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しおりを挟む「ルイ、何も食べてないでしょ?これ、シェフが持ってきてくれた。エビとか蟹使ってないやつだけにしてくれてるって。」
「セド、ありがとう!シェフにもお礼言わなきゃ。」
結婚式のあとは感動に浸る暇もなく王族の正装に着替えてパレードに参加した。多くの国民の方が集まってくれてみんな国旗を持っておめでとうと旗を振ってくれた。国民代表として小さな子供たちが僕とセドに可愛いクマのぬいぐるみをくれた。教会の子供達で作ったテディベアなんだって。こんなにもたくさんの人に祝ってもらえるのはセドが王太子として立派だからなんだろうな。という思いや余韻を感じることもなく次のパーティーへと参加してるのが今だ。
セドと僕で挨拶をして、各国の王族の方々への挨拶が済むとどっと疲れてしまって椅子に座り込んでいたところにセドが料理を持ってきてくれた。
お腹は空いていたけど、今日の料理にはエビやカニを使っているものもあったからどうしようかと思ってたんだ。セドたちは結婚祝いのパーティーなんだから使わない料理ばかりって言っていたけど、パーティーならみんなに満足してもらいたいからどうしても人気な食材である甲殻類は削りたくなかった。僕は王太子妃だから。
「はい、あーんして。」
「・・・自分で食べれるよ。」
「知ってる。これは僕がしたいだけだよ。ほら、あーん。」
全く引いてくれない。ま、いいか。僕たち新婚だし今日はなんといっても結婚式のあった夜。ちょっとイチャイチャするくらい大丈夫なはずだ。
「あー」
あ、これおいしい。僕のためにアレルギーに引っかからないもの用意してくれたんだ。
「ねぇ、ルイ?あのさ、こ、」
「ルイ~!!!」
ん?セドが今なんか言いかけたような・・・セドが言葉を発したと同時に僕の名を呼ぶ声が聞こえて聞き取れなかった。
「ルイ、あの人たち知り合い?呼ばれてるけど」
「あ!!友達!!」
「なら僕も挨拶しなくちゃね。どこの国の人?」
「ヴィーロだよ!」
元は敵対関係にあった国だったが友好国となってからはヴィーロの名産品や海産物などを主に貿易が盛んになっている。
ヴィーロが1番大変だった。だから何回も行ったし何ヶ月も滞在した。その中で仲良くなった人たちだ。
「ミランダ!!!」
「ルイーー!!あんた綺麗な格好してんじゃないの!!平民のあたしを呼んでくれてありがとう!」
「ミランダ~苦しいよ~」
ミランダのムキムキの腕が僕のことを抱きしめてギュウギュウと押さえ込んでくる。
「あら、ごめんなさいね?ルイ!本当におめでとう!!」
「うん!!ありがと!!」
「あ、つい勢いで抱きついちゃったけど挨拶しなくちゃね。」
「ミランダ!紹介する!!セドだよ!!」
「あんたね、王太子様でしょ?ちゃんと紹介しなくちゃだめよ。」
「いいよ、ルイの友達でしょ?ルイの夫のセドリックだ。」
「ミランダ・スッドと申します。以後お見知り置きを。」
「ミランダ!あのね!」
「はいはい、落ち着きなさい?そんなにあたしに会えて嬉しかったのかしら?」
「ミランダに会ったのは久しぶりだもん!嬉しいよ!!」
またミランダに抱きつくと頭をポンポンと撫でてくれた。
ミランダはレストランのオーナーをしていて、今日来てくれたのはその店のスタッフたち。僕が滞在していたホテルの横にあったからよく利用してて、仲良くなったんだ。
「ミランダさん、ルイと僕は新婚なので離れてもらえます?」
あ、セドの額に怒りマークが見える。やっぱ男の人に抱きつくのはダメか。そうだよな。そっとミランダから離れようとすると、ミランダのムキムキの腕がそれを許さずぎゅっと力を込められた。
「殿下?あたしはルイのこと弟のように思ってるの。絶対に幸せになってほしいのよ。内戦もよく起きていたヴィーロが平和になったのはルイのおかげだもの、恩も感じてるの。・・・・・・あなた、ルイを幸せにできるのね」
「もちろん。僕の命はルイのためにありますから。」
「ならいいわ!!!ほらルイ!旦那様がルイをご所望よ!!イチャイチャしときなさい!あたしたちは普段食べれない高級料理食べるから!!スイーツもいっぱいあるしね?ほら!女の子はスイーツ好きなのよ!もちろん女のあたしもね?」
と、脇の下に手を入れられ子供を高い高いするようにあげられ、セドの腕へと引き渡された。
ミランダ、女の子はそんなにムキムキじゃないよ。なんて口が裂けても言えないけど多分みんなそう思った。
「嵐のようだったね。」
「ね、ミランダはいつもあんな感じなんだ。」
「いい友達だね。」
「うん!!」
友達と大好きな人がいて僕幸せだな。
「・・・ルイ、抜けない?」
「え?抜ける?」
「そう。パーティー抜けよう。僕もう限界だから。」
そう言われてやっと意味がわかる。
「でも、僕たちのパーティー、、、」
「当分は国全体がお祭り騒ぎだよ。僕らは静かに初夜にしよう?ね?お願い。」
「うん。そうする。」
セドに手を引かれパーティー会場から抜け出し部屋に着くまで顔を上げることができなかった。絶対真っ赤だもん。
「あれ?セドの部屋?」
「うん、今日からはここで寝るからね。王太子用の部屋だし、ベッドも広いでしょ?ルイの部屋からベッドはもう無くなってるよ。」
「え!ないの?」
「ベッドが必要な時ないでしょ。毎日僕と寝るんだから。」
「あ、、、うん、そうだね。」
「・・・」
「・・・お、おふ、お風呂入ってきます!!」
沈黙に耐えられなくてお風呂場に走って逃げ込んじゃったよ、、。
どうしよう、ドキドキしておかしくなりそうだよ。と、とりあえずお風呂入ろう。いつもよりちょっと念入りに入らなきゃ。
こんなんで本番どうするんだろう、僕。
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