【完結】18年間外の世界を知らなかった僕は魔法大国の王子様に連れ出され愛を知る

にゃーつ

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少し外の空気を吸おうと会場から離れる。

どこなら1人になれるだろうか。
そう考えながら歩いていると、大きい庭が見えてきた。これは、かなり立派だな。

その庭で少しゆっくりしていると、城の端にある小窓から誰かが空を眺めているのが見えた。

綺麗な子だ。なぜか彼から目が離せなかった。見つめすぎたからだろうか。視線を感じて彼がこちらを見た。

目が合った瞬間、撃ち抜かれたような衝撃だった。
おそらく3階ぐらいの高さぐらい離れているにもかかわらず、僕の目には彼の姿がはっきりと映った。

目が合った瞬間かなり驚いた彼はすぐに顔を強張らせた。何かまずいことをしてしまったような顔だ。

何を聞いても首を振る彼。

言葉を発さない彼に僕は釘付けだった。

名をセドと言い残しその場を去った。



「セドリック様!どこへ行かれてたんですか。」

「ごめんごめん。ねぇレスター、この国の王族ってこの会場に全員いる?」

執事のレスターに問いかける。

「はい。王と妃はあちらの椅子に座っておられますし、第一王女は先程お会いしたニナ様18歳、第一王子があちらにいらっしゃるイオ様15歳、第二王子がその隣のユウリ様11歳、第二王女が妃様の横で乳母と共にいるレイラ様7歳でございます。王子、王女共にお2人ずつがこの国の王族でございます。」

ならば彼は?彼の瞳の色はこの国の王族の特徴である金色だったし、髪も栗色だった。

ちょっと探ってみるか。


パーティーから帰宅した僕に両親は

「どうだった?素敵な方と出会えた?」

そう聞いてきたから一言

「運命の相手と出会ったよ。」

そう答えた。母は詳しく聞きたそうだったが僕は多くは語らなかった。

レスターは根掘り葉掘り聞かれていたが、レスターにも話していないから3人には疑問が残ったままとなった。

彼の声が聞いてみたい。彼の名前が知りたい。僕の名を呼んで欲しい。

彼に触れてみたい。こう思ったのは初めてだった。





「セドリック様、頼まれていたものを調べてまいりました。」

「あぁ、ありがとう。」

レスターに頼んでいたのはここ20年間の政策や王族に関する情報だ。

18年前、第一王女が生まれた。
18年前から3年間、不作が続き飢餓の被害が出た、、。

最近の政策、、。


「ひどいな。言葉は悪いが無能じゃないか。」


「国民が貧しい思いをするのも仕方がないような政策ばかりです。しかしこの国には洗脳的な宗教がございますので、王族は神とされているのです。」

「ルーチェ教、か。王族は神。王族の初子は女であると恵みが持たされ、男であれば、天災が降りかかる。なんだ、このふざけた教え。全く理解ができない。」

「同感でございます。」

「なぁ、レスター、3時間ほど出かけてきていいか?」

「・・・そのぐらいでしたら、構いませんがどこにお出かけで?」

「・・・秘密だ。」

そう言い残し僕は鳥に変化し彼の元へと飛び立った。

私の得意とする魔法、変化魔法は4時間ほどこの鳥の姿を保つことができる。

国内の移動は僕の引いた魔法陣で一瞬だ。国の端からルーチェのあの城まで
全力で飛べば40分ほどで彼の元へ辿り着けるはずだ。


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