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しおりを挟む結局僕は一晩眠りにつくことができなかった。
いつも朝起きてすぐにルイの部屋に行くがルイはいつもとっくに起きて本を読んでいるか外を見つめていた。
だから、無防備な寝顔を煌々と朝日がふりそそぐ明るい部屋で自分の腕の中ですやすやと眠っているルイの破壊力がこんなに高いだなんて、、、。
「ん、、、ぅ、、」
理性を逃すためにルイの頭を撫でていると流石に起きてしまった。
「おはよう、ルイ。」
「、、?セド、、、?」
「うん、昨日一緒に寝たでしょう?」
まだ寝ぼけていてなんで僕がいるのか覚えてないのかな?
「あ、、おはよ、、、」
何か恥ずかしく感じたのかな?腕の中に埋まって出てこなくなってしまった。
「ルーイ、まだいつも起きる時間より早いからちょっと庭を散歩しない?まだみんな起きてないし2人っきりだよ?」
時刻はまだ4時半。
メイドが起き始めるよりも早い時間だ。
僕は小さい頃はこのぐらいの時間に起きて散歩する朝の庭が好きだった。
「行く!!!あのね!!この間ね!いっぱいカエルいるとこ見つけたの!!」
「か、カエル、、、。そ、そうか、、分かった見に行こう。」
相変わらずの探究心、、、
カエルはちょっと苦手だけど、ルイにそう思われたくなくて平気なフリをする。
「セド!早く!!」
あっという間に僕の腕から抜けてしまった。さっきまでもじもじしてたのに、、
未知なものを発見しに行く時のルイは子どものように無邪気だ。
「今日は昼食の時に公爵が来るからね。ラフマとのことを話すのにベルトも呼んだよ。」
「お父様とベルト兄様が?」
嬉しそうにニコニコしてる。
僕の独占欲と近くに連れていたいという欲だけで城にずっといさせたけどアスバル公爵家に今度連れて行ってあげないとな。
「ねえセド!!この花、お父様に渡す!!」
「この花?珍しい色だね。」
「シクラメン!!ピンクとか赤とかが多いのに青色が珍しいの!だからお父様にあげるの!」
「きっと喜ぶよ。」
僕には花の知識がないから分からないけど、ルイの頭の中には情報がたくさん入っているから僕にもすごく刺激になる。
「ルイが好きなのはどれなの?」
「好き、、なの、、?」
好きなものがまだちゃんとわかっていないルイに最近はしていなかった質問。
「僕は、、ツツジが好き。」
「ツツジか~、なんで好きなの?」
「は、花言葉が!好きなの!!」
「なんで花言葉?」
単純に気になって、それを聞いただけだったがルイの顔が真っ赤になってしまった。
「ルイ?どうしたの?」
「ひ、ひ、、秘密!!!も、戻ろう!!もう少しで朝ごはんの時間でしょ?」
手に公爵に渡す花を持ち恥ずかしさを誤魔化すように僕の手を引っ張っていくルイ。
部屋に戻り、お互い着替えるために部屋に戻った際にふと本棚が目に入り植物図鑑と書かれているものを手に取りタ行のページを1ページずつめくる。
「っ、、、ルイッ」
ツツジの花言葉「恋の喜び」
これは自惚れてもいいよな。
「殿下、本日は顔が緩んでおいでですね。」
「あ、あぁ。少し嬉しいことがありまして。ですが公爵もニヤけておいでです。」
「それはそうだ。ルイが私のために花を摘んでくれたんだ。頬が緩まないわけがない。ルイ、大切にするよ。ありがとうね。」
「は、はい!!お父様に喜んでもらいたくて、、」
花を渡した瞬間の公爵の顔はこれまで見たことないほどにゆるゆるで国内で父上以外逆らうことなどない立場のお方で多くの人から恐れられ尊敬もされているほどの魔法の使い手でもある公爵をこんなにも弛んだ顔にできるのはルイぐらいだろう。
実の息子のベルトにさえこんな甘い顔をしたのを見たことがない。
「殿下、本当にこんなに可愛いルイをラフマとの面会に同席させるんですか?ラフマがどのようなものかも分からないのですぞ?」
「ラフマもこの国を敵に回したままルーチェと対立するほど愚かではないはずです。それに、サベルク国内で騒ぎを起こすのはあちらにとって得策ではない。父上はどういうお考えですか。」
「ラフマとの対談には必要な能力だとは思う。心配ならば当日公爵とベルトも参加するといい」
そうだな、それが得策だ。
「セド、ラフマはいつ来るの?」
「ラフマからもうすでに返事は来ている。・・・3日後だ。」
ラフマから来た返事はこうだ。
---喜んでそちらにお伺いします。ですが我らの考えは変わりませぬ。われらの邪魔をすることのないよう釘を刺しに行きましょう。---
我々とやり合う気満々というわけだ。
3日後、そこで勝負だ。
これが上手くいけばルーチェ国王をあの座から引きずり下ろすことができる。
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