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しおりを挟む「まず、ルイが生まれてすぐ不作となったのは知っている?」
頷く。そう、僕が初子として生まれたから国はかなりの不作となり飢餓の被害も多かった。これは父上や母上に嫌になる程言い聞かされた。
「ルイが生まれる半年ほど前から植物がかかる病が大陸中に蔓延し始めてたんだ。各国の王はその対策に追われていた。その病にかかるとその年はもちろん、2~3年は土からも菌が抜けなくてね、2~3年の間は植物が死んでしまうという恐ろしい病だったんだ。人にはかからないが、作物が取れなくなり結果として人の命に関わる。だから、この国の王も対策を練っていたよ。サベルクでもその菌に感染しないように害のない農薬を作ったり、無菌で植物を育てられる施設を開発したりしたんだ。」
「・・・」
「だが君の父は何もしなかった。もうすぐ子が生まれるから、女の子が生まれれば国に幸福をもたらす。全て解決するんだってね。だから不作が起こり、飢餓の被害が出たんだよ。頭のいいルイなら理解できるね?生まれた子の性別なんかで政治をしようなんて間違ってるんだよ。あの国のルーチェ教は異様な考えが多すぎる。ルイは海外の本も読んでいたから少し疑問に思ったこともあったんじゃないか?僕はルーチェ教の考えを否定し続ける。ルイの人生自体を否定するんじゃない。ルイの人生に関わってきたあの考え方を否定する。」
「・・・・・・」
でもアンナは、僕の世話係をしていたから死んだ。そう聞かされた。
わからない。
「まだ混乱するだろうし、今すぐ納得しろなんて言わない。・・・よし!!息抜きしよう!ちょっと待ってて!!」
そういうとセドは部屋から出て行った。
誰かとこんなに長時間いることなんてアンナ以来だから、変な感じ。
「お待たせ!!」
椅子?変な形、、
「これはね、車椅子っていってこの国で開発されたものなんだ!、、よいしょっと、」
!?!?
セドがいきなり僕を抱え上げて椅子に下ろす。え、え?なに?
「大丈夫?苦しくない?体調悪くない??」
大丈夫という意味で頷くとセドは椅子の後ろに回った。なに?なんなの?
困っているといきなり椅子が動き出した。
「驚いた?これはね、病気の人や足が不自由な人が自由に移動できるように開発されたんだ。魔法を使えば1人でも動かせるしね!」
す、すごい。サベルクはどの国よりも発展していることは本で読んだけれど、ルーチェとここまで差があるんだ。
「ルイ、外に行こう?庭に連れて行ってあげる。」
そ、と?
外なんて、出たことない、、。
いつか出てみたいって思っていた。
っ!、、まぶし、、。
「どう?これが外だよ。あんな小さな小窓一つある部屋だけが君の世界じゃないんだ。」
なんだか怖くて俯いてしまう。
外に出たいとは思っていたけれど、出られる日が来るなんて、思っていなかったから、だから、、どんな反応していいのかわからない。どんな反応したら嫌われないのかがわからない。
目の前でセドがしゃがみ込む気配がした。
顔を上げるとニコニコした顔で
「改めまして、サベルク国第一王子のセドリック・シュワイツです。ルイをお嫁さんにもらいたいなって思ってます。」
お、お嫁、さん!?
---チュッ
お、おでこに、口、あてた、なに?なんか、怖い。
「ルイ、君のことが大好きだよ。誰よりも愛してる。だから僕のことも好きになってね。」
あ、いしてる、、、?
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