【完結】18年間外の世界を知らなかった僕は魔法大国の王子様に連れ出され愛を知る

にゃーつ

文字の大きさ
上 下
25 / 105

25

しおりを挟む

「まだ体は回復しきってないから遠出はできないけど、元気になったらいろんなところへ行こう?ルイが行ってみたいところ、見てみたいもの、どんなところにだって連れて行くから。」

僕を布団に寝かしながらセドはこの世界のことをたくさん教えてくれた。

僕が本でしか読んだことのないこの世界は知らないことだらけで、文字や写真では色や形は分かっても匂いや味は分からないからすべてが新鮮に感じた。

見てみたいと思ってた海も本当にしょっぱいのか気になると言うと、今度一緒に行こうと言ってくれた。

セドはよく魔法も見せてくれた。ルーチェに魔法を使える人はほとんどいない。魔法師はいるが、数えられるほどしかいない。なのに、サベルクでは魔法を使えない人の方が少ないらしい。僕にも使えるのかな?と思っていると、サベルク以外の国の人は魔力があまりないので強い魔法は使えないが魔石という石を使い簡単な魔法なら使えるそうだ。

僕が1番好きなのはやっぱり変化魔法で、それを分かっているのかセドはよく鳥の姿になってくれる。

他にも目の前で水を操ったり火を出したり物を浮かせたりと僕がみたことのない魔法というものをたくさん見せてくれる。

そんな日々に楽しいと思っている自分がいた。こんなにワクワクしている自分に何よりも自分自身が1番驚いている。

「ルイ、今日はルイを養子にしてくれるアスバル夫婦が来るから僕と一緒に会ってくれる?」

「うん。」

養子、他人の子を自分の子とすること。
確か辞書にはそう書いてあったはずだ。

辞書でしか言葉を知ってこなかった僕には親子とか、家族とかの意味がまだいまいち分かっていない。

セドに言われ客間に向かっているが、僕はアスバル夫婦という人に何と言えばいいんだろうか。いや、声は出していいのか?セドは僕の声が好きだと言ってくれたが、他の人がどうかなんてわからないじゃないか。

まずい、僕は王様と王妃様の前でも少し話してしまった。こんな重大なことに今更気づいてしまった。

今日は話さない方が良さそうだ。セドと2人の時だけ、声を出して話すようにしよう。いやでも、セドも本当は僕の声が汚いと思っているかもしれない。

「よし、もうみんな決めるみたいだから開けるよ?」

「・・・」

「ルイ?緊張してる?」

「・・・」

僕が無言でいるから不思議そうな顔をしていたが頭を撫でてくれて、大丈夫だと言ってくれた。

セドが開けた扉の向こうには、ロマンスグレーの髪を靡かせた男性とスミレ色の目を持った女性、そして2人に似た若い男性と、金白に青い目をした綺麗な女性がいた。

しおりを挟む
感想 69

あなたにおすすめの小説

幽閉王子は最強皇子に包まれる

皇洵璃音
BL
魔法使いであるせいで幼少期に幽閉された第三王子のアレクセイ。それから年数が経過し、ある日祖国は滅ぼされてしまう。毛布に包まっていたら、敵の帝国第二皇子のレイナードにより連行されてしまう。処刑場にて皇帝から二つの選択肢を提示されたのだが、二つ目の内容は「レイナードの花嫁になること」だった。初めて人から求められたこともあり、花嫁になることを承諾する。素直で元気いっぱいなド直球第二皇子×愛されることに慣れていない治癒魔法使いの第三王子の恋愛物語。 表紙担当者:白す(しらす)様に描いて頂きました。

優しく暖かなその声は(幽閉王子は最強皇子に包まれる・番外編)

皇洵璃音
BL
「幽閉王子は最強皇子に包まれる」の番外編。レイナード皇子視点。ある日病気で倒れたレイナードは、愛しいアレクセイに優しくされながら傍にいてほしいとお願いしてみると……?

【完結】悪役令息の役目は終わりました

谷絵 ちぐり
BL
悪役令息の役目は終わりました。 断罪された令息のその後のお話。 ※全四話+後日談

転生貧乏貴族は王子様のお気に入り!実はフリだったってわかったのでもう放してください!

音無野ウサギ
BL
ある日僕は前世を思い出した。下級貴族とはいえ王子様のお気に入りとして毎日楽しく過ごしてたのに。前世の記憶が僕のことを駄目だしする。わがまま駄目貴族だなんて気づきたくなかった。王子様が優しくしてくれてたのも実は裏があったなんて気づきたくなかった。品行方正になるぞって思ったのに! え?王子様なんでそんなに優しくしてくるんですか?ちょっとパーソナルスペース!! 調子に乗ってた貧乏貴族の主人公が慎ましくても確実な幸せを手に入れようとジタバタするお話です。

期待外れの後妻だったはずですが、なぜか溺愛されています

ぽんちゃん
BL
 病弱な義弟がいじめられている現場を目撃したフラヴィオは、カッとなって手を出していた。  謹慎することになったが、なぜかそれから調子が悪くなり、ベッドの住人に……。  五年ほどで体調が回復したものの、その間にとんでもない噂を流されていた。  剣の腕を磨いていた異母弟ミゲルが、学園の剣術大会で優勝。  加えて筋肉隆々のマッチョになっていたことにより、フラヴィオはさらに屈強な大男だと勘違いされていたのだ。  そしてフラヴィオが殴った相手は、ミゲルが一度も勝てたことのない相手。  次期騎士団長として注目を浴びているため、そんな強者を倒したフラヴィオは、手に負えない野蛮な男だと思われていた。  一方、偽りの噂を耳にした強面公爵の母親。  妻に強さを求める息子にぴったりの相手だと、後妻にならないかと持ちかけていた。  我が子に爵位を継いで欲しいフラヴィオの義母は快諾し、冷遇確定の地へと前妻の子を送り出す。  こうして青春を謳歌することもできず、引きこもりになっていたフラヴィオは、国民から恐れられている戦場の鬼神の後妻として嫁ぐことになるのだが――。  同性婚が当たり前の世界。  女性も登場しますが、恋愛には発展しません。

婚約破棄されて捨てられた精霊の愛し子は二度目の人生を謳歌する

135
BL
春波湯江には前世の記憶がある。といっても、日本とはまったく違う異世界の記憶。そこで湯江はその国の王子である婚約者を救世主の少女に奪われ捨てられた。 現代日本に転生した湯江は日々を謳歌して過ごしていた。しかし、ハロウィンの日、ゾンビの仮装をしていた湯江の足元に見覚えのある魔法陣が現れ、見覚えのある世界に召喚されてしまった。ゾンビの格好をした自分と、救世主の少女が隣に居て―…。 最後まで書き終わっているので、確認ができ次第更新していきます。7万字程の読み物です。

キミと2回目の恋をしよう

なの
BL
ある日、誤解から恋人とすれ違ってしまった。 彼は俺がいない間に荷物をまとめて出てってしまっていたが、俺はそれに気づかずにいつも通り家に帰ると彼はもうすでにいなかった。どこに行ったのか連絡をしたが連絡が取れなかった。 彼のお母さんから彼が病院に運ばれたと連絡があった。 「どこかに旅行だったの?」 傷だらけのスーツケースが彼の寝ている病室の隅に置いてあって俺はお母さんにその場しのぎの嘘をついた。 彼との誤解を解こうと思っていたのに目が覚めたら彼は今までの全ての記憶を失っていた。これは神さまがくれたチャンスだと思った。 彼の荷物を元通りにして共同生活を再開させたが… 彼の記憶は戻るのか?2人の共同生活の行方は?

【完結・ルート分岐あり】オメガ皇后の死に戻り〜二度と思い通りにはなりません〜

ivy
BL
魔術師の家門に生まれながら能力の発現が遅く家族から虐げられて暮らしていたオメガのアリス。 そんな彼を国王陛下であるルドルフが妻にと望み生活は一変する。 幸せになれると思っていたのに生まれた子供共々ルドルフに殺されたアリスは目が覚めると子供の頃に戻っていた。 もう二度と同じ轍は踏まない。 そう決心したアリスの戦いが始まる。

処理中です...