【完結】18年間外の世界を知らなかった僕は魔法大国の王子様に連れ出され愛を知る

にゃーつ

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これまでに聞いたことがないほど大きな音と少しの揺れを感じた。

何事かと顔を動かしてみると・・・


綺麗な空が見えた。

・・・なんで?




そう思った2秒後にはセドに抱きしめられていた。

「セド、、、?」

「遅くなってごめん、守れなくてごめん。怖かったでしょ。」

「僕、大丈夫だよ?平気だった。怖くなかったよ。」

セドの腕がギュッと強く巻き付いた。

その瞬間に体がふわっと浮いた感覚がしたと思ったら馬車の中にいた。
馬車の中に移動してもセドが僕を離すことはなく膝の上に乗せて抱きしめたままでいてくれた。

セドはすごい。

助けてくれた。

2回目だ。僕を助け出してくれたのは2回目。

セドの腕に安心して少し眠ってしまった。

次に目を開けると縛られていた跡が綺麗になっていて僕はまだセドに抱きしめられていた。

「もう起きたの?5分くらいしか寝てないよ?大丈夫?」

「これ、セドが治してくれたの?」

「うん。痛かった?大丈夫?」

「平気。セド!助けてくれてありがとう!!怖かった!!あ!このネックレス、セドがくれたの?」

「うん、そうだよ。僕が世界で1番愛しい人に渡すネックレス。サベルクに来てから魔力を込めたんだ。今回役に立って良かった。このネックレスの魔力を辿ってここまで来た。」

このネックレスすごいなぁ。と感心していると窓から一緒に捕まっていた姉弟も助け出されているのが見えた。
良かった、助かったんだ。

その後ろには少し古めの民家。

ここに捕まっていたのか。庭もついているが草木は生え放題。きっと手入れもされていないんだと思う。

そんなことよりも驚いたことが一つある。

さっき急に空が見えたことに疑問が浮かんでいたが、屋根がない。

「セド、、屋根がない、、、。」

「あぁ、さっき吹っ飛ばしたから。」

吹っ飛ばした?家の屋根を?
すごい!魔法ってそんなことまでできるのか。威力もすごい。

「そんなことできるの?すごいね。セドすごい。」

「本当?ありがとう。ねえルイ?見える部分は治したけど他に痛いところとか、違和感あるところない?」

痛いところ、、特にない。

違和感あるところも、、、特に、ない。

「ないよ、大丈夫。」

「怖かったよね、本当にごめんね。」

「怖かったけど大丈夫!本当!!助けてくれてありがとう!!ネックレスも守ってくれた!!」

「そっか、なら良かった。」

そう言って微笑むセドがなんだかすごくかっこよく思えた。

ちょっとドキドキしていると空気がピリッとしたのがわかった。その急激な変化に驚きセドの視線を追ってみると、あの大男とその子分たちが騎士の人に連れられ出てきたのが見えた。

大男たちをまっすぐ見つめているセドが僕を持ち上げ馬車の椅子に座らせた。

「少しここで待っててくれる?・・・今回の犯人たちを拷問してくる。今回のこと、絶対に許さない。」

「どうして?あの人たちセドに何もしてないよ?」

「うん、僕に直接何かしたわけじゃない。でも、僕は僕自身よりも何よりもルイのことが大切なんだ。だから僕は怒ってるんだ。ルイのことを傷つけようとしたからね。それに、この国の国民を誘拐したんだ。組織を根絶やしに潰す必要がある。」

力強くそう言ったセドはいつも僕に微笑んでくれるセドじゃなくて、この国の上に立つ人間、王太子のセドだった。

セドは僕が傷つけられることに怒ってくれる。

じゃあ僕には何ができるの?
僕のために行動を起こしてくれるセドに何をすれば恩返しができるの?

セドの役に立ちたい!

「セ、ド、、、僕会話聞いたんだ。」

「会話?」

「うん、あの犯人たちの会話。」
















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