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55 レオside
しおりを挟む10年前の嵐の日だった。
私は国王に就任したばかりで見回りをしている際に報告が入った。
「国境付近で銃声が!!」
報告のあった場所はルーチェとの国境であるヒスラ山か。
「私もそこに向かう。」
馬を走らせその場に到着すると、目の前にボロボロの女が馬車ごと転がり落ちていた。
「おい!女!!!聞こえるか!」
獣人ではないことからルーチェのものだろうと語で話しかける。
少し意識はあるようだが一刻も早い治療が必要だ。
「何があった!!」
「ぅ、、、ルーチェの、、兵士に、おそわ、、れ、、、」
そこまで伝え意識を失った。
この国は独立国家。他国のものをこの国に入れることは無い。
だがどうしてもこの女を放って置けなかった。
3日3晩彼女は熱にうなされ続けた。
柄にもなく彼女を看病し続け手を握り意識が戻るのを待った。
汚れを落とし傷が癒え始めると彼女の顔がよくわかるようになった。
「可愛いなお前は。早く目を覚ませ、お前と話がしたいぞ。」
そう話しかける毎日だった。
お前にこんな目を合わしたやつを絶対に殺してやるからな。
そんな看病が功を奏し彼女が目を覚ました。
だが、
「ここ、、は?あなたは?」
「ここはラフマという国だ。覚えているか?」
「あの、私何も、、思い出せなくて。」
彼女は記憶を失っていた。覚えているのは名前だけ。あんなにボロボロだった彼女のことを想うと過去のことは思い出さ無い方がいいんじゃ無いのかと思い彼女には森の中で遭難していたことにした。
彼女と私はゆっくり恋に落ちていった。
この国では獣人同士で結婚するのが当たり前。人間などこの国にはいない。彼女と結婚するために周りを納得させるのに時間がかかりそうだったので私は彼女と子を作った。獣人は人間の何倍も繁殖力が高い。見事狙い通りに子を授かった。
長男のミケの妊娠中は初めての妊娠に彼女も苦労しており、獣人よりも弱い人間の彼女にこんなにも苦労をかけてしまっていることに私も苦しんだ。
しかし、ミケが生まれた時の喜びは他では感じることができないもので彼女も本当に愛しそうに子を見ていた。
長男のミケ、次男のスイ、長女のリオ、三子で次女と三女と四女のノノとモモとココ、三男のトイ、四男のロア。
8人の子宝に恵まれた。あんなにも傷ついていた彼女が今ではキラキラと輝き王妃として国のために多くのことをしてくれた。
彼女は学校というものを作ってくれた。我が国ではこれまで家庭教師に習うのが普通だった。なので家庭教師の雇えない平民は文字を書くことができず読むこともできなかった。
「生まれた子供はみんな好きなように生きなければいけない。貴族だからとか平民だからとかそんなことでその子の今や未来が決まるなんておかしい」
そんな思いで至る所に学校を作り子供たちが皆平等に学べるようにしてくれた。彼女は学校に必ず遊び回れる庭を作るように命じた。休み時間には自由に外で遊べるようにと。
だが2ヶ月前、長男ミケの8歳の誕生日の夜にそれは起こった。
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