【完結】18年間外の世界を知らなかった僕は魔法大国の王子様に連れ出され愛を知る

にゃーつ

文字の大きさ
上 下
53 / 105

52☆

しおりを挟む

結局僕は一晩眠りにつくことができなかった。

いつも朝起きてすぐにルイの部屋に行くがルイはいつもとっくに起きて本を読んでいるか外を見つめていた。

だから、無防備な寝顔を煌々と朝日がふりそそぐ明るい部屋で自分の腕の中ですやすやと眠っているルイの破壊力がこんなに高いだなんて、、、。

「ん、、、ぅ、、」

理性を逃すためにルイの頭を撫でていると流石に起きてしまった。

「おはよう、ルイ。」

「、、?セド、、、?」

「うん、昨日一緒に寝たでしょう?」

まだ寝ぼけていてなんで僕がいるのか覚えてないのかな?

「あ、、おはよ、、、」

何か恥ずかしく感じたのかな?腕の中に埋まって出てこなくなってしまった。

「ルーイ、まだいつも起きる時間より早いからちょっと庭を散歩しない?まだみんな起きてないし2人っきりだよ?」

時刻はまだ4時半。

メイドが起き始めるよりも早い時間だ。
僕は小さい頃はこのぐらいの時間に起きて散歩する朝の庭が好きだった。

「行く!!!あのね!!この間ね!いっぱいカエルいるとこ見つけたの!!」

「か、カエル、、、。そ、そうか、、分かった見に行こう。」

相変わらずの探究心、、、

カエルはちょっと苦手だけど、ルイにそう思われたくなくて平気なフリをする。

「セド!早く!!」

あっという間に僕の腕から抜けてしまった。さっきまでもじもじしてたのに、、

未知なものを発見しに行く時のルイは子どものように無邪気だ。

「今日は昼食の時に公爵が来るからね。ラフマとのことを話すのにベルトも呼んだよ。」

「お父様とベルト兄様が?」

嬉しそうにニコニコしてる。
僕の独占欲と近くに連れていたいという欲だけで城にずっといさせたけどアスバル公爵家に今度連れて行ってあげないとな。

「ねえセド!!この花、お父様に渡す!!」

「この花?珍しい色だね。」

「シクラメン!!ピンクとか赤とかが多いのに青色が珍しいの!だからお父様にあげるの!」

「きっと喜ぶよ。」

僕には花の知識がないから分からないけど、ルイの頭の中には情報がたくさん入っているから僕にもすごく刺激になる。

「ルイが好きなのはどれなの?」

「好き、、なの、、?」

好きなものがまだちゃんとわかっていないルイに最近はしていなかった質問。

「僕は、、ツツジが好き。」

「ツツジか~、なんで好きなの?」

「は、花言葉が!好きなの!!」

「なんで花言葉?」

単純に気になって、それを聞いただけだったがルイの顔が真っ赤になってしまった。

「ルイ?どうしたの?」


「ひ、ひ、、秘密!!!も、戻ろう!!もう少しで朝ごはんの時間でしょ?」

手に公爵に渡す花を持ち恥ずかしさを誤魔化すように僕の手を引っ張っていくルイ。

部屋に戻り、お互い着替えるために部屋に戻った際にふと本棚が目に入り植物図鑑と書かれているものを手に取りタ行のページを1ページずつめくる。

「っ、、、ルイッ」



ツツジの花言葉「恋の喜び」

これは自惚れてもいいよな。





「殿下、本日は顔が緩んでおいでですね。」

「あ、あぁ。少し嬉しいことがありまして。ですが公爵もニヤけておいでです。」

「それはそうだ。ルイが私のために花を摘んでくれたんだ。頬が緩まないわけがない。ルイ、大切にするよ。ありがとうね。」

「は、はい!!お父様に喜んでもらいたくて、、」

花を渡した瞬間の公爵の顔はこれまで見たことないほどにゆるゆるで国内で父上以外逆らうことなどない立場のお方で多くの人から恐れられ尊敬もされているほどの魔法の使い手でもある公爵をこんなにも弛んだ顔にできるのはルイぐらいだろう。

実の息子のベルトにさえこんな甘い顔をしたのを見たことがない。

「殿下、本当にこんなに可愛いルイをラフマとの面会に同席させるんですか?ラフマがどのようなものかも分からないのですぞ?」

「ラフマもこの国を敵に回したままルーチェと対立するほど愚かではないはずです。それに、サベルク国内で騒ぎを起こすのはあちらにとって得策ではない。父上はどういうお考えですか。」

「ラフマとの対談には必要な能力だとは思う。心配ならば当日公爵とベルトも参加するといい」

そうだな、それが得策だ。

「セド、ラフマはいつ来るの?」

「ラフマからもうすでに返事は来ている。・・・3日後だ。」

ラフマから来た返事はこうだ。

---喜んでそちらにお伺いします。ですが我らの考えは変わりませぬ。われらの邪魔をすることのないよう釘を刺しに行きましょう。---

我々とやり合う気満々というわけだ。

3日後、そこで勝負だ。
これが上手くいけばルーチェ国王をあの座から引きずり下ろすことができる。








しおりを挟む
感想 69

あなたにおすすめの小説

幽閉王子は最強皇子に包まれる

皇洵璃音
BL
魔法使いであるせいで幼少期に幽閉された第三王子のアレクセイ。それから年数が経過し、ある日祖国は滅ぼされてしまう。毛布に包まっていたら、敵の帝国第二皇子のレイナードにより連行されてしまう。処刑場にて皇帝から二つの選択肢を提示されたのだが、二つ目の内容は「レイナードの花嫁になること」だった。初めて人から求められたこともあり、花嫁になることを承諾する。素直で元気いっぱいなド直球第二皇子×愛されることに慣れていない治癒魔法使いの第三王子の恋愛物語。 表紙担当者:白す(しらす)様に描いて頂きました。

優しく暖かなその声は(幽閉王子は最強皇子に包まれる・番外編)

皇洵璃音
BL
「幽閉王子は最強皇子に包まれる」の番外編。レイナード皇子視点。ある日病気で倒れたレイナードは、愛しいアレクセイに優しくされながら傍にいてほしいとお願いしてみると……?

【完結】悪役令息の役目は終わりました

谷絵 ちぐり
BL
悪役令息の役目は終わりました。 断罪された令息のその後のお話。 ※全四話+後日談

転生貧乏貴族は王子様のお気に入り!実はフリだったってわかったのでもう放してください!

音無野ウサギ
BL
ある日僕は前世を思い出した。下級貴族とはいえ王子様のお気に入りとして毎日楽しく過ごしてたのに。前世の記憶が僕のことを駄目だしする。わがまま駄目貴族だなんて気づきたくなかった。王子様が優しくしてくれてたのも実は裏があったなんて気づきたくなかった。品行方正になるぞって思ったのに! え?王子様なんでそんなに優しくしてくるんですか?ちょっとパーソナルスペース!! 調子に乗ってた貧乏貴族の主人公が慎ましくても確実な幸せを手に入れようとジタバタするお話です。

期待外れの後妻だったはずですが、なぜか溺愛されています

ぽんちゃん
BL
 病弱な義弟がいじめられている現場を目撃したフラヴィオは、カッとなって手を出していた。  謹慎することになったが、なぜかそれから調子が悪くなり、ベッドの住人に……。  五年ほどで体調が回復したものの、その間にとんでもない噂を流されていた。  剣の腕を磨いていた異母弟ミゲルが、学園の剣術大会で優勝。  加えて筋肉隆々のマッチョになっていたことにより、フラヴィオはさらに屈強な大男だと勘違いされていたのだ。  そしてフラヴィオが殴った相手は、ミゲルが一度も勝てたことのない相手。  次期騎士団長として注目を浴びているため、そんな強者を倒したフラヴィオは、手に負えない野蛮な男だと思われていた。  一方、偽りの噂を耳にした強面公爵の母親。  妻に強さを求める息子にぴったりの相手だと、後妻にならないかと持ちかけていた。  我が子に爵位を継いで欲しいフラヴィオの義母は快諾し、冷遇確定の地へと前妻の子を送り出す。  こうして青春を謳歌することもできず、引きこもりになっていたフラヴィオは、国民から恐れられている戦場の鬼神の後妻として嫁ぐことになるのだが――。  同性婚が当たり前の世界。  女性も登場しますが、恋愛には発展しません。

婚約破棄されて捨てられた精霊の愛し子は二度目の人生を謳歌する

135
BL
春波湯江には前世の記憶がある。といっても、日本とはまったく違う異世界の記憶。そこで湯江はその国の王子である婚約者を救世主の少女に奪われ捨てられた。 現代日本に転生した湯江は日々を謳歌して過ごしていた。しかし、ハロウィンの日、ゾンビの仮装をしていた湯江の足元に見覚えのある魔法陣が現れ、見覚えのある世界に召喚されてしまった。ゾンビの格好をした自分と、救世主の少女が隣に居て―…。 最後まで書き終わっているので、確認ができ次第更新していきます。7万字程の読み物です。

キミと2回目の恋をしよう

なの
BL
ある日、誤解から恋人とすれ違ってしまった。 彼は俺がいない間に荷物をまとめて出てってしまっていたが、俺はそれに気づかずにいつも通り家に帰ると彼はもうすでにいなかった。どこに行ったのか連絡をしたが連絡が取れなかった。 彼のお母さんから彼が病院に運ばれたと連絡があった。 「どこかに旅行だったの?」 傷だらけのスーツケースが彼の寝ている病室の隅に置いてあって俺はお母さんにその場しのぎの嘘をついた。 彼との誤解を解こうと思っていたのに目が覚めたら彼は今までの全ての記憶を失っていた。これは神さまがくれたチャンスだと思った。 彼の荷物を元通りにして共同生活を再開させたが… 彼の記憶は戻るのか?2人の共同生活の行方は?

【完結・ルート分岐あり】オメガ皇后の死に戻り〜二度と思い通りにはなりません〜

ivy
BL
魔術師の家門に生まれながら能力の発現が遅く家族から虐げられて暮らしていたオメガのアリス。 そんな彼を国王陛下であるルドルフが妻にと望み生活は一変する。 幸せになれると思っていたのに生まれた子供共々ルドルフに殺されたアリスは目が覚めると子供の頃に戻っていた。 もう二度と同じ轍は踏まない。 そう決心したアリスの戦いが始まる。

処理中です...