【完結】18年間外の世界を知らなかった僕は魔法大国の王子様に連れ出され愛を知る

にゃーつ

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セドはずっとそばにいてくれた。

まだ安静が必要らしい僕がベッドに寝ている時間がほとんどだからってこの部屋で公務をして毎日忙しそうに書類に目を通している。

そんな日々の中で僕自身の中に少し変化が起きていた。

セドの前だとあんなに抑えていた声も出すことができていた。長々と話すのは少し怖いけど、少しの受け答えはするようになっていた。

初めて会ったあの日からずっとセドに支えられていた。だからこそ、ここから離れた方がいいと思う。

でも、セドが近くにいるのが心地よくてここにいたいって思ってしまっている。

「ねえルイ?この国のこと学んでみる?」

セドが公務をしている中横になってばかりの僕にセドがそう提案してくれたので二つ返事で答えた。今さっき出ていくことを考えていたのに、、、。

学ぶことは好きだ。だって知識だけは奪われることはないから。

あの部屋の中で僕が唯一持っているものが知識だった。

セドはよく、欲しいものを聞いてくれる。食べたいもの、読みたい本、着たい服、他にもいろいろ。

数日一緒にいて話をするだけでも分かる。この人は僕のことをちゃんと1人の人間として大事にしてくれている。愛してるって言うのも嘘じゃないんだと思う。誕生日の日、セドに会った瞬間の自分自身の胸の高まりにだって気づいていた。ここに来てからも毎日ドキドキする鼓動の正体も気づいていた。

本で読んだことがある。恋っていうものだと思う。でも、僕がいると、、、。

セドが言ってたことは理解している。僕の国が少しおかしいのも分かってる。頭では分かっているけれど、18年間言われ続けた言葉は身に染み付いている。

どうすればいいのかわからなかった。でも、もうここが安心する場所になってきていて帰りたいとも言えずにいた。

「今日から普通の食事に戻していいそうだよ。今晩、僕の父と母と共に夕食を共にしてくれるかい?」

「・・・!?」

え、セドのご両親ってことは、、、

この国の国王とお妃様なんじゃ、、

「2人がルイに会いたいって。」

「僕、マナー、、、」

ある程度はアンナから教えてもらったが、それは8歳まで。国王様の前で食事ができるほどの作法僕にはできない。

「大丈夫だよ。正式な場じゃ無いし、フランクな感じだから。食事を楽しんでくれればそれでいいよ。ルイは苦手な食べ物とか好きな食べ物ある?」

「・・・無い。」

好きな食べ物とか、考えたことなかった。セドは、何が好きなんだろう。知りたいと思ってる自分がいた。

「・・・あの、、」

「うん?どうしたの?」

「セドの好きな食べ物は、なに?」

そう聞くと少し目を見開いて驚いているようだった。僕、嫌なこと聞いた?

「あ、ごめんなさ「聞いてくれてありがとう。僕のこと知りたいって思ってくれたの?嬉しい。・・・僕の好きな食べ物はラウイっていうこの国の伝統料理なんだ。お肉や野菜を煮込んでパイ生地に包んで焼き上げた料理。また今度一緒に食べよう?」

「うん、、教えてくれてありがとう。」

「あ、これだけは聞いとかなくちゃいけないんだ。ルイ、アレルギーはある?」

「・・・・・・な、い。」

「・・・、、わかった!じゃあ今晩の食事楽しみにしててね!」



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