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しおりを挟む「ルイ、誕生日おめでとう。」
「ぁ、ありがとぅ、、、っ、」
昨晩、日付が変わる瞬間にベッドの上で抱っこしてもらってキスしてもらって誕生日おめでとうと言ってもらった。
自分に向けて誕生日を祝われたのはアンナと過ごしていた時以来で、むず痒くなったと同時に嬉しさで涙が出た。
僕が眠るまで何度も何度もおめでとうと言ってくれたのに、朝起きて一言目にも言ってくれた。
僕がずっと僕が祝われなかったことを知っているからこうして何度も何度も言ってくれるんだと思う。
「今日は楽しい日になるよ。絶対に。」
「本当、、?」
「うん、本当だよ。ほら、おいで?」
「わっ、、ちょっと待って!おろして!!」
「だーめ!今日は甘やかすって決めてるから。」
「じゃあ、もっとぎゅってしてもいい?」
「いいよ?」
「ありがとっ!!」
抱っこしてもらってるのにさらにセドにぎゅーっとくっつく。それでも落とさずに食堂まで運んでくれたから嬉しくてさらにぎゅーっと力を加える。自分では結構力を込めているつもりなのに、セドは全然みたいで同じ男なのにと少し悔しくなる。
「おいおい、お前たちこんな朝っぱらからイチャイチャしてるのか?」
「えっ!レオ殿!!それにアンナ!!」
「ふふっ、ルイ様、お誕生日おめでとうございます。」
どうして?どうしてここに2人が?
「2人だけじゃないよ。」
そう言って扉を開けるとそこにはお父様たちも揃っていて、みんなが僕に誕生日おめでとうと言ってくれた。
「~~っ、、ぅ、、うぅぁぁぁぁああ、っ、うっぅ、、」
「うん、嬉しいね。よかったね。」
泣きすぎて息が苦しくなるくらいで、セドの胸に顔を埋めたままなのにみんなが頭や背中を撫でてくれているのを感じてまた涙が溢れる。
初めてなんだ。たくさんの人に祝ってもらえるのなんて初めてなんだ。
「ルイ、みんながお前を祝いたくて来てくれた。よかったね。」
「ぅ、ぅんっ!!!」
セドに腕からおろしてもらって、お父様やお母様たちのもとへ行く。
みんな頭を撫でたり抱きしめてくれたりしながら僕にお祝いの言葉をくれた。
「ほら、ルイ?ご飯食べたらお母様と一緒に、ね?」
そうだ!今日はクッキーを作ってセドにあげるんだ!1年前、僕を見つけてくれてありがとうって言うんだ!!
「お母様、こんな感じでどうかな?」
「あら、可愛いわ!!ハートね!」
「うん、、セドに渡すならハートかなって。」
「屋敷で作った時はハート以外の形で作るんだって言ってたのはこのためだったのね?」
以前お母様とクッキーを作った時にもハート型はあったんだけど、セド以外にハートをあげたくなくて全部星や丸で作ったんだ。ハートは愛のマークだから、愛はセドにだけあげるものだから。
「うん。セド喜んでくれるかな?さっきちょっと拗ねてたから。」
「そうね~、ルイのためにみんなを呼んだのは良いけど自分とルイの2人きりの時間が減ったから寂しくて拗ねてるのよきっと。クッキー渡して大好きって言えばたぶんすぐにセドリック様の機嫌は戻るわ。」
この時は半信半疑だったけれど、クッキーを渡し、
「ハートのクッキーはセドにしか作ってないんだよ!!1年前に僕を見つけてくれてありがとう!!セド大好き!」
そう言うとすっかりご機嫌になって僕を足の間に座らせて時々僕にクッキーを食べさせながらニヤニヤとクッキーを口に運ぶセドを見て、お母様は未来が見えるのかなと思ったことはセドには秘密。
「ルイ、今日の夕飯後は城の最上階に連れて行ってあげる。」
「お城の?最上階?」
セドの部屋や国王様たちの部屋がある階が最上階だと思ってたのに。
「普段は使わないんだけど、少し狭い物置部屋みたいなのが上の階にあるんだ。建物の構造上最上階にはその狭い部屋一部屋しか作れないから使うことはない部屋だ。」
ならどうしてそこに?
「そこが今日の夜の1番の特等席だから。」
特等席、、、?
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