【完結】18年間外の世界を知らなかった僕は魔法大国の王子様に連れ出され愛を知る

にゃーつ

文字の大きさ
上 下
39 / 105

38☆

しおりを挟む

「美味しい!!」

目をキラキラさせながら食べるルイにとって甘味は経験がない味覚なんだろう。思えば城でもまだスイーツは多く食べていないし、この国にはそもそも他国の料理も多く入ってくるから僕自身でも新しい発見は常々ある。

小さい頃から城を脱走していた甲斐がある。こうしてルイを美味しい店に連れて行くことができるし、何より案内するときに手をつなげる。ルイも嫌がってなかったしな。

「ルイ、そろそろ会場に行こうか。」

「うん。セドの舞楽しみ。」

「そんなに期待しないで?でも、今日はルイのためだけに舞うから。」

「僕のため?」

キョトンとして可愛いな。クルルもうまかったけど、ルイの方が何十倍も美味そうなんだよな。

「そう、ルイだけのため。この国に来てくれてありがとう、僕のそばにいることを決めてくれてありがとう、僕のことを好きって言ってくれてありがとうって気持ちを込めて舞うから。」

「僕だけ、、?本当に?僕だけ?」

どうしたんだ?瞳には不安の色が澱み口もキュッと結んで、少し混乱している様子が見える。

「うん。ルイだけだよ?どうしたの?何か不安?」

安心させるため抱きしめて不安なのかと問うとフルフルと頭を振りそれは違うと否定する。どうしたんだ?

「僕だけのためなんて、初めてなの。」

そうか。これまで存在を隠されてきたルイはプラスの意味の特別扱いは経験がないんだ。王族なら経験するような誕生日パーティーもあの国ではルイの双子の妹の誕生日。ルイだけのために何かをする人が近くにいなかった。

「ルイだけのためだ。僕はルイだけのものだよ?僕がこういうふうに抱きしめるのもルイだけ。僕が手を繋ぐのもルイだけ。僕がデートするのもルイだけ。僕がお気に入りのお店に連れて行くのもルイだけ。僕が舞を見せるのもルイにだけだ。」

「・・・・・・ありがとう。」

あぁ、嬉しいんだろうな。ルイの表情は人よりも控えめなことが多い。これまでの環境がそうさせてきたんだろう。嬉しそうな時は口がモゴモゴするんだ。悲しい時は視線が落ちて口角が少しだけ下がる。

これでも言葉をよく話すようになってから表情も少しずつ豊かになってきている。もっともっとルイの新しい表情を見たいと思う。

あ、恥ずかしい時は頬を赤らめて自身の手をキュッと握る。それが可愛くて僕は甘いセリフを言ったり頬を撫でたりしてしまう。

「さ、会場に行こう。大きい会場だからきっと驚くよ?たくさん人がいる。」

「5万人入るんでしょ?そんな中で舞うなんてすごい。」

すごいすごいと目をキラキラさせて、僕に手を引かれながら周りをキョロキョロしているルイが可愛くて可愛くて、僕の演舞を見たらどんな感想をくれるのかなって。

初めて火柱を起こす魔法を見せた時は辞書に書いてあった火には温度のことが書いてなかったから熱いと知らずに触ろうとしたし、水滴を注に作り出すの魔法のときも興味本位で口に入れたし、未知のものに対して興味を持つと体が動いてしまうルイのために、ルイが知識で知っているような辞書に書いてある現実の事なりを覆すような魔法を使う演舞にした。

なんで?辞書にはこう書いてたのに!何でそうなるの!!

きっとルイは分からないことを探究する。それでいい、少しでも僕のしたことに興味を持ってくれればそれでいいという僕の自分勝手な演舞だ。

少し高いところから舞台全体が見える特等席で僕の演舞を見てくれることを僕自身楽しみにしていたのに。

なんで、








「ご報告いたします。セドリック様のお連れ様が連れ去られました。」







君を危険な場所から遠ざけたくてこの国に連れてきたのに。





しおりを挟む
感想 69

あなたにおすすめの小説

幽閉王子は最強皇子に包まれる

皇洵璃音
BL
魔法使いであるせいで幼少期に幽閉された第三王子のアレクセイ。それから年数が経過し、ある日祖国は滅ぼされてしまう。毛布に包まっていたら、敵の帝国第二皇子のレイナードにより連行されてしまう。処刑場にて皇帝から二つの選択肢を提示されたのだが、二つ目の内容は「レイナードの花嫁になること」だった。初めて人から求められたこともあり、花嫁になることを承諾する。素直で元気いっぱいなド直球第二皇子×愛されることに慣れていない治癒魔法使いの第三王子の恋愛物語。 表紙担当者:白す(しらす)様に描いて頂きました。

優しく暖かなその声は(幽閉王子は最強皇子に包まれる・番外編)

皇洵璃音
BL
「幽閉王子は最強皇子に包まれる」の番外編。レイナード皇子視点。ある日病気で倒れたレイナードは、愛しいアレクセイに優しくされながら傍にいてほしいとお願いしてみると……?

【完結】悪役令息の役目は終わりました

谷絵 ちぐり
BL
悪役令息の役目は終わりました。 断罪された令息のその後のお話。 ※全四話+後日談

転生貧乏貴族は王子様のお気に入り!実はフリだったってわかったのでもう放してください!

音無野ウサギ
BL
ある日僕は前世を思い出した。下級貴族とはいえ王子様のお気に入りとして毎日楽しく過ごしてたのに。前世の記憶が僕のことを駄目だしする。わがまま駄目貴族だなんて気づきたくなかった。王子様が優しくしてくれてたのも実は裏があったなんて気づきたくなかった。品行方正になるぞって思ったのに! え?王子様なんでそんなに優しくしてくるんですか?ちょっとパーソナルスペース!! 調子に乗ってた貧乏貴族の主人公が慎ましくても確実な幸せを手に入れようとジタバタするお話です。

期待外れの後妻だったはずですが、なぜか溺愛されています

ぽんちゃん
BL
 病弱な義弟がいじめられている現場を目撃したフラヴィオは、カッとなって手を出していた。  謹慎することになったが、なぜかそれから調子が悪くなり、ベッドの住人に……。  五年ほどで体調が回復したものの、その間にとんでもない噂を流されていた。  剣の腕を磨いていた異母弟ミゲルが、学園の剣術大会で優勝。  加えて筋肉隆々のマッチョになっていたことにより、フラヴィオはさらに屈強な大男だと勘違いされていたのだ。  そしてフラヴィオが殴った相手は、ミゲルが一度も勝てたことのない相手。  次期騎士団長として注目を浴びているため、そんな強者を倒したフラヴィオは、手に負えない野蛮な男だと思われていた。  一方、偽りの噂を耳にした強面公爵の母親。  妻に強さを求める息子にぴったりの相手だと、後妻にならないかと持ちかけていた。  我が子に爵位を継いで欲しいフラヴィオの義母は快諾し、冷遇確定の地へと前妻の子を送り出す。  こうして青春を謳歌することもできず、引きこもりになっていたフラヴィオは、国民から恐れられている戦場の鬼神の後妻として嫁ぐことになるのだが――。  同性婚が当たり前の世界。  女性も登場しますが、恋愛には発展しません。

キミと2回目の恋をしよう

なの
BL
ある日、誤解から恋人とすれ違ってしまった。 彼は俺がいない間に荷物をまとめて出てってしまっていたが、俺はそれに気づかずにいつも通り家に帰ると彼はもうすでにいなかった。どこに行ったのか連絡をしたが連絡が取れなかった。 彼のお母さんから彼が病院に運ばれたと連絡があった。 「どこかに旅行だったの?」 傷だらけのスーツケースが彼の寝ている病室の隅に置いてあって俺はお母さんにその場しのぎの嘘をついた。 彼との誤解を解こうと思っていたのに目が覚めたら彼は今までの全ての記憶を失っていた。これは神さまがくれたチャンスだと思った。 彼の荷物を元通りにして共同生活を再開させたが… 彼の記憶は戻るのか?2人の共同生活の行方は?

【完結・ルート分岐あり】オメガ皇后の死に戻り〜二度と思い通りにはなりません〜

ivy
BL
魔術師の家門に生まれながら能力の発現が遅く家族から虐げられて暮らしていたオメガのアリス。 そんな彼を国王陛下であるルドルフが妻にと望み生活は一変する。 幸せになれると思っていたのに生まれた子供共々ルドルフに殺されたアリスは目が覚めると子供の頃に戻っていた。 もう二度と同じ轍は踏まない。 そう決心したアリスの戦いが始まる。

愛などもう求めない

白兪
BL
とある国の皇子、ヴェリテは長い長い夢を見た。夢ではヴェリテは偽物の皇子だと罪にかけられてしまう。情を交わした婚約者は真の皇子であるファクティスの側につき、兄は睨みつけてくる。そして、とうとう父親である皇帝は処刑を命じた。 「僕のことを1度でも愛してくれたことはありましたか?」 「お前のことを一度も息子だと思ったことはない。」 目が覚め、現実に戻ったヴェリテは安心するが、本当にただの夢だったのだろうか?もし予知夢だとしたら、今すぐここから逃げなくては。 本当に自分を愛してくれる人と生きたい。 ヴェリテの切実な願いが周りを変えていく。  ハッピーエンド大好きなので、絶対に主人公は幸せに終わらせたいです。 最後まで読んでいただけると嬉しいです。

処理中です...