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第68話 コレクション
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「へぇ~、今回は沖に出るんだ…」
「人数も多いですし、皆様の安全を考えるとさすがにビーチではどうかと思いまして…」
「ソフィアが考えてくれたんだからそれで良いよ」
レンタルだそうですが、大きな船のような乗り物を目の前にすると興味が湧きます。
現在ではヨットもNOGカーの一種らしく、停泊時に着水する時以外は海面上を飛行するそうです。
「玲、ヌーディストビーチじゃなくてごめんね」
「ビーチにいる方々に見せつけたかったですが、私もソフィア様の考えに同意しますよ。シャルル様、次の機会はぜひ…」
「ハハ…、そうだね…」
「もぅ、玲様ったらちゃっかり次の約束をされるんだから…。私も見せつけたかったですよ~」
「まぁまぁ、僕としてはあまりゲスい男性達の目には晒したくないんだけれどね」
玲とさくらに続いて皆が同じ様に言うのでそう答えておきます。
男性が僕一人なら絶対にまたしょうもない男性達に絡まれると思います。
「速くて気持ちが良いなぁ~!」
船型は船室から出ると速度が抑制されるそうですが、それでも体感速度は前々世で経験した感覚とは比べ物にならず、水面に接していないので波の影響もなく揺れたりしません。
船外には操縦席もあり、自動運転から手動にも切り替えられるようになっているようです。
「開放的ですね」
「こんな楽しみ方もあるのですね」
「文香と未央にも喜んでもらえて良かったよ」
ソフィア達かアイ達が前もって伝えていたのか、皆がスライムの服を着ていたので予想はしていましたが、既に全員が全裸になっています。
凄い光景だな…。
「シャルル様、一応予定していたポイントに着きました」
「ありがとう、ユーリ。じゃあ、のんびり日光浴したり泳ごうか。白夜、暑いのが苦手だって聞いていたけれど、日焼けしても治してあげるから安心してね」
「はい(×全員)」
「マスター、何かアクティビティはありませんか?」
「そうだな~」
昼食が済むと退屈なのか、マオがそう聞いてきます。
「じゃあ、海中散歩でもしてみようか!」
「海中散歩ですか!?」
「どうやって…?」
「あまり難しくはないと思うんだよね」
近くで聞いていた椿と好乃がすぐに反応しましたが、魔法が使える僕にとっては造作もないことです。
皆を船尾に集めると海面に桝状にした【結界】を配置します。
ソフィア達以外は指輪を渡してあるので【結界】も理解しており、興味深そうに見ています。
「皆、あの上に乗って」
僕の指示で皆が片足で踏面があることを確認してから乗り移りました。
「凄いですね~、【結界】でこんなことも…」
「板状にすれば水の上も歩けますよね!」
「「「「それもシャルル様の魔法ですか…」」」」
「小春の言うように確かに歩けるけれど、今回はちょっと違うよ。じゃあ、ちょっと足元に注意してね」
「「もしかしてご主人様(マスター)」」
「キャーッ(×全員)」
「「「落ちるぅ~」」」
「「海の中に入った~!?」」
「皆、落ち着いて、エレベーターのように床面が降下しているだけだから…」
床面が海の中に下がることによって側面の4面は透明の壁のようになり、天井面は一応空気穴として開けてある為空が見えています。
「凄い…(×全員)」
「海中水族館のようですね」
「ハハ…、クラリスの言うことが近いかも。望むのなら海底まで行けるかもね…」
床面を光らせ、酸素に気を付けながら深くしていきます。
「マスター、これなら沈没船を探せるのでは? お宝ゲットですよ」
「それは考えてもみなかったな…。でも、今はやめておくよ…」
よく考えればマイアミより東に行けば、あのバミューダ・トライアングルなのです。
海中散歩を堪能すると【結界】の床面を海面近くまで戻し、魔法で内側に温水を張り海面上で温水プールを楽しみます。
「ご主人様、船が近づいてきます!」
「えっ、こっちに? まさかぶつかりに来ていないよね?」
視界の中に同じ様な船がいるのは分かっていましたが、だだっ広い海で接近してくる意味が分かりません。
「何だか豪華そうな船ですね~」
「嫌な予感しかないな…。とりあえず皆はスライムで水着を…」
「ロバート様、大半が東洋人の様です」
「あなた達何ですか? いきなり…」
「(ロバート?)ソフィアの知人でもなさそうだね…」
黒服にサングラスの男性が僕達の船を見下ろしながらそんな事を言っています。
船の大きさは2倍近くありそうです。
「お前たち、ロバート様がお呼びだ。こちらへ上がって来てもらおう」
「嫌だけど」
「男は黙っていろ! 男はお前だけか?」
「そうですが…」
「ロバート様~、男は一人の様です」
(何だ、こいつら…)
この黒尽くめの男性は一々大きな声でロバートという者に報告しています。
「では、女だけこちらへ移動させろ」
「もしかして、あなたたちは誘拐組織…マフィアですか?」
「お前、ロバート様に向かって何を…」
「だったら、そのロバートの顔を見せろ! 見せられないのなら僕達にかまうな!」
僕が強くそう答えると黒尽くめの男性は一度引っ込みました。
今からでも船を出して魔法で妨害すればすぐに逃げられますがもう少し様子を見ます。
「私がロバートだ…」
「いきなり近づいてきて、用があるなら貴方がこちらに降りてきてください」
「お前、ロバート様に向かって…」
「よいよい…。確かに近づいたのは我々だな。では、お邪魔する…」
数分後、船体の側面に設けられた開口部が開くと先ほどのロバートと黒尽くめの男性が3人、そして予想外に10人の女性を引き連れて乗船してきました。
「小さい船だな…」
「だったら、13人も引き連れて乗ってこないでください」
「ハハ…、だからこちらに呼ぼうとしたのだが…」
「……、それで一体何の用なのですか? 私達は休暇で寛いでいるのです。できれば邪魔されたくはないのですが…」
「見るところ、君がそちらの女性達の主のようだね…」
「そうですね。全員パートナーですから…」
「ほぅ、それは予想外だったな…」
この若造にこれだけのパートナーが…?
「それで?」
「なに、この船で女性達が戯れていると部下が言うものでね。私のコレクションにふさわしいか見に来たのだよ」
「ふ~ん、要するにそちらの女性達は貴方のコレクションということですか…」
覗き見とは趣味が悪いな…。
「いかにも、美女揃いだと自負しておる」
「しかし、そちらも大半が東洋人系とはいえ勝るとも劣らないほどの美女達で驚きを禁じ得ないな…」
「失礼、明らかにこちらの方が勝っていると思いますが、もしそう思うのなら目がおかしいのでは…?」
「言うな若造。ハハ…、認めようじゃないか…」
「だからこそ単刀直入に言うがそちらの女性達を私に譲って欲しい…」
「ハァ? まさかとは思いましたが予想通りのことをおっしゃるのですね。大切なパートナーを譲る訳ないじゃないですか」
「私がそちらの女性達を譲ってくれと言えば譲ってくださるのですか?」
「ハハ…、交換ならしてやっても良いぞ」
「お断りです。あなたは女性達から愛されていないみたいですね…」
「もしかして、本当に攫ったとか弱みを握って脅しているのですか?」
ロバートの話に後ろで何とも言えない表情で佇んでいる女性達の目には精気が感じられません。
確かに美人なのにもったいない…。
「言うじゃないか…。私は気は長い方だけれどいつまでもニコニコはしていられないぞ」
「今度は脅しですか…。パターンですね」
黒尽くめの男性が前に立ち、ロバートの船から更に数人が姿を現します。
「どうとでも言うが良い、私たち以外に誰もいないこの海上で何ができる?」
「じゃあ、僕もあなたのコレクションを頂くことにしますよ」
「「「お前、何を言って…」」」
「お前たち、静かにしろ! そうだ、君の名前を聞いていなかったな。私はロバート・ボンビー、ボンビー家の者なのだが…」
「私はシャルル。貴方と違ってファミリーネームはありません。それに私は日本人なのでボンビー家と言われてもさっぱり…」
「シャルル様、ボンビー家はアメリカで100位以内に入る富豪です(ボソッ)」
「フフ…、そちらの女性は知っていたようだな…。抵抗せず譲った方が身のためだぞ」
「相手が誰であろうと関係ありませんよ。私も意外に強欲なのです」
「そうそう、こちらからも最後に聞いておきますが、そちらの船は所有されているのですか? こちらはレンタルなのですが…」
「ハハ…、やはりレンタルだったのか。船も保有できないのに美しい女性達を侍らせるとは分不相応だったな」
「お前達、シャルルとやらを痛めつけて女性達を確保、船も半壊にしてさしあげろ」
「「「ハッ!!」」」
「シャルル様…(×全員)」
「大丈夫だよ。アイとマオは皆と船を守って」
「お任せください!」
「マスター、メッタメタにしてやってください」
「ターッ」
「トーッ」
「ヤーッ」
(へっ…?)
ボクッ、ドカッ、バキッ…。
「おいおい、弱すぎだろ…」
「ロバートさん、僕もパートナー達にカッコいいところを見せたいから真剣に頼むよ」
「くそっ、他の者達、全員でこいつを始末しろ!」
「皆、今のうちに女性達を船内に保護してくれるかな?」
「はいっ(×全員)」
「シャルル、私のコレクションをどうするつもりだ…」
「譲ってくださるという事だったので…」
そうこうしているうちに更に12人の男性がこちらの船に乗り込んできます。
「フッフッフ…、3人ぐらい倒せても12人は無理だろう」
「あれ、ロバートさんは含まれていないの?」
「私が手を出すまでもない」
「情けないなぁ」
まぁ、どちらにせよ容赦はしないけれどな。
結果、12人を倒すのに3分も掛かってしまいました。
この場から女性達がいなくなったとたん武器を使ってくるのも姑息です。
まぁ、レーザー銃ぐらい何ともありませんが…。
「嘘だろ…、銃が利かないだと…」
「お前、まさか…異星人? 侵略者の操るリーマンなのか!?」
「正真正銘の人間だよ」
「さぁ、ロバートさんが最後だね」
「ちょ…ちょっと待て、わ…私の負けで良い」
「どういう意味かな? 【風刃】…」
バキッ、ボキッ、ドカッ!
「ふ…船に何をした!?」
「生ぬるいことを言うので船を破壊しているんだよ。“負けで良い”ってどういうこと? 【火壁】…」
ゴォォォォ~!
「あぁ、船体に火が…。やめてくれ~」
どうやって、火を付けたのだ…?
「だったら言い方があるよね?」
「……、負けを認めます。女性達は差し上げますから…」
「何を言っているの。勝ったら貰うのは最初に言っているじゃない」
「争いを吹っかけてきた慰謝料は…? 【雷撃】…」
ガラゴロ、ピシャ―――ッ!
「ヒィ~ッ、どうして私の船に稲妻が…」
「こんな不運もあるんだね…」
「それで…?」
「ご…500万ドルお支払いします」
「安過ぎ却下。僕を痛めつけてパートナー達を奪い、船まで壊そうとしたんだよ」
「僕達と新しく僕のモノとなった女性達を含め、それぞれに500万ドルだ!」
「そんな…、い…1億2500万ドルだって…」
「富豪なら安いものだろ? ほら早く判断しないと帰れなくなるぞ…。【風刃】…」
バキッ、ボキッ、グシャッ!
「あががが…、わか…分かりました。お…お支払いします」
「最後に言っておくよ。今後、女性をコレクションしていることが分かればボンビー家を潰すぞ!」
「は…はひぃ~」
とりあえず【意識操作】でロバートとボディーガード達の記憶から僕達のこと、コレクションにしていた女性達のことを消去し、後日、1億2500万ドルをバウアー家に届けるよう指示をしておきます。
振り込んでもらいたいところですが、記憶を操作しても記録が残っては面倒です。
もちろんバウアー家に報復が無いように、現金を運び込んだ後、更にその経緯や記憶も消去されるように操作をしておきました。
「ご主人様、終わりましたか?」
「うん、何とかね。まさかこんな事に巻き込まれるだなんてね…」
「アメリカは物騒ですね…」
「本当だよ」
「でもマスター、お宝ゲットではありませんが、美女をゲットしましたよ~」
「ハハ…ハ…、ロバートにはああ言ったけれど無理やりゲットするつもりはないけれどね」
「さて、床に転がっているロバート達を救命艇に放り込んだら女性達と話をするか」
残念ながらもうすぐ船は沈んでしまうことでしょう。
「人数も多いですし、皆様の安全を考えるとさすがにビーチではどうかと思いまして…」
「ソフィアが考えてくれたんだからそれで良いよ」
レンタルだそうですが、大きな船のような乗り物を目の前にすると興味が湧きます。
現在ではヨットもNOGカーの一種らしく、停泊時に着水する時以外は海面上を飛行するそうです。
「玲、ヌーディストビーチじゃなくてごめんね」
「ビーチにいる方々に見せつけたかったですが、私もソフィア様の考えに同意しますよ。シャルル様、次の機会はぜひ…」
「ハハ…、そうだね…」
「もぅ、玲様ったらちゃっかり次の約束をされるんだから…。私も見せつけたかったですよ~」
「まぁまぁ、僕としてはあまりゲスい男性達の目には晒したくないんだけれどね」
玲とさくらに続いて皆が同じ様に言うのでそう答えておきます。
男性が僕一人なら絶対にまたしょうもない男性達に絡まれると思います。
「速くて気持ちが良いなぁ~!」
船型は船室から出ると速度が抑制されるそうですが、それでも体感速度は前々世で経験した感覚とは比べ物にならず、水面に接していないので波の影響もなく揺れたりしません。
船外には操縦席もあり、自動運転から手動にも切り替えられるようになっているようです。
「開放的ですね」
「こんな楽しみ方もあるのですね」
「文香と未央にも喜んでもらえて良かったよ」
ソフィア達かアイ達が前もって伝えていたのか、皆がスライムの服を着ていたので予想はしていましたが、既に全員が全裸になっています。
凄い光景だな…。
「シャルル様、一応予定していたポイントに着きました」
「ありがとう、ユーリ。じゃあ、のんびり日光浴したり泳ごうか。白夜、暑いのが苦手だって聞いていたけれど、日焼けしても治してあげるから安心してね」
「はい(×全員)」
「マスター、何かアクティビティはありませんか?」
「そうだな~」
昼食が済むと退屈なのか、マオがそう聞いてきます。
「じゃあ、海中散歩でもしてみようか!」
「海中散歩ですか!?」
「どうやって…?」
「あまり難しくはないと思うんだよね」
近くで聞いていた椿と好乃がすぐに反応しましたが、魔法が使える僕にとっては造作もないことです。
皆を船尾に集めると海面に桝状にした【結界】を配置します。
ソフィア達以外は指輪を渡してあるので【結界】も理解しており、興味深そうに見ています。
「皆、あの上に乗って」
僕の指示で皆が片足で踏面があることを確認してから乗り移りました。
「凄いですね~、【結界】でこんなことも…」
「板状にすれば水の上も歩けますよね!」
「「「「それもシャルル様の魔法ですか…」」」」
「小春の言うように確かに歩けるけれど、今回はちょっと違うよ。じゃあ、ちょっと足元に注意してね」
「「もしかしてご主人様(マスター)」」
「キャーッ(×全員)」
「「「落ちるぅ~」」」
「「海の中に入った~!?」」
「皆、落ち着いて、エレベーターのように床面が降下しているだけだから…」
床面が海の中に下がることによって側面の4面は透明の壁のようになり、天井面は一応空気穴として開けてある為空が見えています。
「凄い…(×全員)」
「海中水族館のようですね」
「ハハ…、クラリスの言うことが近いかも。望むのなら海底まで行けるかもね…」
床面を光らせ、酸素に気を付けながら深くしていきます。
「マスター、これなら沈没船を探せるのでは? お宝ゲットですよ」
「それは考えてもみなかったな…。でも、今はやめておくよ…」
よく考えればマイアミより東に行けば、あのバミューダ・トライアングルなのです。
海中散歩を堪能すると【結界】の床面を海面近くまで戻し、魔法で内側に温水を張り海面上で温水プールを楽しみます。
「ご主人様、船が近づいてきます!」
「えっ、こっちに? まさかぶつかりに来ていないよね?」
視界の中に同じ様な船がいるのは分かっていましたが、だだっ広い海で接近してくる意味が分かりません。
「何だか豪華そうな船ですね~」
「嫌な予感しかないな…。とりあえず皆はスライムで水着を…」
「ロバート様、大半が東洋人の様です」
「あなた達何ですか? いきなり…」
「(ロバート?)ソフィアの知人でもなさそうだね…」
黒服にサングラスの男性が僕達の船を見下ろしながらそんな事を言っています。
船の大きさは2倍近くありそうです。
「お前たち、ロバート様がお呼びだ。こちらへ上がって来てもらおう」
「嫌だけど」
「男は黙っていろ! 男はお前だけか?」
「そうですが…」
「ロバート様~、男は一人の様です」
(何だ、こいつら…)
この黒尽くめの男性は一々大きな声でロバートという者に報告しています。
「では、女だけこちらへ移動させろ」
「もしかして、あなたたちは誘拐組織…マフィアですか?」
「お前、ロバート様に向かって何を…」
「だったら、そのロバートの顔を見せろ! 見せられないのなら僕達にかまうな!」
僕が強くそう答えると黒尽くめの男性は一度引っ込みました。
今からでも船を出して魔法で妨害すればすぐに逃げられますがもう少し様子を見ます。
「私がロバートだ…」
「いきなり近づいてきて、用があるなら貴方がこちらに降りてきてください」
「お前、ロバート様に向かって…」
「よいよい…。確かに近づいたのは我々だな。では、お邪魔する…」
数分後、船体の側面に設けられた開口部が開くと先ほどのロバートと黒尽くめの男性が3人、そして予想外に10人の女性を引き連れて乗船してきました。
「小さい船だな…」
「だったら、13人も引き連れて乗ってこないでください」
「ハハ…、だからこちらに呼ぼうとしたのだが…」
「……、それで一体何の用なのですか? 私達は休暇で寛いでいるのです。できれば邪魔されたくはないのですが…」
「見るところ、君がそちらの女性達の主のようだね…」
「そうですね。全員パートナーですから…」
「ほぅ、それは予想外だったな…」
この若造にこれだけのパートナーが…?
「それで?」
「なに、この船で女性達が戯れていると部下が言うものでね。私のコレクションにふさわしいか見に来たのだよ」
「ふ~ん、要するにそちらの女性達は貴方のコレクションということですか…」
覗き見とは趣味が悪いな…。
「いかにも、美女揃いだと自負しておる」
「しかし、そちらも大半が東洋人系とはいえ勝るとも劣らないほどの美女達で驚きを禁じ得ないな…」
「失礼、明らかにこちらの方が勝っていると思いますが、もしそう思うのなら目がおかしいのでは…?」
「言うな若造。ハハ…、認めようじゃないか…」
「だからこそ単刀直入に言うがそちらの女性達を私に譲って欲しい…」
「ハァ? まさかとは思いましたが予想通りのことをおっしゃるのですね。大切なパートナーを譲る訳ないじゃないですか」
「私がそちらの女性達を譲ってくれと言えば譲ってくださるのですか?」
「ハハ…、交換ならしてやっても良いぞ」
「お断りです。あなたは女性達から愛されていないみたいですね…」
「もしかして、本当に攫ったとか弱みを握って脅しているのですか?」
ロバートの話に後ろで何とも言えない表情で佇んでいる女性達の目には精気が感じられません。
確かに美人なのにもったいない…。
「言うじゃないか…。私は気は長い方だけれどいつまでもニコニコはしていられないぞ」
「今度は脅しですか…。パターンですね」
黒尽くめの男性が前に立ち、ロバートの船から更に数人が姿を現します。
「どうとでも言うが良い、私たち以外に誰もいないこの海上で何ができる?」
「じゃあ、僕もあなたのコレクションを頂くことにしますよ」
「「「お前、何を言って…」」」
「お前たち、静かにしろ! そうだ、君の名前を聞いていなかったな。私はロバート・ボンビー、ボンビー家の者なのだが…」
「私はシャルル。貴方と違ってファミリーネームはありません。それに私は日本人なのでボンビー家と言われてもさっぱり…」
「シャルル様、ボンビー家はアメリカで100位以内に入る富豪です(ボソッ)」
「フフ…、そちらの女性は知っていたようだな…。抵抗せず譲った方が身のためだぞ」
「相手が誰であろうと関係ありませんよ。私も意外に強欲なのです」
「そうそう、こちらからも最後に聞いておきますが、そちらの船は所有されているのですか? こちらはレンタルなのですが…」
「ハハ…、やはりレンタルだったのか。船も保有できないのに美しい女性達を侍らせるとは分不相応だったな」
「お前達、シャルルとやらを痛めつけて女性達を確保、船も半壊にしてさしあげろ」
「「「ハッ!!」」」
「シャルル様…(×全員)」
「大丈夫だよ。アイとマオは皆と船を守って」
「お任せください!」
「マスター、メッタメタにしてやってください」
「ターッ」
「トーッ」
「ヤーッ」
(へっ…?)
ボクッ、ドカッ、バキッ…。
「おいおい、弱すぎだろ…」
「ロバートさん、僕もパートナー達にカッコいいところを見せたいから真剣に頼むよ」
「くそっ、他の者達、全員でこいつを始末しろ!」
「皆、今のうちに女性達を船内に保護してくれるかな?」
「はいっ(×全員)」
「シャルル、私のコレクションをどうするつもりだ…」
「譲ってくださるという事だったので…」
そうこうしているうちに更に12人の男性がこちらの船に乗り込んできます。
「フッフッフ…、3人ぐらい倒せても12人は無理だろう」
「あれ、ロバートさんは含まれていないの?」
「私が手を出すまでもない」
「情けないなぁ」
まぁ、どちらにせよ容赦はしないけれどな。
結果、12人を倒すのに3分も掛かってしまいました。
この場から女性達がいなくなったとたん武器を使ってくるのも姑息です。
まぁ、レーザー銃ぐらい何ともありませんが…。
「嘘だろ…、銃が利かないだと…」
「お前、まさか…異星人? 侵略者の操るリーマンなのか!?」
「正真正銘の人間だよ」
「さぁ、ロバートさんが最後だね」
「ちょ…ちょっと待て、わ…私の負けで良い」
「どういう意味かな? 【風刃】…」
バキッ、ボキッ、ドカッ!
「ふ…船に何をした!?」
「生ぬるいことを言うので船を破壊しているんだよ。“負けで良い”ってどういうこと? 【火壁】…」
ゴォォォォ~!
「あぁ、船体に火が…。やめてくれ~」
どうやって、火を付けたのだ…?
「だったら言い方があるよね?」
「……、負けを認めます。女性達は差し上げますから…」
「何を言っているの。勝ったら貰うのは最初に言っているじゃない」
「争いを吹っかけてきた慰謝料は…? 【雷撃】…」
ガラゴロ、ピシャ―――ッ!
「ヒィ~ッ、どうして私の船に稲妻が…」
「こんな不運もあるんだね…」
「それで…?」
「ご…500万ドルお支払いします」
「安過ぎ却下。僕を痛めつけてパートナー達を奪い、船まで壊そうとしたんだよ」
「僕達と新しく僕のモノとなった女性達を含め、それぞれに500万ドルだ!」
「そんな…、い…1億2500万ドルだって…」
「富豪なら安いものだろ? ほら早く判断しないと帰れなくなるぞ…。【風刃】…」
バキッ、ボキッ、グシャッ!
「あががが…、わか…分かりました。お…お支払いします」
「最後に言っておくよ。今後、女性をコレクションしていることが分かればボンビー家を潰すぞ!」
「は…はひぃ~」
とりあえず【意識操作】でロバートとボディーガード達の記憶から僕達のこと、コレクションにしていた女性達のことを消去し、後日、1億2500万ドルをバウアー家に届けるよう指示をしておきます。
振り込んでもらいたいところですが、記憶を操作しても記録が残っては面倒です。
もちろんバウアー家に報復が無いように、現金を運び込んだ後、更にその経緯や記憶も消去されるように操作をしておきました。
「ご主人様、終わりましたか?」
「うん、何とかね。まさかこんな事に巻き込まれるだなんてね…」
「アメリカは物騒ですね…」
「本当だよ」
「でもマスター、お宝ゲットではありませんが、美女をゲットしましたよ~」
「ハハ…ハ…、ロバートにはああ言ったけれど無理やりゲットするつもりはないけれどね」
「さて、床に転がっているロバート達を救命艇に放り込んだら女性達と話をするか」
残念ながらもうすぐ船は沈んでしまうことでしょう。
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(※[両性向け]と言いたい...)
10歳のグランは家族の見守る中でスキル鑑定を行った。グランのスキルは【草】。草一本だけを生やすスキルに親は失望しグランの為だと言ってグランを捨てた。
親を恨んだグランはどこにもぶつける事の出来ない気持ちを全て自分のスキルにぶつけた。
同時刻、グランを捨てた家族の居る王都では『謎の笑い声』が響き渡った。その笑い声に人々は恐怖し、グランを捨てた家族は……──
※確認していないので二番煎じだったらごめんなさい。急に思いついたので書きました!
※「妻」に対する暴言があります。嫌な方は御注意下さい※
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇なろうにも上げています。
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