【完結】18年間外の世界を知らなかった僕は魔法大国の王子様に連れ出され愛を知る

にゃーつ

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セドと一緒にお城に帰るとお父様やお母様、ベルト兄様にリルラ姉様、国王様に王妃様までみんなが揃って僕たちを出迎えてくれた。

「よかった、無事でよかった。電話が来た時、冷や汗をかいた。本当に心配したんだぞ。」

お父様が抱きしめてくれた。

「僕、を、、、心配してくれたんですか?」

「当たり前だ。」

熱が出ればそのまま死んでくれないかと思っていた僕の血の繋がった両親や妹たち。

身が危険になった時に親に心配されるなんて、そんなこと経験したことないからどんな反応したらいいのか分からない。

「ルイ君、おかえり。」

「おか、、えり??」

「外出から戻ってきた人に言う言葉だよ。おかえりと言われたらただいまと返すんだ。ルイ君、おかえり。」

「た、だいま。」

帰ってきたらこんな挨拶をするんだ。
知らなかった。

ここにいると知らないことをたくさん知れる。

おかえり、ただいま。

今交わしたこの挨拶がなんだか嬉しくて、少しむず痒くなった。

「セドリック様、犯人は?」

「乗り込んだ際に騎士が捕らえたのが11人、大会主催者も共犯であることが分かりましたのでそちらにも騎士を向かわせてます?」

「共犯がもう調べられたのですか?さすがセドリック様だ。」

「いえ、今回はルイのおかげです。ね?ルイ。」

え、僕??

「僕そんな大それたことしてない、、」

「ルイ、力を貸してくれてありがとうって僕言ったでしょ?ほら、みんなに教えてあげて?」

みんなに犯人たちがぺぺ語で話していた内容を教えた。

「ルイ君、ぺぺ語ができるのかい?」

「うん、あ、できます。お父様。」

頭に手が乗り大きな手が優しく僕の頭を撫でてくれた。

「すごいじゃないか!!外交を任されている以上多くの言語を学んできた私でもぺぺ語は難しくて諦めてしまったんだ。ルイ君!!すごいぞ!!よく頑張って勉強したな!!」

「お父様、、嬉しいです。あの!僕!いっぱい勉強したんです!!役に立ちますか?」

セドと同じ顔だ。眉間に少し皺を寄せ眉を下げた悲しそうな顔。

僕、何か嫌なこと言ってしまったんだろうか。

「あ、ごめんなさい。「ルイ君、私は君のなんだい?」

「お父様です!」

「そうだ。家族はね、役に立つなんて道具のような言葉は使わない。私と約束しよう。自分に対して役に立つと言う言葉をもう使わないと。」

「・・・分かりました。」

約束したからには使わない。

でも、、、

「役に立つか聞きたくなったら、褒めてって言ってごらん?」

褒めて?僕からそんなの求めていいの?

不安になりセドの方を向くと言ってごらんと頷いてくれた。

だから、

「お父様、僕、ぺぺ語話せます。他にも!たくさん勉強していろんな国の言葉話せます!!頑張ったから、その、、、ほ、褒めてくださいっ!」

すごい早口になってしまったし最後の方は顔を見るのが怖くてギュッと目を瞑って言ってしまったが、言えた。初めて褒めてなんて言えた。

「ルイ!父様はお前を誇りに思うぞ!!よく頑張ったな、すごいじゃないか。アスバル家の次男はすごいんだと父様はお前を自慢して回りたいよ。」

父様が抱きしめてくれた。

嬉しい。

セドに抱きしめてもらうのとは全く違う気持ちになるのに、なんだか体の中が暖かくなるのは同じだ。

「ルイ君は博識で賢くて多才だな。そうだ、頑張ったご褒美に何か欲しいものを買ってあげよう。何が欲しい?」

ほ、欲しいもの?

欲しいもの、、、、なんだろう。

「あ、あの、、。さっきみたいにルイって呼ばれたいです。」

ルイ君よりルイの方が嬉しかったから。

「いくらでも呼ぼう。君をつけるより距離が近い感じがするね。ルイ、他に欲しいものはあるかい?なんでもいいんだよ?」 

他に、、、。

うーん、、、

「何か好きなものとか貰うと嬉しいものはあるかい?ルイのことなら何でも知りたいぞ?嬉しかったことでも何でも。」

嬉しいもの、、、あ!!!

「お父様!僕、今日セドにキスしてもらえたのが嬉しかったです!!」

「「「「・・・・・・・・!?」」」」

ん?みんな、目を大きく見開いてる、、?

なんか驚くことがあったのかな?

目の前のお父様を見てみると、また眉間に皺を寄せている、でも悲しそうな顔じゃないな、、、難しそうなお顔をしている。

「セドリック様、ルイはまだ18です。」

「いや、もう18、、、」

「成人がまだです。」

「はい。すいません。でも、」

「言い訳は不要です。その先はされてませんね?」

「もちろんです。」

「成人まで、いや、結婚するまではその先は許しませんよ?」

「えっ、、、」

「当たり前です。宜しいですね?」

「はい。」

セドが、怒られてる?なんで?

「お父様、セド、僕何かいけないこと言いましたか?」

「ルイは何も悪くないよ?セドリック様とお父様のお約束の話をしていたんだ。ほら、今日は疲れただろう?陛下が私たちも夕食を共にと言ってくれたから夕食を一緒に食べて早めに寝なきゃね。」

「はい!!!」

みんなで夕食!!

楽しみだとワクワクする気持ちが生まれたと同時に

セドの魔法の演舞見たかったな。

と今日の1番の心残りをふと思い出してしまった。



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