【完結】18年間外の世界を知らなかった僕は魔法大国の王子様に連れ出され愛を知る

にゃーつ

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愛してる、、、?

愛されたいって思っていた。だって、本の中では家族は愛し愛されるものだから。でも、僕は愛されたこともないし愛したこともない。いきなり愛してるって言われてもわからない。

「ルーイ、ルイってば!」

ハッとしてセドの方を向く。太陽の下でキラキラ輝く金白の髪が綺麗で王子様って感じ。物語から飛び出してきたような王子様。

「あまり無理しない方がいいから部屋戻るからね?」

さっきまで横になっていた部屋にあっという間に戻り、少し抵抗はしたもののまた抱きかかえられてベッドへと降ろされた。

「ルイ、僕が鳥になってた時に話さないようにしてるって言ってたよね。僕の前ではルイが発したい言葉を好きなだけ話してね。僕はルイの声大好きだよ。ルイの声が耳に入るだけで胸がドキドキする。」

「・・・」

「少しずつでいいから僕と話して?それが何より嬉しいから。」

なんだか恥ずかしくなって、それに混乱もしてて布団を被る。人前でこんなことしない方がいいんだろうけど、この部屋はこれまで暗い部屋で過ごしてきた僕には明るすぎて、このくらいの暗さがちょうどいいんだ。

あの小窓より大きい窓なんて絵物語でしか見たことがない。眩しい太陽の光も、花も、図鑑の絵と文字の説明で理解していただけだ。なにもかもが一気に目に入ってきて何が何だかわからないんだ。

「ルイ?起きたらいきなり知らない場所にいて、何が何だかわからないかもしれないし、いきなりプロポーズしちゃったのも混乱させちゃったよね?ゆっくり普通の生活に慣れていって?でも、これだけは頭に入れておいて。僕は誰よりもルイの自由と幸せを願ってる。」

僕のこれまでは普通じゃない、、、。
それは、なんとなく分かっていた。でもそれは仕方のないことだ。僕が初子として生まれてきてしまったからなんだから。その考えでこれまで生きてきた。

僕が一言も発さないでいるとセドはまた後で来るね。と言って部屋を出て行った。

僕の頭の中はいっぱいいっぱいだった。
普通って何。

僕からしたら今の方が異常だ。

広い部屋に大きな窓がついててそこからキラキラと太陽の光が降り注いでいる。部屋の中には花が飾られていて窓から見える庭にもたくさんの花が咲いている。僕が何にも寝れそうなベッドもフカフカしていて気持ちいい。それになにより、僕を否定する言葉をセドは言わない。

そんなもの、これまでなかった。

きっとすぐにルーチェに戻ることになる。父上は僕の存在を誰にも知られたくなかったはずだから。
城に帰ったら怒られるだろうか。殴られるだろうか、食事が用意されずお腹を空かせるんだろうか、またエビを食べて苦しくなるんだろうか。

そう思いながら、セドが行った扉を見つめていることしかできなかった。






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