【完結】18年間外の世界を知らなかった僕は魔法大国の王子様に連れ出され愛を知る

にゃーつ

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「・・・え?」

セドに言われた言葉がすぐには理解できなくて思わず聞き返した。

セドが僕に提案したのは、大きく2つ

・僕はルーチェに戸籍がないから、この国で新しい戸籍を作ること
・戸籍を作るのにあたり貴族の家の養子となること

「ルイにとってはいきなりこんなこと言われて驚くかもしれない。でも、僕はルイがあの国で酷い目に遭わされていると知った日からルイをこの国に連れてくるために、あの国にもう2度と返さないために動いていた。君のことが好きだから。」

「・・・」

「僕、前に言ったよね?僕のお嫁さんになってって。あれは本気だよ?ルイのことが好きで好きでたまらなくて、愛しくて、守りたくて、ずーっと一緒にいたい。ルイは僕のことどう思ってる?」

「・・・僕、は、、、」

セドはいつも近くにいてくれる。
誕生日のあの日、本当は見つかった瞬間に隠れなくちゃいけなかったのに月明かりに照らされ金色に輝く長めの髪や澄んだ青い目、1つ1つの動作、その全てから目が離せなかった。

似た色をした鳥にセドと名付けるくらいに彼のことを思ってた。彼のことを思い出していた。鳥を通してセドを見ていた。この気持ちの正体は、、、

「僕、、セドといたい。」

その言葉を自分の口から発するのが精一杯だった。たくさんの感情があって、他にも言葉にするべき気持ちはたくさんあるのに、一緒にいたい。その気持ちを伝えるだけで精一杯だった。

「うん、一緒にいよう。僕が誰よりもルイのことを愛すから。ルイが嫌になる程僕の愛をあげる。」

そう言って僕を優しく抱きしめてくれたセドの背中に怖気付きながらも手を回してみるとセドの腕の力が強くなった。

「ルイのことが好き。ルイの目も鼻も口もほっぺも髪の毛も、手も足も、ルイの声も。全部好き。全部が僕の宝物。」

「・・・うん。」

嬉しかった。僕の全部を認めてくれて嬉しかった。

「僕と生きてほしい。僕と、ずっとこの国で。」

「うん、一緒にいる。」

こんな僕でもいいのかな。僕幸せになっていいのかな、こんなに嬉しいこと起こっていいのかなってたくさん思うけど、でも、その不安な気持ちが小さく思えるくらいに今はセドへの気持ちが大きくて、この腕の中から抜け出したくなんてないって思ってる。

「セド、、好き。」

「本当?僕のこと好き?」

「うん。好き。」

「嬉しい、、。僕も好き、愛してる。」

好きって感情はセドが教えてくれた。
今日、セドの腕の中はどんな場所よりも安心する場所なんだって知った。



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