【完結】18年間外の世界を知らなかった僕は魔法大国の王子様に連れ出され愛を知る

にゃーつ

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「ニナが、、、?」

「うん、僕はこれから彼女に会う。僕を訪ねてきているようだから。」

「な、、なんでニナはセドを知ってるの?」

そう言ったルイに初めてルイに出会った日、ニナの婚約者を探すパーティーが開かれていたこと、僕はその参加者だったこと、そこで気に入られたことを話す。

「ルイを助け出した日、僕は父上と作戦を立てて乗り込んだ。あちらは僕らがニナとの婚約に乗り気だと勘違いしていたからそれを利用したんだ。」

「あの誕生日パーティーは婚約者探しのパーティーだったんだ。」

「うん。ほら、父上と母上仲良いでしょ?あの2人恋愛結婚なんだけど、姉さんもベルトと恋愛結婚だし僕も絶対好きな人見つけて結婚するって決めてたんだ。だから、ルイに出会えて僕の夢叶った。」

そう言うとこちらに腕を伸ばしてくるのでぎゅっと抱きしめる。これも最近のルイの癖。

感情を表に出して見られるのに慣れてないから少し恥ずかしいみたいで嬉しさを隠す時は僕の腕の中に隠れる。

「ルイ、最近僕の元にルーチェ第一王女から手紙が届いてた。持ってきたから全部読んで?」

手紙を渡し読み進めるうちにどんどんと難しい顔になっていく。手紙の内容の異常性に気がついたみたいだ。

「僕はちゃんと対面して断るために今から会う。」

ルイはどうする?そう言おうとした途端に

「っ、、僕も!行く!!!」

ルイの口からそんな言葉が出た。

「嫌なこと思い出さない?」

「昔のことは、なんか、その、ずっと忘れられない。でも、セドといたら思い出す暇もないくらい幸せだから、、、。大丈夫だよ。僕には味方の人たちがいるから大丈夫。」

客間に連れて行ったことはあるが、それは公爵たちが訪れる5階の客間。

そこに行くと思ったのに階段を降りたので不思議そうにしている。あとで説明してあげようかな。

一階に行くよと言うと階段を降りるにつれルイが不安そうになる。大丈夫、僕が横にいるから。そんな思いを込めてルイの右手を僕の左手で包み込む。

ルイもギュッと握り返してくれるからなんだか城の中だけどデートをしているみたいになって2人の世界に入り込んだ

楽しい時間だったのに客間に近づくと大きい声が聞こえる。

はぁ、せっかくルイと家デートってやつできてたのに。

ギャンギャン喚きやがって。

「うるせぇな、、犬かよ。あ、犬に失礼だな。はぁ、、うぜえ。」

あ、、、、、、

つい無意識でそんな言葉が口からこぼれ出てしまった。

「ふふっ、セドの時々のその口調僕好きだよ?」

「でも、これレスターに怒られるんだ。下品です!王族らしい言葉遣いを!!!ってね。」

「なら、僕の前では好きなように話していいんだよ?」

「普段も偽ってるわけじゃないんだけどね、イライラした時とか嫌なことがあった時とかはルイの前で乱暴な言葉遣いしちゃうかも。」

「うん!セドの全部が大好きだから嬉しいよ!!!」

あぁ。最高。

え、これもう客間行かなくて良くね?このまま2人で庭デートしたい。

そんな願いも虚しく部屋の前に着いてしまったのでノックをして部屋の扉を開ける。もちろん、ルイと手は繋いだままだ。

「セドリック!!!!って、なんであんたが横にいんのよ!!!!」

地獄の時間の始まりのゴングがなった。

「王女様、落ち着きなさいませ。殿下の御前でございます。」

レスターがそう落ち着かせようとするが、

「うるさいわね!執事のくせに生意気よ!私はセドリックの婚約者よ!!!」

ギャーギャーとうるさすぎる。ルイと双子だなんて信じられない。確かに顔は少しだけ、ほんのすこーしだけ似ているが、それ以外何一つ似ていない。

ルイは才に溢れていて知的で優しくて良いところしかないのに、頭の良さが微塵も感じられない物言いに王女とは思えない態度。

はぁ、、、

「落ち着いて話もできないんですか。とりあえず、座ってもらえますか。」

そう言うと、うざったらしくも頬を赤らめて急におしとやかにモジモジと座る姿を見て吐き気がする。

これがルイなら可愛くて仕方ないのに。

「で、何用ですか。友好国とはいえアポもなしに訪ねてくるなんて非常識極まりないですね。」

「セドリック!!私たちの仲じゃない!!ねぇ、さっさとその横にいる疫病神の手を放しなさいよ!気色悪い!」

「・・・ルイのことをそんな風に言うのか?」

僕の雰囲気が変わったことに気づいたようで少し顔色が悪くなったな。
ルイのことを言われ冷静になんてなれない。疫病神?これまでにも多くの言葉をルイに当てつけてきたんだろ?

ここでこいつを殺してしまいたくなるがそんなことしたらルイを完全に自由にし、ルイを傷つけた全員に、制裁を与えられなくなるかもしれない。

落ち着け、、、っ、、、

悔しいっ

怒りで鼓動は早くなり頭に血が昇って行くのを感じる。

こうなってしまったら収めることができない。

なのに、ルイが握っていた手にギュッと力をこめてくれたことで怒りがスッと引き始め心を落ち着かせることができた。

「ニナ、、僕を疫病神って言っていいよ。でも、セドはそんな僕を大事にしてくれるから。だから、セドの横に僕はこれからい続ける。」

そう言ってくれたことで僕は怒りを抑えていた精神力を人前とか関係なくルイを抱きしめてキスしたいという欲を抑える精神力にシフトチェンジした。
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