50 / 105
49
しおりを挟む「セドリックの婚約者は私よ!!!!お前なんかただの疫病神よ!!!死ね!!!!」
「セドの、婚約者はっ・・僕だ!」
生まれた時から家族はいないも同然、唯一優しかったアンナも失い、自由もない。
それでも仕方ないって諦めていた。
逃げ出そうとすらしたことはないし思いもしなかった。
小さい頃から根付いているものはあるけど、僕にも譲れないものができた。
僕がこうしてニナに罵られていることに怒りを感じてくれている人がいる。
セドの横だけは絶対に渡さない。
「な、な、な、、!!!なんなのよ!あんた!!あの時死にかけてたのに!!!死ねばよかったのに!!あのとき!死ねば!家族からも愛されてないんだから!」
その言葉にはどうしても反論したかった。僕が死ねばよかったとか、それはもういい。セドが僕を大事にしててくれるから。
でも、家族から愛されてないっていうのは、、、、。
「僕の家族はもう、君たちじゃない。新しい家族は僕を愛してくれる。君たちの愛は、もういらない。」
僕が誘拐され帰った日、お父様はすごく心配してくれた。お母様も、ベルト兄様もリルラ姉様も。
セドにプロポーズしてもらったことを手紙に書くと、全員から返事が来た。
お父様からは
---おめでとう。何か嫌なことをされたらすぐ言いなさい。すぐに迎えを向かわせるからね。---
お母様からは
---幸せになるのよ。今度お母様とお菓子作りしてセドリック様に渡しましょう?---
ベルト兄様は
---アスバル家の長男次男両方が王家と結婚するなんてすごい縁だよね。結婚しても僕はいつまでもルイ君の兄様だからね、頼ってね。---
リルラ姉様からは
---ルイ君!王家のこととかわからないことあったら言ってね!---
そんな風に暖かい言葉をたくさんくれる家族がいる。
セドとも婚約した。家族になってくれる。
幼い僕は欲しくて欲しくてたまらなかったけど、今はもういらない。魅力も感じない。
僕の発言に怒ったんだろう。
ニナが出されていたティーカップをこちらに投げつけてきた。
近距離で急に投げられたから避けられない!それでもいい、言いたいことが言えたから。
そう思ったがパリンという割れる音が右側から聞こえた。
セドの手からなんか光みたいな膜見たいのが出ていてセドが魔法で回避してくれたことが分かった。
紅茶の入ったカップが壁に当たったのに壁は綺麗なまま、、、。
これもセドの魔法?
やっぱり僕、セドが魔法を使っている姿大好きだな。
「ルイ、あとは僕に任せて?レスターと一緒に部屋に戻ってて?ね?僕もすぐ行くから。」
僕が何か言う暇もなくレスターさんに連れ出された。
「大丈夫ですよ。セドリック様のことですから何か考えがあってのことだと思います。」
「・・・はい。レスターさん、何して待ってたらセド喜ぶ?」
「そうですね~、いつも通り過ごされるのが良いかと。」
「いつも通り、、、。」
そう言われ部屋に戻ったけど、何もする気なんて起こらない。
ドアの前に膝を抱えて座り込むことしか僕にはできなかった。
早く帰ってきて。
レスターさんがセドが暴れてもいいように結界張ったんだって。さっき壁が汚れなかったのはそのおかげだって言ってた。
セドが無事ならそれでいい。ニナが怪我をしても、セドが無事なら。
そう考えてしまう自分に驚きはしたが、嫌じゃない。性格悪いなと思いながらも、ニナの無事なんかよりセドの無事やセドが早く帰ってこないからという方が僕にとっては重要だから。
30分ほど経っただろうか。
ガチャリと扉が開いて僕の足に当たった。
「ルイ!こんなとこに座り込んでたの?」
慌てた様子で僕を抱き上げてくれた。
こんな風に抱っこされるのはここに来てすぐの頃以来で、今されるのはすごい恥ずかしいんだけど嬉しくて、やめてほしくなくて、恥ずかしい気持ちを抑えた。
「セド、怪我してない?嫌なこと言われてない?」
「大丈夫だよ。どこも怪我してない。こっぴどくフッたけど、今後どうなるかはまだわからない。」
「うん、僕もうあの場所に戻りたくない。」
「絶対に戻させない。だって僕と結婚してくれるんでしょ?」
「うん、セド、僕を離さないで。」
最近は自分からセドに抱きついたり手を繋いだりキスをしたり少しずつするようになった。僕から行動を起こすとセドが喜ぶから。
「ルイ、今回のことがあるまで隠していたけど僕を含め父上もアスバル公爵も全一致の意見でルーチェを、友好国から外し制裁を与えるつもりでいる。」
ルーチェに、、?
141
お気に入りに追加
3,559
あなたにおすすめの小説
幽閉王子は最強皇子に包まれる
皇洵璃音
BL
魔法使いであるせいで幼少期に幽閉された第三王子のアレクセイ。それから年数が経過し、ある日祖国は滅ぼされてしまう。毛布に包まっていたら、敵の帝国第二皇子のレイナードにより連行されてしまう。処刑場にて皇帝から二つの選択肢を提示されたのだが、二つ目の内容は「レイナードの花嫁になること」だった。初めて人から求められたこともあり、花嫁になることを承諾する。素直で元気いっぱいなド直球第二皇子×愛されることに慣れていない治癒魔法使いの第三王子の恋愛物語。
表紙担当者:白す(しらす)様に描いて頂きました。
優しく暖かなその声は(幽閉王子は最強皇子に包まれる・番外編)
皇洵璃音
BL
「幽閉王子は最強皇子に包まれる」の番外編。レイナード皇子視点。ある日病気で倒れたレイナードは、愛しいアレクセイに優しくされながら傍にいてほしいとお願いしてみると……?
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
転生貧乏貴族は王子様のお気に入り!実はフリだったってわかったのでもう放してください!
音無野ウサギ
BL
ある日僕は前世を思い出した。下級貴族とはいえ王子様のお気に入りとして毎日楽しく過ごしてたのに。前世の記憶が僕のことを駄目だしする。わがまま駄目貴族だなんて気づきたくなかった。王子様が優しくしてくれてたのも実は裏があったなんて気づきたくなかった。品行方正になるぞって思ったのに!
え?王子様なんでそんなに優しくしてくるんですか?ちょっとパーソナルスペース!!
調子に乗ってた貧乏貴族の主人公が慎ましくても確実な幸せを手に入れようとジタバタするお話です。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
キミと2回目の恋をしよう
なの
BL
ある日、誤解から恋人とすれ違ってしまった。
彼は俺がいない間に荷物をまとめて出てってしまっていたが、俺はそれに気づかずにいつも通り家に帰ると彼はもうすでにいなかった。どこに行ったのか連絡をしたが連絡が取れなかった。
彼のお母さんから彼が病院に運ばれたと連絡があった。
「どこかに旅行だったの?」
傷だらけのスーツケースが彼の寝ている病室の隅に置いてあって俺はお母さんにその場しのぎの嘘をついた。
彼との誤解を解こうと思っていたのに目が覚めたら彼は今までの全ての記憶を失っていた。これは神さまがくれたチャンスだと思った。
彼の荷物を元通りにして共同生活を再開させたが…
彼の記憶は戻るのか?2人の共同生活の行方は?
【完結・ルート分岐あり】オメガ皇后の死に戻り〜二度と思い通りにはなりません〜
ivy
BL
魔術師の家門に生まれながら能力の発現が遅く家族から虐げられて暮らしていたオメガのアリス。
そんな彼を国王陛下であるルドルフが妻にと望み生活は一変する。
幸せになれると思っていたのに生まれた子供共々ルドルフに殺されたアリスは目が覚めると子供の頃に戻っていた。
もう二度と同じ轍は踏まない。
そう決心したアリスの戦いが始まる。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
愛などもう求めない
白兪
BL
とある国の皇子、ヴェリテは長い長い夢を見た。夢ではヴェリテは偽物の皇子だと罪にかけられてしまう。情を交わした婚約者は真の皇子であるファクティスの側につき、兄は睨みつけてくる。そして、とうとう父親である皇帝は処刑を命じた。
「僕のことを1度でも愛してくれたことはありましたか?」
「お前のことを一度も息子だと思ったことはない。」
目が覚め、現実に戻ったヴェリテは安心するが、本当にただの夢だったのだろうか?もし予知夢だとしたら、今すぐここから逃げなくては。
本当に自分を愛してくれる人と生きたい。
ヴェリテの切実な願いが周りを変えていく。
ハッピーエンド大好きなので、絶対に主人公は幸せに終わらせたいです。
最後まで読んでいただけると嬉しいです。
期待外れの後妻だったはずですが、なぜか溺愛されています
ぽんちゃん
BL
病弱な義弟がいじめられている現場を目撃したフラヴィオは、カッとなって手を出していた。
謹慎することになったが、なぜかそれから調子が悪くなり、ベッドの住人に……。
五年ほどで体調が回復したものの、その間にとんでもない噂を流されていた。
剣の腕を磨いていた異母弟ミゲルが、学園の剣術大会で優勝。
加えて筋肉隆々のマッチョになっていたことにより、フラヴィオはさらに屈強な大男だと勘違いされていたのだ。
そしてフラヴィオが殴った相手は、ミゲルが一度も勝てたことのない相手。
次期騎士団長として注目を浴びているため、そんな強者を倒したフラヴィオは、手に負えない野蛮な男だと思われていた。
一方、偽りの噂を耳にした強面公爵の母親。
妻に強さを求める息子にぴったりの相手だと、後妻にならないかと持ちかけていた。
我が子に爵位を継いで欲しいフラヴィオの義母は快諾し、冷遇確定の地へと前妻の子を送り出す。
こうして青春を謳歌することもできず、引きこもりになっていたフラヴィオは、国民から恐れられている戦場の鬼神の後妻として嫁ぐことになるのだが――。
同性婚が当たり前の世界。
女性も登場しますが、恋愛には発展しません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる