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しおりを挟む「本物?本当に、ルイ?」
布団から顔をすべて出し、まっすぐにセドの目を見つめながら頷くとカバっと僕の上に覆い被さった。
あぁ、セドだ。この抱きしめ方、匂い、顔や首に当たる髪の毛、その全てがこの人がセドだと僕に伝えてくる。
「セドっ、、ただいまっっ」
「おかえりっ、、ルイっ、、遅いよっ。」
「待っててくれてありがとぅ。」
2年も待ってくれた。1年半も帰らなかった。それでもずっと待っててくれた。
布団に潜ったときに見つけたんだ、枕の下からガサっと音がしたから。そしたら、僕が誕生日の日にセドにプレゼントしたクッキーをラッピングしていた袋とその中に入れていた「いつもありがとう」という小さいメモが出てきた。2年前に渡したもの、しかもゴミとして捨ててもおかしくないものをこんなに大切に持ってくれていたことが嬉しかった。
なかなか顔を上げないセドが少し震えているのがわかった。
「セド、泣いてる?」
「・・・っ、、こんなこと言うのカッコ悪いけど、寂しかったんだ。ルイがいないことが寂しくて寂しくて仕方なかった。布団が冷たく感じた。この部屋にくると少しだけマシに感じたけど、それでも冷たかった。」
セドの気持ちが痛いほど伝わってきた。僕だけじゃなかった。寂しく寂しくて仕方なかったのは僕だけじゃなかったんだ。
「うん、、ごめんね。1人にしてごめん。」
「ううん、ルイが頑張ってたのは知ってるから応援したかったのも本当。ごめん、格好悪いよな。」
「そんなことない!!僕にとっては1番かっこいい王子様だもん!!」
「本当?」
「うん!!」
「ルイ、もう離したくない。お願い、もう遠くに行かないで。」
「僕ももう離れたくない。ずっと一緒にいたい。」
不思議だよね。出会ってから一緒に過ごした期間よりも離れていた期間の方が長かったのにこんなにも離れ難い。
「ルイ、結婚しよう?」
「~っ、、うんっ、うんっ!!するっ!!結婚する!!」
「本当に?いいの?僕、いよいよ独占欲爆発するよ?」
「セド、知らないの?スパダリは独占欲が強いのも特徴の一つなんだよ?」
「スパダリ?なにそれっ!」
「ミランダが言ってたの!!」
「ミランダ?友達?」
「うん!!たくさん友達ができたんだよ?」
「ルイ、ルイがこの2年にしてきたこととか、出会った人の話を聞かせてくれる?」
「もちろん。」
「僕のこの2年の話も聞いてくれる?」
セドの2年、、か。
僕にも濃い2年があったようにセドにも濃い2年があったんだと思う。
他国にいてもセドの名前は聞こえてきた。サベルクの王太子が人攫いを行なっていた山賊を捕まえたとか、貧しい人々への支援を提案したとか、周りが誉めるような功績を残していく王太子セドリックの名は有名だった。
食事をするために入ったレストランでも綺麗な女の人たちがセドリックの話をしていたこともあった。
「あんな素敵な方と一夜を過ごせたらどんなに幸せかしら。」
一夜を過ごすという意味が一緒にいるという意味でないことを知ってしまった僕はその会話を平常心で聞くことなんてできなくて、初めてセドリックに対する女性の会話を聞いたその夜はどうしようもなく涙が出てセドの腕の中へ帰りたくなった。
この2年でかなり嫉妬深くなってしまったし、独占欲も溢れてくるようになった。
離れているのに、縛ってしまいたくなるという衝動を抑えるのに必死だった。
今、セドを目の前にしてみるとこれから先もう抑えることができないと確信できる。こんなにかっこいい人、どこに行ったってみんなから注目の的となるし、話せば話すほど魅力が溢れて好きになってしまう。男も女も魅了するセドが憎らしく思うほどに嫉妬する。
だから、自分の知らない2年があることにモヤモヤしてしまう。僕のわがままで2年いなかったのに。
僕って、こんなに性格悪いの?セドをこの部屋からもう出したくないし、ずーっとセドの腕の中におさまっていたい。
「セド、僕性格悪いかも。」
「え?なんで?」
「ぅ~~。セドのこと好きすぎてセドが憎い。自分も憎い。」
「どうしたの?僕はどんなルイでも大好きなんだけど?」
離して嫌われない?
嫌になっちゃわない?
「僕っ、、セドのこと独り占めしたい。」
あぁ、言ってしまった。
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