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番外編
小話2 喧嘩・・・?
しおりを挟む「ルイ、ご飯食べなきゃ。」
「ご飯食べたくない・・・」
「体調悪い?」
「そういうわけじゃないんだけど、、、」
「フルーツだけでもさ、ね?」
いらないって言ってるもん・・・
でもセドが悲しい顔するからキウイを少し食べた。
昨日の夜からなんだか気持ち悪くてご飯を食べたくないって思ってしまっている。でも熱もないし、ちょっと気持ち悪いだけなんだ。
「ごめん、僕もう公務行くね?ルイは今日はゆっくり休むんだよ?」
そう言っておでこにキスをして部屋を出ていった。僕がこんなんだから今日はお休みでいいって言ってくれた。セドはいつでも僕のことを考えてくれている。
でも、本当は今日は休みたくなかった。今日と明日はアロスタの国王様御一行が滞在する。マリク兄さんの話だとアロスタの王族はかなりの美形だと有名みたい。
そんなに綺麗な人たちがセドの近くにいるの嫌だなぁと思ってしまう僕が嫌だ。セドの気持ちは僕が一番分かってる。普段もたくさん僕に愛をくれるし、2年前にあの舞を見せてもらったから疑うことなんてない。なのに、、不安に思ってしまう。
だめだ、色々考えすぎちゃうから少し休もう。ちょっとだるい感じするしね。きっと起きたら元気になってる。そしたら、今日セドにたくさん愛してもらうんだ。
そう思って瞼を閉じたのに、次に開けた瞬間に庭から楽しそうな声が聞こえた。
気になってチラリと見るとびっくりするくらい美人な人をセドがエスコートしている。もちろん周りにもたくさん人はいるし、王族としては当たり前の行動だ。これまでにもセドが他国の方をエスコートするのを見たことがあるのに、なぜだか今日はすごく嫌だった。
「ぅ、、、っ、、セド、、、、」
嫌で嫌で、セドがそばにいないのも嫌で涙が溢れて止まらなくなってしまった。なんでなの?この涙を誰にも見られたくなくて、ずっと寝たふりをしてすごした。
「ルイ?体調どう?食欲は?昼はイチゴだけ食べたって聞いたけど、夜ご飯は食べられそう?」
帰ってきちゃった、、、。今日は晩餐会だからまだまだ帰ってこないと思ったのに。
「・・・いらない。晩餐会は?」
「ルイが体調悪いのに参加するわけないでしょ?フルーツジュースとかなら飲めるかな?」
「いらない!セドのバカ!!!晩餐会行きなよ!!それで!あの綺麗な王女様と仲良くすればいいんだ!!」
「ちょ、ルイ?落ち着いて?どうしたの?」
「綺麗な王女様の前で鼻伸ばしてたもんね!!本当は女の子がいいんだ!!」
そんなこと思ってない。セドが僕のこと一番に思ってくれてるの分かってる。なのに、口から言葉が出るばかりで止まってくれない。
「僕はルイが一番ってずっと言ってるだろ?なんでそんな言い方するんだ!」
「セドのバカ!!わからずや!!」
「ルイだって頑固じゃないか!!だいたい、なんでそんな話になるんだよ。落ち着いて。」
「やだ!!セドなんか、セドなんかっだいっき んぐっ、「それ以上言ったら本当に監禁するよ?」
勢いに任せて出てしまいそうになった言葉がセドが片手で僕の両頬を押し付けたため出てしまわずに済んだ。
---ギュッ
「ルイ、どうしたの?何が不安だったの?今日泣いたでしょ?目の周りが少し赤い。僕に話して?」
僕がこんなに色々言ったのにセドは僕のことをこうやって抱きしめてくれる。それが嬉しくて昼間とは違う涙が出た。
なんだか気持ち悪いこと、なぜか不安が募りイライラしてしまったこと、大好きだよってことをセドに伝えると・・・
「ちょ、、、ちょっと、、待ってて!、」
すごく焦ったようにして部屋を出ていってしまった。なんで?まだぎゅってしてて欲しかったのに、、、。
また涙がどんどん溢れて一筋流れたその時、部屋の扉が勢いよく開いてセドとマイクさんが部屋に入ってきた。
「なんでマイクさん、、、?」
「ルイ様、お久しぶりですな。ちょっと横になってもらえますか?」
横になるとセドが手を握ってくれていた。僕病気なの?セド、、?セドの手から緊張が伝わってくる。医療に精通しているセドがこんな表情するなんて、そんなに重い病気なの?
マイクさんが診察し終わるまでの時間は恐ろしく長く感じた。
「うん、殿下の見立てで間違いないですな。おめでとうございます。」
マイクさんがそういうとセドが泣き出してしまった。え?そんなに?え、僕死ぬ?でもおめでとうございます?え?僕死ぬのがめでたいの?
「え?病気なの?病気なのにおめでとうございます?僕死ぬの?」
「っ、、違うよ、ルイ。先々月から魔法薬飲んでるでしょ?」
先々月から男でも赤ちゃんができるようになる魔法薬を飲んでいる。1週間に1回飲んでいる間は妊娠可能となる。・・・え?
「うん、赤ちゃんができたんだよ。気持ち悪くなったり体がだるくなったり少しイライラしちゃうのも妊娠の症状だ。」
「今2ヶ月ってとこですな。」
本当に?本当に赤ちゃん?
「ルイ、ありがとうっ、、、僕たちパパとママになるんだよ?」
「ぅ、、、セド、、、ぅんっ、、」
赤ちゃんができた。セドと家族を作れた。何より嬉しかった。
「セド、さっき嫌いって言いかけてごめんなさい。」
「うん、心臓が止まるかと思ったよ。もう言わないで。」
そう言ったセドはいつものキラキラ王子様じゃなくて、すごく弱々しい男の子に見えたり。
お腹に赤ちゃんがいるので当分は愛し合えないけど、まだまだぺったんこのお腹の中に奇跡があるんだと思うと何よりもセドの愛を感じることができて幸せに思った。
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