【完結】18年間外の世界を知らなかった僕は魔法大国の王子様に連れ出され愛を知る

にゃーつ

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「ルイ、このお2人がアスバル公爵とサラ夫人。そして彼がご子息のベルト、その横にいるのが僕の姉であるリルラだよ。」

姉?確かに、髪の色や目の色が同じだしよく似ている。

「ルイ君、はじめまして。私は、トーマス・アスバル。君と家族になりたいと思って今回の話を受けた。」

「サラ・アスバルよ。あなたの事情はセドリック様から聞いているわ。ぜひ私たちと家族になりましょう?」

「・・・」

嬉しいことを言ってくれている。何か言った方がいいんだろうか。いや、声を出す方が嫌がられる。

僕はこんなにたくさんの人に会ったことなんてなくて、ここに来てからいろんな人に会って当たり前だけど人っていっぱいいるんだってことを目の当たりにしてどうすればいいのかまだ頭が追いついていない。下を向き、顔を上げられない。

いっぱいいっぱいになっている僕の手に温かいものが触れたのを感じた。パッと顔を上げると夫人がしゃがんで手を握ってくれていた。貴族の人にしゃがませてしまうだなんて!そう思い焦るが、この部屋にいる誰もが気にしてないようだった。

「私ね、女にしては少し声が低いの。小さい頃は男みたいだって汚い声だって揶揄われて、自分の声が嫌いで嫌いで仕方なかったの。ルイ君、私の声聞いてて嫌に感じてしまったらごめんなさいね。」

全力で首を横に振った。

「あらほんと?そう言ってくれるならよかった。あなたと家族になれる喜びをたくさん言葉で伝えたいから。」

言葉で、、伝えたい、、、。
僕も、そうしたい。そうしても許されるなら。

「・・・」

「ルイ君、怖かったら声出さなくていいわよ。セドリック様が言おうと誰が言おうとあなたの好きにしたらいいの。セドリック様に言われたからってこの城にいなくたっていいのよ?好きなところに住んでいいし、好きなことをしていいし、あなたの好きに生きられるの。それができるように私たちが全力であなたを守るわ。これまでは1人で頑張ったわね、これからは私にもたくさん抱え込んでいる荷物を少し分けてね?その分、私の荷物も持って欲しくなったらお願いするからね。」

最近の僕は泣き虫だ。すぐに涙が出て止めることができないんだ。

「ぼくっ、、、ぅ、、ぁ、っ、、」

「うん?どうしたの?大丈夫よ、ここにいる人はみんなあなたの味方。ゆっくり話してごらんなさい?」

「僕っ、もぅ、ルーチェに帰りたくないっっ、、ルイのこと、、助けてっ、、、ぅ、、」

ずっとあそこが嫌だった。自分が男なのが悪いと自己暗示で言い聞かせて、でも、本音は逃げ出したかった。誰かに助けて欲しかった。




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