前の晩に挨拶行くからその時で十分だよ、ありがとうね。」
俺にできることって何があるんだろう。俺はこんなに理玖さんに助けてもらったのに理玖さんの気持ちにも気づかなくて理玖さんの気持ちに対して何も言うこともできてない・・・はや君に対しても・・・
30にもなって恋愛がわかんないなんてなぁ・・・
悩んでいる間に過ぎる日数なんてあっという間で気づけばもう木曜日、理玖さんは俺の家を訪ねてきて30分くらいで帰ってしまった。
何話したかもちゃんと覚えてない・・・
「ママ?理玖おじさんがオーストラリア行っちゃうの寂しいね。」
「うん、寂しいな。理玖さんいっつも良くしてくれたもんな。」
「うん、ママ明日病院早く終わったらお見送り行くの?」
「んー、そうだな。行けたらいいけど間に合うかな~?病院から空港までちょっと距離あるしな、でも間に合いそうなら行くよ。」
「そっかー、ママがお見送り行ったら理玖おじさんきっと喜ぶよ!!」
「そうか?それならいいな。ってもうこんな時間!優寝なきゃ!!」
結局俺はほとんど眠ることができずに朝を迎えた。頭の中でずっとぐるぐるしていてもうどうしていいか全然わかんなくて、自分の気持ちなのに分からなくて、それが情けなくて・・・
「っ!ぉい!楓!!」
「あ、、ごめん。何?はや君。」
診察中なのに考え事しちゃってた。
「お前が考え事なんて珍しいな。」
「考え事ぐらい俺だってするよ・・・」
「ふーん。」
「何?その含んだ感じの言い方。」
前に告白されてからはや君にだって元々どう接してたか分からなくなってるのに、理玖さんのことも考えてってしたら余計パニックになるんだもん。
2人のこと大事だから傷ついてほしくないし、そのためにはどうしたらいいのかわからない。
「柊さんから告られでもした?」
「ぇ・・・・・・」
「やっぱりな。」
「な、なんで・・・」
「お前のこと見てたら分かるし、柊さんがお前のこと好きなのも知ってた。それで、お前は俺のことと柊さんのことで頭の中いっぱいってわけだ。」
「ぅ、、、」
その通り過ぎて、何も反論できない。
「柊さん、海外行くんだろ?」
「え、なんで知ってるの?」
「幹也さんから聞いた。あの人最近俺によく連絡してくんだよ。」
幹也さん・・・あ、理玖さんの先輩の探偵の人か。
「なあ、楓。恋愛ってのはさ、誰も傷つけねえなんて無理なんだよ。2人から告白されればどっちか、もしくは両方フらなきゃならねえ。両方傷つけねえようにすることは両方を傷つけることなんだ。真剣な気持ちに対してなら余計に真剣に応えなきゃなんねえ。」
「・・・・・・。」
「お前の中でもう答え出てんだろ?さっさと言え。」
「~っ、、ぅ、、はや君っ、、ごめ、、」
「楓、泣くな。言え。」
「はや君、俺っ理玖さんが好きっ、、だからっ、はや君の気持ちには応えられないっ。ごめんなさいっ!」
理玖さんが海外に行くって聞いたときに行かないでってそう思った。俺のそばにいて欲しいって。それに、優たちがいなかったら俺のことこんなに良くしてくれないのかななんて思って凹んだ時もあった。
俺、理玖さんのこと好きだ。
泣き顔を隠すように顔を下げていると頭をガシガシされた。顔を上げると涙を浮かべながら笑ってるはや君がいて、
「よく言った。お前が俺のこと男としては選ばなかったとしても、俺たちは一生親友だろ。」
「うんっ!!」
「楓、理玖さんの飛行機何時だ?俺このまま昼休みだから空港まで送ってやる。」
「13時20分って言ってた!」
「おいおい、ギリギリだぞ。ほら早く行くぞ!!」
はや君は法定速度ギリギリで空港まで送ってくれた。だが、空港の駐車場付近が混んでいて進まない。
「海外便だしそろそろ搭乗時間になっちまうな。楓、こっからは車降りて走れ。医者の俺が言う、お前はもう走れるよ。無理はすんなって言いたいところだが、間に合わなきゃ意味ねえぞ。」
「うん!!はや君ありがとう!!」
「帰りは1人で帰れるか?俺診察あるからよ。」
「うん!大丈夫!!ありがとう!!」
車から飛び出した俺は国際線のターミナルへ走った。空港なんて初めてきたから何が何だか分からなくて人に聞きながらどうにか辿り着いたけど、理玖さんがどこにいるか探し出せるんだろうか。
さっきから携帯にかけているが出ないし
どうしよう・・・
走って走ってようやく理玖さんの便の搭乗口付近に着いた。キョロキョロと周囲を探すが・・・もう中に入っちゃったのかな。
どうしよう・・・
あ、いた。
「理玖さん!!!!!!」
搭乗口と書かれた場所にできている列の前の方にいた理玖さんに叫んだ。人生で1番大きな声を出したんじゃないかと思う。
お願い、気づいて。
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