【完結】18年間外の世界を知らなかった僕は魔法大国の王子様に連れ出され愛を知る

にゃーつ

文字の大きさ
上 下
89 / 105

88

しおりを挟む

「ルイ、誕生日おめでとう。」

「ぁ、ありがとぅ、、、っ、」

昨晩、日付が変わる瞬間にベッドの上で抱っこしてもらってキスしてもらって誕生日おめでとうと言ってもらった。

自分に向けて誕生日を祝われたのはアンナと過ごしていた時以来で、むず痒くなったと同時に嬉しさで涙が出た。

僕が眠るまで何度も何度もおめでとうと言ってくれたのに、朝起きて一言目にも言ってくれた。

僕がずっと僕が祝われなかったことを知っているからこうして何度も何度も言ってくれるんだと思う。

「今日は楽しい日になるよ。絶対に。」

「本当、、?」

「うん、本当だよ。ほら、おいで?」

「わっ、、ちょっと待って!おろして!!」

「だーめ!今日は甘やかすって決めてるから。」

「じゃあ、もっとぎゅってしてもいい?」

「いいよ?」

「ありがとっ!!」

抱っこしてもらってるのにさらにセドにぎゅーっとくっつく。それでも落とさずに食堂まで運んでくれたから嬉しくてさらにぎゅーっと力を加える。自分では結構力を込めているつもりなのに、セドは全然みたいで同じ男なのにと少し悔しくなる。

「おいおい、お前たちこんな朝っぱらからイチャイチャしてるのか?」

「えっ!レオ殿!!それにアンナ!!」

「ふふっ、ルイ様、お誕生日おめでとうございます。」

どうして?どうしてここに2人が?

「2人だけじゃないよ。」

そう言って扉を開けるとそこにはお父様たちも揃っていて、みんなが僕に誕生日おめでとうと言ってくれた。

「~~っ、、ぅ、、うぅぁぁぁぁああ、っ、うっぅ、、」

「うん、嬉しいね。よかったね。」

泣きすぎて息が苦しくなるくらいで、セドの胸に顔を埋めたままなのにみんなが頭や背中を撫でてくれているのを感じてまた涙が溢れる。

初めてなんだ。たくさんの人に祝ってもらえるのなんて初めてなんだ。

「ルイ、みんながお前を祝いたくて来てくれた。よかったね。」

「ぅ、ぅんっ!!!」

セドに腕からおろしてもらって、お父様やお母様たちのもとへ行く。
みんな頭を撫でたり抱きしめてくれたりしながら僕にお祝いの言葉をくれた。

「ほら、ルイ?ご飯食べたらお母様と一緒に、ね?」

そうだ!今日はクッキーを作ってセドにあげるんだ!1年前、僕を見つけてくれてありがとうって言うんだ!!






「お母様、こんな感じでどうかな?」

「あら、可愛いわ!!ハートね!」

「うん、、セドに渡すならハートかなって。」

「屋敷で作った時はハート以外の形で作るんだって言ってたのはこのためだったのね?」

以前お母様とクッキーを作った時にもハート型はあったんだけど、セド以外にハートをあげたくなくて全部星や丸で作ったんだ。ハートは愛のマークだから、愛はセドにだけあげるものだから。

「うん。セド喜んでくれるかな?さっきちょっと拗ねてたから。」

「そうね~、ルイのためにみんなを呼んだのは良いけど自分とルイの2人きりの時間が減ったから寂しくて拗ねてるのよきっと。クッキー渡して大好きって言えばたぶんすぐにセドリック様の機嫌は戻るわ。」

この時は半信半疑だったけれど、クッキーを渡し、

「ハートのクッキーはセドにしか作ってないんだよ!!1年前に僕を見つけてくれてありがとう!!セド大好き!」

そう言うとすっかりご機嫌になって僕を足の間に座らせて時々僕にクッキーを食べさせながらニヤニヤとクッキーを口に運ぶセドを見て、お母様は未来が見えるのかなと思ったことはセドには秘密。

「ルイ、今日の夕飯後は城の最上階に連れて行ってあげる。」

「お城の?最上階?」

セドの部屋や国王様たちの部屋がある階が最上階だと思ってたのに。

「普段は使わないんだけど、少し狭い物置部屋みたいなのが上の階にあるんだ。建物の構造上最上階にはその狭い部屋一部屋しか作れないから使うことはない部屋だ。」

ならどうしてそこに?

「そこが今日の夜の1番の特等席だから。」

特等席、、、?





しおりを挟む
感想 69

あなたにおすすめの小説

幽閉王子は最強皇子に包まれる

皇洵璃音
BL
魔法使いであるせいで幼少期に幽閉された第三王子のアレクセイ。それから年数が経過し、ある日祖国は滅ぼされてしまう。毛布に包まっていたら、敵の帝国第二皇子のレイナードにより連行されてしまう。処刑場にて皇帝から二つの選択肢を提示されたのだが、二つ目の内容は「レイナードの花嫁になること」だった。初めて人から求められたこともあり、花嫁になることを承諾する。素直で元気いっぱいなド直球第二皇子×愛されることに慣れていない治癒魔法使いの第三王子の恋愛物語。 表紙担当者:白す(しらす)様に描いて頂きました。

優しく暖かなその声は(幽閉王子は最強皇子に包まれる・番外編)

皇洵璃音
BL
「幽閉王子は最強皇子に包まれる」の番外編。レイナード皇子視点。ある日病気で倒れたレイナードは、愛しいアレクセイに優しくされながら傍にいてほしいとお願いしてみると……?

【完結】悪役令息の役目は終わりました

谷絵 ちぐり
BL
悪役令息の役目は終わりました。 断罪された令息のその後のお話。 ※全四話+後日談

転生貧乏貴族は王子様のお気に入り!実はフリだったってわかったのでもう放してください!

音無野ウサギ
BL
ある日僕は前世を思い出した。下級貴族とはいえ王子様のお気に入りとして毎日楽しく過ごしてたのに。前世の記憶が僕のことを駄目だしする。わがまま駄目貴族だなんて気づきたくなかった。王子様が優しくしてくれてたのも実は裏があったなんて気づきたくなかった。品行方正になるぞって思ったのに! え?王子様なんでそんなに優しくしてくるんですか?ちょっとパーソナルスペース!! 調子に乗ってた貧乏貴族の主人公が慎ましくても確実な幸せを手に入れようとジタバタするお話です。

期待外れの後妻だったはずですが、なぜか溺愛されています

ぽんちゃん
BL
 病弱な義弟がいじめられている現場を目撃したフラヴィオは、カッとなって手を出していた。  謹慎することになったが、なぜかそれから調子が悪くなり、ベッドの住人に……。  五年ほどで体調が回復したものの、その間にとんでもない噂を流されていた。  剣の腕を磨いていた異母弟ミゲルが、学園の剣術大会で優勝。  加えて筋肉隆々のマッチョになっていたことにより、フラヴィオはさらに屈強な大男だと勘違いされていたのだ。  そしてフラヴィオが殴った相手は、ミゲルが一度も勝てたことのない相手。  次期騎士団長として注目を浴びているため、そんな強者を倒したフラヴィオは、手に負えない野蛮な男だと思われていた。  一方、偽りの噂を耳にした強面公爵の母親。  妻に強さを求める息子にぴったりの相手だと、後妻にならないかと持ちかけていた。  我が子に爵位を継いで欲しいフラヴィオの義母は快諾し、冷遇確定の地へと前妻の子を送り出す。  こうして青春を謳歌することもできず、引きこもりになっていたフラヴィオは、国民から恐れられている戦場の鬼神の後妻として嫁ぐことになるのだが――。  同性婚が当たり前の世界。  女性も登場しますが、恋愛には発展しません。

婚約破棄されて捨てられた精霊の愛し子は二度目の人生を謳歌する

135
BL
春波湯江には前世の記憶がある。といっても、日本とはまったく違う異世界の記憶。そこで湯江はその国の王子である婚約者を救世主の少女に奪われ捨てられた。 現代日本に転生した湯江は日々を謳歌して過ごしていた。しかし、ハロウィンの日、ゾンビの仮装をしていた湯江の足元に見覚えのある魔法陣が現れ、見覚えのある世界に召喚されてしまった。ゾンビの格好をした自分と、救世主の少女が隣に居て―…。 最後まで書き終わっているので、確認ができ次第更新していきます。7万字程の読み物です。

キミと2回目の恋をしよう

なの
BL
ある日、誤解から恋人とすれ違ってしまった。 彼は俺がいない間に荷物をまとめて出てってしまっていたが、俺はそれに気づかずにいつも通り家に帰ると彼はもうすでにいなかった。どこに行ったのか連絡をしたが連絡が取れなかった。 彼のお母さんから彼が病院に運ばれたと連絡があった。 「どこかに旅行だったの?」 傷だらけのスーツケースが彼の寝ている病室の隅に置いてあって俺はお母さんにその場しのぎの嘘をついた。 彼との誤解を解こうと思っていたのに目が覚めたら彼は今までの全ての記憶を失っていた。これは神さまがくれたチャンスだと思った。 彼の荷物を元通りにして共同生活を再開させたが… 彼の記憶は戻るのか?2人の共同生活の行方は?

【完結・ルート分岐あり】オメガ皇后の死に戻り〜二度と思い通りにはなりません〜

ivy
BL
魔術師の家門に生まれながら能力の発現が遅く家族から虐げられて暮らしていたオメガのアリス。 そんな彼を国王陛下であるルドルフが妻にと望み生活は一変する。 幸せになれると思っていたのに生まれた子供共々ルドルフに殺されたアリスは目が覚めると子供の頃に戻っていた。 もう二度と同じ轍は踏まない。 そう決心したアリスの戦いが始まる。

処理中です...