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そりゃあ驚くよな。
ルイと会話をしているうちに気づいた。
ルイの頭の良さは異常なほどだ。読んだ本の内容は暗記しているようで、辞書ではみたことあるけど体験したことや実感したことがない言葉はルイ自身で意味を確認しているようだった。
ルイが僕の前で少し話すようになってからそのことに気がついたんだ。
すごいと褒めたくなるのと同時に、おそらくあの部屋の中で何度も何度もあの本を読んだんだろう。それ以外にすることもなくて何度も何度も。普通は成長する過程の中で覚えた言葉を実感することで身についていく知識をルイは実体験という経験が一切ないまま言語として文字として知識を身につけていった。
同じように思えて言葉もに身につきかたは全く違う。今もお菓子という言葉を聞いて意味は理解している。でも、ルイはお菓子という言葉を聞いて文字の羅列が浮かんでいる。僕たちならお菓子と聞くと食べたいとかどんな味かとかいうような感覚的な感情が浮かぶ。
僕たちにとって考えることもなくされている脳内の作業はルイにはできない。
もちろん、ルイが当たり前に覚えているように正確な言葉の意味を答えることは僕たちはできない。
だからこそ、ルイは4人が不思議そうな顔をしたのを自分がお菓子を食べたことないから不思議に思っているんだとそう信じて疑わない。
「ルイ、姉さんのお菓子美味しいんだ。一緒に食べようか。」
「・・・いいの?」
「もちろんだよ。姉さんはルイに渡すためにお菓子焼いてきてくれてからね。」
僕とルイが会話をしていると4人も驚きから戻ってきたようでメイド達に指示をしてお茶の準備をし始めた。
目の前に並んでいるのはクッキーにスコーン、ガトーショコラか。
「ルイ、これはクッキーだよ。食べてごらん?」
「・・・!?、、、おいしい。」
これまでに食べてきた甘いものはフルーツぐらいだろうから、人工的な甘さに驚いたようだ。でもよかった美味しいようで食べてくれた。
これも最近気づいたことだが、ルイは味覚などの五感と言葉があまり一致していない。
調べたところ、幼少期にはお世話係として使用人が1人ついていたようだが8歳までだったようだし使用人であれば一緒に食事を取ることもないから身に付かなかったのかと僕は考えている。
「甘くて美味しいね。」
「うん、、甘い、、。美味しい。」
だから、こうして人と食事をとったり多くの経験を一緒にすることででルイの感性や知識を豊かなものにしていきたい。それが今の僕の1番の生きがいだ。
「ルイ君、紅茶はミルクとレモンどちらにする?」
「えっと、、、」
「お菓子が甘いからレモンティーでスッキリするのもいいわね、でもミルクティーも甘くて美味しいのよね。うん、今日はレモンティーにするわ。ルイ君はどちらも飲んだことがある?」
「ミルクティーは、あります。セドが、入れてくれて、、、、」
「新しいのに挑戦してみる?いつものにする?」
「えっと、、、」
「私と同じのにする?」
「・・・はい。」
夫人はすごいな、もうルイと打ち解け始めている。自分の意見をなかなか言えないルイが答えやすいように誘導している。見習わなくてはいけないな。
「セドリック様、書類を持ってまいりましたのでルイ君に書いてもらいましょう。」
公爵の言葉にハッとする。そうだ、クッキーを食べるルイがかわいくて頭から抜けていたがいち早くルイの戸籍を作らなければ。
ルイと会話をしているうちに気づいた。
ルイの頭の良さは異常なほどだ。読んだ本の内容は暗記しているようで、辞書ではみたことあるけど体験したことや実感したことがない言葉はルイ自身で意味を確認しているようだった。
ルイが僕の前で少し話すようになってからそのことに気がついたんだ。
すごいと褒めたくなるのと同時に、おそらくあの部屋の中で何度も何度もあの本を読んだんだろう。それ以外にすることもなくて何度も何度も。普通は成長する過程の中で覚えた言葉を実感することで身についていく知識をルイは実体験という経験が一切ないまま言語として文字として知識を身につけていった。
同じように思えて言葉もに身につきかたは全く違う。今もお菓子という言葉を聞いて意味は理解している。でも、ルイはお菓子という言葉を聞いて文字の羅列が浮かんでいる。僕たちならお菓子と聞くと食べたいとかどんな味かとかいうような感覚的な感情が浮かぶ。
僕たちにとって考えることもなくされている脳内の作業はルイにはできない。
もちろん、ルイが当たり前に覚えているように正確な言葉の意味を答えることは僕たちはできない。
だからこそ、ルイは4人が不思議そうな顔をしたのを自分がお菓子を食べたことないから不思議に思っているんだとそう信じて疑わない。
「ルイ、姉さんのお菓子美味しいんだ。一緒に食べようか。」
「・・・いいの?」
「もちろんだよ。姉さんはルイに渡すためにお菓子焼いてきてくれてからね。」
僕とルイが会話をしていると4人も驚きから戻ってきたようでメイド達に指示をしてお茶の準備をし始めた。
目の前に並んでいるのはクッキーにスコーン、ガトーショコラか。
「ルイ、これはクッキーだよ。食べてごらん?」
「・・・!?、、、おいしい。」
これまでに食べてきた甘いものはフルーツぐらいだろうから、人工的な甘さに驚いたようだ。でもよかった美味しいようで食べてくれた。
これも最近気づいたことだが、ルイは味覚などの五感と言葉があまり一致していない。
調べたところ、幼少期にはお世話係として使用人が1人ついていたようだが8歳までだったようだし使用人であれば一緒に食事を取ることもないから身に付かなかったのかと僕は考えている。
「甘くて美味しいね。」
「うん、、甘い、、。美味しい。」
だから、こうして人と食事をとったり多くの経験を一緒にすることででルイの感性や知識を豊かなものにしていきたい。それが今の僕の1番の生きがいだ。
「ルイ君、紅茶はミルクとレモンどちらにする?」
「えっと、、、」
「お菓子が甘いからレモンティーでスッキリするのもいいわね、でもミルクティーも甘くて美味しいのよね。うん、今日はレモンティーにするわ。ルイ君はどちらも飲んだことがある?」
「ミルクティーは、あります。セドが、入れてくれて、、、、」
「新しいのに挑戦してみる?いつものにする?」
「えっと、、、」
「私と同じのにする?」
「・・・はい。」
夫人はすごいな、もうルイと打ち解け始めている。自分の意見をなかなか言えないルイが答えやすいように誘導している。見習わなくてはいけないな。
「セドリック様、書類を持ってまいりましたのでルイ君に書いてもらいましょう。」
公爵の言葉にハッとする。そうだ、クッキーを食べるルイがかわいくて頭から抜けていたがいち早くルイの戸籍を作らなければ。
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