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僕はその場で気を失ってしまった。
国境の宿へ戻り、目が覚めた僕はセドからその後のことを聞いた。
ルーチェの国王、スカナの国王は死亡
王妃と子供たちはサベルクが身を預かることとなり今は罪人用の護送馬車で首都へと向かっているそうだ。
ルーチェの城は爆弾で粉々にされたらしい。兄さんとムーマが仕掛けていたみたいだ。こんなにも忌々しいことが多く起きた場所を残したくないとセドや国王様にも言わずにしたことらしい。
みんなが城から離れた時にスイッチを押したらしい。今はもう跡形もなくなっているそうだ。
「兵はみんな近くの転送の魔法陣のあるところへ行ったものと馬車や馬で帰ってるものとで別れて帰還している。ここに残ってるのは僕らと僕の側近だけだ。」
「うん、、セド、あの、、」
---パチンッ
「えっ、、、?」
音の後に頬が叩かれたと分かるまで少し時間がかかった。
「ルイ、何をしたか分かっているのか。」
「・・・っ。」
「攫ったのがサベルクの者だったから無事だっただけで、そうじゃなかったら!!死んでいたかもしれなんだぞ!!」
そうだ、僕は勝手にこの宿を抜け出してそこを攫われた。
「ここを護衛していた騎士たちも、ルイが死んでいれば罰せられていたっ!!主人である僕の命を守れなかったことになるからっ!ルイ!!今回のこと、結果として良かっただけだ。僕は怒ってるからな。」
「っぅ、、、ぅぁぁ、ごめ、、っ、ぅ、、ごめんなさぃっぅぁぁぁぁああぁぁぁぁ。」
「ここに戻ってきて、ルイがいなくて、どれだけ心配したと思ってるんだっ。」
泣きじゃくって謝ることしかできない僕をギュッと抱きしめながらもセドは怒り続ける。
「っ、うぁぁ、ごっ、ごめんなさっ、、いっぁぁぅううぁぁぁ」
「無事で良かったっっ、、怖かった。ルイを失うかもしれないって怖かったっ!生きた心地しなかったんだぞ。」
たくさん心配をかけてしまったんだ。
「ぅぅ、、っ、、ごめんなさっいっ、、」
謝るしかできなくて、それ以上セドが怒ることはなく泣き止むことのできないでいる僕をずっと抱きしめ続けてくれた。
「っぐすっ、、ぅっ、、ぁ」
「うん、よしよし。ちゃんと反省した?」
「ぅん、ごめっ、なさっ、、っぅ」
「もうこんなことしないって約束できる?」
セドが小指を出してきた。なんで小指?
分からずにセドの顔を見上げてみると、僕の手を取りセドの小指と僕の小指を絡ませゆびきりと言った。
「約束の時は、こうするの?」
「うん、そうだよ。」
「もっかい。」
「うん、じゃあもう一回ね。」
結んだ小指がすごく特別に感じた。
「よし、じゃあ次は、、。」
「もっかい怒る?」
「怒らないよ。怒るのはもう終わり、今度は褒めるターンだよ。」
褒める、、、?
今回僕は何もしてないのに。
「1人でよく戦ったね。マリクから聞いたよ?ルーチェの国王に酷いことも言われたんだろう?辛かったね。もう大丈夫、あの男はいない。それに、僕がずーっとそばにいるんだから。」
「ぅんっ、ぅ、、セドっ、、」
「うん、目の前で人が死ぬのも初めて見たよね?怖かったのによく目を逸らさずに見届けたね。頑張った、ルイは頑張ったよ。」
僕自身でも気づかない心の根底にあるものにセドはいつも気づいてくれる。今回の行動、自分勝手でたくさんの人に迷惑をかけてしまったし心配もさせてしまった。それは事実だ。だけど、僕は僕で戦うつもりで行動していた。もちろん、捕まっちゃって何かを成し遂げたわけではなかったけど、マリクさんが言っていた前に進めないと言う言葉。その通りで、多分僕はただただ結果だけを聞いていたらいつまでもルーチェという国に縛られていたから、もし過去に戻ったとしても怒られてでも同じ行動を起こすと思う。
「ぅんっ、、セド?マリクさんは?ムーマは?無事なの?」
2人のことが気になった。2人のおかげで僕は大好きな人の腕の中に帰ってくることができたから。無事でいて欲しいし、今後も会いたいんだ。
「無事だよ?会わせてあげるからおいで?」
セドに手を引かれ隣の部屋の前まで連れてこられた。
---コンコンッ
「マリク、僕だよ。」
そっか。マリクさんはもともとサベルクの騎士だからセドは知ってるのか。スカナの人として初めは会ったからセドがマリクさんの名前を呼んでいることが少し不思議に思えてしまった。
扉が勢いよく開かれ、
「セドリック様!!!!呼んでくだされば私の方から行きましたのに!!!私の部屋まで来てくださって嬉しいです!!!!!」
すごい明るい人が出てきた。びっくりするくらいニコニコで。
「・・・え、、?マリクさん?マリクさんなんですか?え??」
「ルイ!!良かった、目が覚めたんですね?」
あ、僕に対しては変じゃない。落ち着いたお兄さんって感じの話し方ですごい安心する。
なのに、
「セドリック様!お座りになってください!!!さあ!!」
セドの前では犬みたいだ。ブンブンと振られてる尻尾が見えてしまいそうなほどだ。
「あぁ、ありがとうマリク。ルイが君たちを心配していたよ。」
「ルイ、、、。あなたに怖いものを見せてしまってすいません。」
「そんなこと言わないでください。マリクさんが自分の復讐のためだけでなく僕のためにもしてくれた行動だと分かってますから。」
国境の宿へ戻り、目が覚めた僕はセドからその後のことを聞いた。
ルーチェの国王、スカナの国王は死亡
王妃と子供たちはサベルクが身を預かることとなり今は罪人用の護送馬車で首都へと向かっているそうだ。
ルーチェの城は爆弾で粉々にされたらしい。兄さんとムーマが仕掛けていたみたいだ。こんなにも忌々しいことが多く起きた場所を残したくないとセドや国王様にも言わずにしたことらしい。
みんなが城から離れた時にスイッチを押したらしい。今はもう跡形もなくなっているそうだ。
「兵はみんな近くの転送の魔法陣のあるところへ行ったものと馬車や馬で帰ってるものとで別れて帰還している。ここに残ってるのは僕らと僕の側近だけだ。」
「うん、、セド、あの、、」
---パチンッ
「えっ、、、?」
音の後に頬が叩かれたと分かるまで少し時間がかかった。
「ルイ、何をしたか分かっているのか。」
「・・・っ。」
「攫ったのがサベルクの者だったから無事だっただけで、そうじゃなかったら!!死んでいたかもしれなんだぞ!!」
そうだ、僕は勝手にこの宿を抜け出してそこを攫われた。
「ここを護衛していた騎士たちも、ルイが死んでいれば罰せられていたっ!!主人である僕の命を守れなかったことになるからっ!ルイ!!今回のこと、結果として良かっただけだ。僕は怒ってるからな。」
「っぅ、、、ぅぁぁ、ごめ、、っ、ぅ、、ごめんなさぃっぅぁぁぁぁああぁぁぁぁ。」
「ここに戻ってきて、ルイがいなくて、どれだけ心配したと思ってるんだっ。」
泣きじゃくって謝ることしかできない僕をギュッと抱きしめながらもセドは怒り続ける。
「っ、うぁぁ、ごっ、ごめんなさっ、、いっぁぁぅううぁぁぁ」
「無事で良かったっっ、、怖かった。ルイを失うかもしれないって怖かったっ!生きた心地しなかったんだぞ。」
たくさん心配をかけてしまったんだ。
「ぅぅ、、っ、、ごめんなさっいっ、、」
謝るしかできなくて、それ以上セドが怒ることはなく泣き止むことのできないでいる僕をずっと抱きしめ続けてくれた。
「っぐすっ、、ぅっ、、ぁ」
「うん、よしよし。ちゃんと反省した?」
「ぅん、ごめっ、なさっ、、っぅ」
「もうこんなことしないって約束できる?」
セドが小指を出してきた。なんで小指?
分からずにセドの顔を見上げてみると、僕の手を取りセドの小指と僕の小指を絡ませゆびきりと言った。
「約束の時は、こうするの?」
「うん、そうだよ。」
「もっかい。」
「うん、じゃあもう一回ね。」
結んだ小指がすごく特別に感じた。
「よし、じゃあ次は、、。」
「もっかい怒る?」
「怒らないよ。怒るのはもう終わり、今度は褒めるターンだよ。」
褒める、、、?
今回僕は何もしてないのに。
「1人でよく戦ったね。マリクから聞いたよ?ルーチェの国王に酷いことも言われたんだろう?辛かったね。もう大丈夫、あの男はいない。それに、僕がずーっとそばにいるんだから。」
「ぅんっ、ぅ、、セドっ、、」
「うん、目の前で人が死ぬのも初めて見たよね?怖かったのによく目を逸らさずに見届けたね。頑張った、ルイは頑張ったよ。」
僕自身でも気づかない心の根底にあるものにセドはいつも気づいてくれる。今回の行動、自分勝手でたくさんの人に迷惑をかけてしまったし心配もさせてしまった。それは事実だ。だけど、僕は僕で戦うつもりで行動していた。もちろん、捕まっちゃって何かを成し遂げたわけではなかったけど、マリクさんが言っていた前に進めないと言う言葉。その通りで、多分僕はただただ結果だけを聞いていたらいつまでもルーチェという国に縛られていたから、もし過去に戻ったとしても怒られてでも同じ行動を起こすと思う。
「ぅんっ、、セド?マリクさんは?ムーマは?無事なの?」
2人のことが気になった。2人のおかげで僕は大好きな人の腕の中に帰ってくることができたから。無事でいて欲しいし、今後も会いたいんだ。
「無事だよ?会わせてあげるからおいで?」
セドに手を引かれ隣の部屋の前まで連れてこられた。
---コンコンッ
「マリク、僕だよ。」
そっか。マリクさんはもともとサベルクの騎士だからセドは知ってるのか。スカナの人として初めは会ったからセドがマリクさんの名前を呼んでいることが少し不思議に思えてしまった。
扉が勢いよく開かれ、
「セドリック様!!!!呼んでくだされば私の方から行きましたのに!!!私の部屋まで来てくださって嬉しいです!!!!!」
すごい明るい人が出てきた。びっくりするくらいニコニコで。
「・・・え、、?マリクさん?マリクさんなんですか?え??」
「ルイ!!良かった、目が覚めたんですね?」
あ、僕に対しては変じゃない。落ち着いたお兄さんって感じの話し方ですごい安心する。
なのに、
「セドリック様!お座りになってください!!!さあ!!」
セドの前では犬みたいだ。ブンブンと振られてる尻尾が見えてしまいそうなほどだ。
「あぁ、ありがとうマリク。ルイが君たちを心配していたよ。」
「ルイ、、、。あなたに怖いものを見せてしまってすいません。」
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