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円の価値

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 国際化時代と言っても島国の日本人は未だに生涯に数回の海外旅行以外は
英語も特に必要と感じないで日本で一生を過ごすことが多いであろう。
 しかし海外旅行が好きだったり仕事の関係でよく海外に行く人は実感して
いるはずだ。
「円の価値が随分下がってきた」
と。
 まずアメリカなどの先進国と比べると、ニューヨークやロンドン、パリな
どの主要都市と東京を比べると住宅事情は東京のほうが安価なほうである。
 ここ数年で東京中心部圏内の新築マンションの売り出し価格が高騰し続け
ているなかでもだ。
 さらに東京でも昼ご飯なら1000円もあれば丸の内や銀座であろうが十分に
足りる。
 立ち食いソバや日高屋だの、てんややケンタッキーやほっともっとでよけれ
ば1000円どころか500円ちょっとで十分足りることも多い。
 しかし海外の先進国主要都市ではランチを食べるなら最低の最低で1500円
はマストで普通に2000~3000円する。
 日本の有名なチェーン店で海外に展開している大戸屋やココイチなどは日本
では1000円以内のメニューが海外では普通に2000円や2500円するのだ。
 勿論ディナーも言うまでもない。
 そして賃貸を借りるにしても高すぎて日本人の平均給与450万程度ならば
まず間違いなく賃貸でも通勤圏内に住むのは無理だ。
 東京ならば千代田区や港区は難しいにしても足立区や葛飾区や江戸川区、
板橋区、練馬区、荒川区くらいなら十分、なんなら台東区や墨田区、北区、
大田区くらいでも家賃7万の1Kくらいで十分無理せずとも年収450万でやっ
てける賃貸物件はある。
 先進国だけでない。
 発展途上国・新興国であり日本から近隣で物価も安くて人気のある東南ア
ジア諸国でも物価が上昇し、タイでもフィリピンでもベトナムでもかつてほ
どの格差はなくなってきており、特にタイのバンコクやマレーシアのクアラ
ルンプールなど日本人の海外移住先の人気地である主要都市などの人気地区
では居住費や生活費が日本に肉薄してきている。
 
 だから私は日経平均が32000円だの33000円だのあたりで
「1990年代のバブル崩壊以降最高値」
などといったところでまだまだ世界のこの35年ほどの株価上昇水準に対して
物足りないと感じており、日本の貧乏化を感じてしまう。
 私個人も日本にしがらみがなくなれば暖かくて最近は医療なども充実し、
日本人仲間も多い東南アジアに移住するか~、と考えていたが少なくとも
経済的な面でのメリットはあまり旨味が無くなってきている。
 現在でそうだから15年後などはもっとわからない。
 
 私個人は2025年に日経平均40000円を試して2026年から暫くまた押し
戻されて38000円前後で調整しながら2030年には50000円を試す展開に
向かって行くと予想するが、そのくらいでなければ日本経済はおしまいだ
と危機感すら感じる。
 現在のマイナス金利が異常なのであって、例え1%としてもそのくらいの
銀行定期預金金利がつくくらいでないと正常であり、そのなかでも株価は
長期的には上がっていく流れを戻さないと日本は通貨価値だけでなく日本人
の経済的観念もデフレ感覚に汚染された貧乏化のままだと思ってます。

                         <完> 
 
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