【完結】18年間外の世界を知らなかった僕は魔法大国の王子様に連れ出され愛を知る

にゃーつ

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泣いて心の内を話すルイを放っておけなくて、魔力がなくなるギリギリまでそばにいた。

ルイが泣き疲れて眠ってしまったので飛べるところまで飛んだ。

ルーチェの端までどうにか飛べたな。ここからは馬車で魔法陣のあるところまで行くか。



「セドリック様!?!?セドリック様ではありませんか!」

今最も会いたくない、つい先程までルイを傷つけていた女、第一王女ニナ。

「どうしてこちらに?」

「あ、あぁ、すこしお忍びで旅行をね。もう帰るところですので。」

女ではあるが殴り飛ばしたい衝動を抑えながら外向けの笑顔で対応する。
胸の内ではメラメラとこいつへの怒りが燃え盛る。

「こんなところでお会いできるだなんて感激だわ!!!これは運命だと思うの!!私、セドリック様に好意を抱いているのよ?ふふっ、ねぇ、お父様?私の婚約者はセドリック様がいいと思いませんこと?生まれて来る子供も絶対に美形に生まれるわ!」

僕が君の婚約者?国同士の差がこんなにも明らかなのに君の方からそう言うだなんてどれだけ失礼なことがわかっているのか?全く、親が親なら子も子だ。ルイと血が繋がっているとは思えないな。

「そうだな。可愛い愛娘のお願いは聞きたくなるもんだ。我が国としてもサベルクと友好を築けるとありがたいんだが、セドリック殿はいかがかな?旅行に来るぐらい我が国を気に入ってくれたのだろう?」

「こればかりは私の一存ではとても。この国を訪れたのはパーティーの際に城のデザインに感激しまして。そうだ。ぜひ今度城を見学させていただけませんか?あのデザインがとても気に入ったので。本日は公務もありますので失礼しますね。」

「ふふっ、セドリック様ったら、照れてるのね?お父様、今度セドリック様を城にご招待しましょう?」

「そうだな。ぜひ。では我々も今日は家族水入らずでのひと時を楽しみますので、これにて失礼いたします。」


本当に胸糞悪い連中だ。
一刻も早くこの場から立ち去りたかった。

家族水入らずでのひと時?血の繋がったルイを犠牲にしてて何が家族だ。

公務をしていても、食事中も、布団に入っても、ルイの泣き顔が脳裏に焼き付いて離れない。君を愛している人がここにいるんだって。そう伝えたい。

ルイに早く会いたい。

毎日のように通っていたが昨日魔力を使いすぎたせいで今日は行けなかった。

くそっ、こんな時に使えなくてどうするっ!!

ルイに初めてあってからもう8ヶ月も経っている。自分の無力さに嫌気がさす。

父が少しずつ調べ上げ動いてくれているようだが、まだまだ道のりは長い。

1日行けなかっただけでもこんなにも不安になるんだと初めて知った。
時間が空いた途端に飛び出す。

はやく、はやく。


彼の元へ急げ。




あの小窓には木が打ち付けられていて、中に入ることができぬようになっていた。


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