【完結】18年間外の世界を知らなかった僕は魔法大国の王子様に連れ出され愛を知る

にゃーつ

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---ルイ、君のことが大好きだよ。誰よりも愛してる。だから僕のことも好きになってね。---

この国に来てすぐからそんな言葉を何度も言ってくれた。でも、セドは抱きしめることはするけどそれ以上は何もしない。本で読んだ物語で愛し合うものはキスをしていた。だから、好きな人同士はキスをするもんだと僕は思っていた。

キスをしないってことはセドは何か理由があって僕にそう言っていただけなのかと思っていた。

でも、大男が言っていた。生涯ただ1人、守ると決め愛すると決めた者に渡すネックレスなんだと。

結婚することは家族となることだって辞書に書いてあった。血の繋がった家族からは家族として選ばれなかった僕を家族として選んでくれるってことなの?

「ルイ、、僕何度も好きって言わなかった、、け?」

「うん、だけど、、、キスしないからなんか理由があって言わないんだって思ってた。」

「キ、キス!?え、その、えっと、、なんでそう思ったの?」

「好きって言い合った後にはどの物語でもキスしてた。」

相手のからだに唇で触れて愛情や敬意を示す行為。

そう辞書には書いてあったが物語で恋人たちは唇同士でキスをしていた。だから僕もセドとするんだなって思っていたのに、僕が好きって言ってもセドはしなかった。

なら僕のことそう言う好きじゃないのかなって思ったんだ。

そう言うと、セドは焦ったように

「違ぇ!!!したいに決まってんだろ!!キスして、ルイを俺の腕の中に閉じ込めてその先だってしてぇよ!キスしたい!!・・・あ、、」

セドがこんなに感情のまま僕に話すことなんて珍しいから驚いたけど、言葉を発した直後にしまったという顔をしてセドは胸のうちを語り始めた。

「ルイの、好きは僕の好きと違うのかと思ってたんだ。助け出したから、親愛のような、そういう意味では好きなのかと思ったんだ。キスしたら、もう止められなくなる。ルイが別の人のこと好きになったとしても無理矢理にでも閉じ込めて僕のものにしたくなる、、、。自由になって生き生きとしているルイにそんなことしたくない。ルーチェのあいつらと同じことをしたくなかった。」

僕の好きと、セドの好き、、、。

「僕の好きは、ドキドキする好きだよ?セドと一緒にいたい好き。辞書にあるようにセドに心がひかれてる。ドキドキすることを恋っていうんでしょ?特定の人に強く心ひかれることを恋っていうんでしょ?僕!セド以外の人にこんなにドキドキしないもん!!」

「・・・ルイ、好きだ。ルイのことを考えるとドキドキして苦しくなるくらい好き。他のやつになんかぜってぇ渡さねえ。」

「うん、これ、両思いって言うんでしょ?」

「そうだよ。僕、幸せだ。」

セドが幸せだって言ってくれた。僕と両思いになれて幸せだって。

あ、、、

「キスしないの?」

「・・・いいの?」

「だって、両想いになったらキスするんでしょ?」

お互いに相手は自分を好きじゃないと思ってた。片思いだと思ってた。

でも、両思いだった。

「ルイ、こっち向いて?」

セドの方をまっすぐ見つめるとだんだんとセドの顔が近づいてきて僕の唇にセドの唇が触れた。

「・・・・・・なんか言ってよ。ルイ?」

どうしよう、ドキドキするのはいつもなんだけど、、、、

は、恥ずかしい、、、

え、今、唇、、、、、

え、キスってこんなに恥ずかしくなるものなの?

そんなの物語に書いてなかった。

キスして幸せになりました。

そうとしか書いてなかった。

セドの顔が見られない。

なんだか顔が熱い。



「ルイ、顔真っ赤だよ?毎日キスしようね?」

「と、当分は!キスしない!!」

「当分ってことは、またキスはしてくれるんだ?」

セドは意地悪だ。

さらに顔が熱くなるのを感じながらセドに抱きしめられセドの匂いと熱に身を預けた。

だから仕返しをしてやるんだ。

「セドは猫被ってたんでしょ。」

「・・・・・・・・・」

「さっき俺って言ってたし、なんかちょっといつも特徴が違った。」

「・・・・・・気のせいじゃない?」

「気のせいじゃない。」

「怖かった?」

怖い?そんなわけない。

なんかいつもと違っていてかっこよかった。

「ううん、セドならどんなセドでも好き!大好き!!」

好きって何度言っても足りない。
それくらい好き。








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