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しおりを挟む「まだ体は回復しきってないから遠出はできないけど、元気になったらいろんなところへ行こう?ルイが行ってみたいところ、見てみたいもの、どんなところにだって連れて行くから。」
僕を布団に寝かしながらセドはこの世界のことをたくさん教えてくれた。
僕が本でしか読んだことのないこの世界は知らないことだらけで、文字や写真では色や形は分かっても匂いや味は分からないからすべてが新鮮に感じた。
見てみたいと思ってた海も本当にしょっぱいのか気になると言うと、今度一緒に行こうと言ってくれた。
セドはよく魔法も見せてくれた。ルーチェに魔法を使える人はほとんどいない。魔法師はいるが、数えられるほどしかいない。なのに、サベルクでは魔法を使えない人の方が少ないらしい。僕にも使えるのかな?と思っていると、サベルク以外の国の人は魔力があまりないので強い魔法は使えないが魔石という石を使い簡単な魔法なら使えるそうだ。
僕が1番好きなのはやっぱり変化魔法で、それを分かっているのかセドはよく鳥の姿になってくれる。
他にも目の前で水を操ったり火を出したり物を浮かせたりと僕がみたことのない魔法というものをたくさん見せてくれる。
そんな日々に楽しいと思っている自分がいた。こんなにワクワクしている自分に何よりも自分自身が1番驚いている。
「ルイ、今日はルイを養子にしてくれるアスバル夫婦が来るから僕と一緒に会ってくれる?」
「うん。」
養子、他人の子を自分の子とすること。
確か辞書にはそう書いてあったはずだ。
辞書でしか言葉を知ってこなかった僕には親子とか、家族とかの意味がまだいまいち分かっていない。
セドに言われ客間に向かっているが、僕はアスバル夫婦という人に何と言えばいいんだろうか。いや、声は出していいのか?セドは僕の声が好きだと言ってくれたが、他の人がどうかなんてわからないじゃないか。
まずい、僕は王様と王妃様の前でも少し話してしまった。こんな重大なことに今更気づいてしまった。
今日は話さない方が良さそうだ。セドと2人の時だけ、声を出して話すようにしよう。いやでも、セドも本当は僕の声が汚いと思っているかもしれない。
「よし、もうみんな決めるみたいだから開けるよ?」
「・・・」
「ルイ?緊張してる?」
「・・・」
僕が無言でいるから不思議そうな顔をしていたが頭を撫でてくれて、大丈夫だと言ってくれた。
セドが開けた扉の向こうには、ロマンスグレーの髪を靡かせた男性とスミレ色の目を持った女性、そして2人に似た若い男性と、金白に青い目をした綺麗な女性がいた。
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