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番外編
小話3 過保護なパパ
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【過保護なパパ】
セドとの赤ちゃんを妊娠した。今日はちゃんとした設備の整った病院で診てもらう。
公務があるのに国王様に直談判して一緒に来たセドと2人だと病院の中で浮くな。僕たちがくるとすぐに妊娠が分かってしまうので裏口から入って特別室に通してもらうことにした。安定期までは公表しない方針だからだ。
「ん?ぉ~なるほど。」
お腹にぬるぬるしたものを塗って機械を当てながら先生がふむふむと頷いている。
「先生、なんなんです?」
セドは産科にはあまり詳しくないから先生の説明を今か今かと待っている。
「殿下、ルイ様、おめでとうございます。お腹の子供は順調ですよ。それに、、」
「それに?」
「ルイ様のお腹には2人お子様がいらっしゃいます。双子です。」
ふた、、ご、、、、。
「ルイ、双子だって。僕たち一気に2人のパパとママになるんだよ?」
双子、、、。せ、せいべつ、、、、、
「あの、性別はいつわかりますか、、、」
「ぁ、、えっと、、まだ先ですよ。気になりますか?」
「ぁ、、いぇ、、、すいません。」
胸がドキドキしてしまう。
その後事務的な手続きや次の予約に妊娠中気をつけなければいけないことなどたくさんのことを言われたが僕は心ここに在らずでなんだかフワフワとしていた。
そんな僕にセドが気づいていないはずもなく、城に帰ってきた途端にソファに座ったセドの膝の上に向かい合わせで座らされた。
「ルイ?不安?」
「・・・」
「ルイはずっと苦しかったもんね。ルイにとっての性別は理不尽に蔑まれてきた原因だもんね。でもね、考えてみて?例えば男の子と男の子の双子だったらきっとヤンチャに育つよ?ルイが好奇心旺盛だから、きっと遺伝する。ちゃんと見とかないとすぐ迷子になっちゃうかもね。女の子と女の子の双子だったら1人はおてんばでもう1人はお姉ちゃっ子な静かな子とか?でも、我が強そうだよね。僕たち2人とも頑固だし。」
セドはそうしてお腹の子がどんな子になるのかの想像を僕にたくさん話してくれた。
「女の子がお姉ちゃんで男の子が弟の双子なら、お姉ちゃんはすごくしっかりした子に育つだろうな。それで、弟もお姉ちゃんに負けたくなくて負けず嫌いに育つかな。あとは、男の子がお兄ちゃんで女の子が妹の時。」
ビクッと僕の体が震えた。
「お兄ちゃんは妹を守るために必死に強くなるよ。妹はお兄ちゃんがハラハラするくらいおてんばになってお兄ちゃんをさらに強くさせちゃうかな。」
そんな未来をセドと一緒に想像して涙が出た。今セドが言ってくれたどんな組み合わせで生まれたって、すごく幸せな光景だ。子どもたちがどんどん成長する様を見るのはどんなに楽しいだろう。ママって言ってくれるのはいつになるだろう。一緒に歩けるのはいつになるだろう。そんなことを想像したら幸せでいっぱいな未来だ。
「セド、ありがと!ぼくもう大丈夫!!」
後日の検診で双子の性別が男の子と女の子であることがわかり、そのタイミングで国民へ公表した。
街に出ればきっとたくさん声をかけてもらえるんだろう。そう思っていたが、
「ルイ!!なんで靴下履いてないの!!体冷えたらどうするの!!」
とか
「ルイ、お願いだから城からいや、部屋から出ないで。それか僕の執務室にずっといて。ルイが心配で僕死んじゃいそう。」
なんてことを毎日のように言う過保護なパパのせいで外出はできないでいる。
お母様が、
「男親はそんなに頼りにならないのよ?妊娠・出産はね、産む側がどんどん強くなるの!!」
そう言っていた。頼りないお父様を想像することができなかったからよくわかっていなかったんだけど、お母様の言葉があながち間違いじゃないなって今痛感している。
「あ、動いた。」
胎動を感じてどんだけ小さい声でそう言ったとしても
「僕も触る!!!!!」
って駆け寄ってくる。なのに、触る時は触っていい??大丈夫?いたくないよね?なんて不安にオドオドしながら恐る恐る触るから面白くて仕方ない。
びっくりするくらい頼りないなって思う毎日だけど、
毎日夜お腹に話しかけては
「産まれたら何がしたい?何が食べたい?パパが全部叶えてあげるからな~」
って話しかけてるセドが愛おしくて仕方ない。
まあ、
「でも、ママはパパのだからな~」
と必ず言ってるので産まれたらどうなるんだろうとも思う。そんな幸せな妊婦生活。
セドとの赤ちゃんを妊娠した。今日はちゃんとした設備の整った病院で診てもらう。
公務があるのに国王様に直談判して一緒に来たセドと2人だと病院の中で浮くな。僕たちがくるとすぐに妊娠が分かってしまうので裏口から入って特別室に通してもらうことにした。安定期までは公表しない方針だからだ。
「ん?ぉ~なるほど。」
お腹にぬるぬるしたものを塗って機械を当てながら先生がふむふむと頷いている。
「先生、なんなんです?」
セドは産科にはあまり詳しくないから先生の説明を今か今かと待っている。
「殿下、ルイ様、おめでとうございます。お腹の子供は順調ですよ。それに、、」
「それに?」
「ルイ様のお腹には2人お子様がいらっしゃいます。双子です。」
ふた、、ご、、、、。
「ルイ、双子だって。僕たち一気に2人のパパとママになるんだよ?」
双子、、、。せ、せいべつ、、、、、
「あの、性別はいつわかりますか、、、」
「ぁ、、えっと、、まだ先ですよ。気になりますか?」
「ぁ、、いぇ、、、すいません。」
胸がドキドキしてしまう。
その後事務的な手続きや次の予約に妊娠中気をつけなければいけないことなどたくさんのことを言われたが僕は心ここに在らずでなんだかフワフワとしていた。
そんな僕にセドが気づいていないはずもなく、城に帰ってきた途端にソファに座ったセドの膝の上に向かい合わせで座らされた。
「ルイ?不安?」
「・・・」
「ルイはずっと苦しかったもんね。ルイにとっての性別は理不尽に蔑まれてきた原因だもんね。でもね、考えてみて?例えば男の子と男の子の双子だったらきっとヤンチャに育つよ?ルイが好奇心旺盛だから、きっと遺伝する。ちゃんと見とかないとすぐ迷子になっちゃうかもね。女の子と女の子の双子だったら1人はおてんばでもう1人はお姉ちゃっ子な静かな子とか?でも、我が強そうだよね。僕たち2人とも頑固だし。」
セドはそうしてお腹の子がどんな子になるのかの想像を僕にたくさん話してくれた。
「女の子がお姉ちゃんで男の子が弟の双子なら、お姉ちゃんはすごくしっかりした子に育つだろうな。それで、弟もお姉ちゃんに負けたくなくて負けず嫌いに育つかな。あとは、男の子がお兄ちゃんで女の子が妹の時。」
ビクッと僕の体が震えた。
「お兄ちゃんは妹を守るために必死に強くなるよ。妹はお兄ちゃんがハラハラするくらいおてんばになってお兄ちゃんをさらに強くさせちゃうかな。」
そんな未来をセドと一緒に想像して涙が出た。今セドが言ってくれたどんな組み合わせで生まれたって、すごく幸せな光景だ。子どもたちがどんどん成長する様を見るのはどんなに楽しいだろう。ママって言ってくれるのはいつになるだろう。一緒に歩けるのはいつになるだろう。そんなことを想像したら幸せでいっぱいな未来だ。
「セド、ありがと!ぼくもう大丈夫!!」
後日の検診で双子の性別が男の子と女の子であることがわかり、そのタイミングで国民へ公表した。
街に出ればきっとたくさん声をかけてもらえるんだろう。そう思っていたが、
「ルイ!!なんで靴下履いてないの!!体冷えたらどうするの!!」
とか
「ルイ、お願いだから城からいや、部屋から出ないで。それか僕の執務室にずっといて。ルイが心配で僕死んじゃいそう。」
なんてことを毎日のように言う過保護なパパのせいで外出はできないでいる。
お母様が、
「男親はそんなに頼りにならないのよ?妊娠・出産はね、産む側がどんどん強くなるの!!」
そう言っていた。頼りないお父様を想像することができなかったからよくわかっていなかったんだけど、お母様の言葉があながち間違いじゃないなって今痛感している。
「あ、動いた。」
胎動を感じてどんだけ小さい声でそう言ったとしても
「僕も触る!!!!!」
って駆け寄ってくる。なのに、触る時は触っていい??大丈夫?いたくないよね?なんて不安にオドオドしながら恐る恐る触るから面白くて仕方ない。
びっくりするくらい頼りないなって思う毎日だけど、
毎日夜お腹に話しかけては
「産まれたら何がしたい?何が食べたい?パパが全部叶えてあげるからな~」
って話しかけてるセドが愛おしくて仕方ない。
まあ、
「でも、ママはパパのだからな~」
と必ず言ってるので産まれたらどうなるんだろうとも思う。そんな幸せな妊婦生活。
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