異世界から元の世界に派遣された僕は他の勇者たちとは別にのんびり暮らします【DNAの改修者ー外伝】

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第50話 諜報員2

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「030か…」

「はい、デーブ部長」

観光気分で日本に来ていても定期連絡はしないといけません。
コードナンバー030は私、031はフローラです。

「それで、どうだ。何か分かったか…?」

「本当に日本軍とは別の特殊部隊がいるのでしょうか? まだ確認できていません」

戦闘を知ってから向かっても日本国軍が戦闘後の処理をしているだけです。
もちろん現場に近づくことは出来ませんが…。

「そうか…。まぁ、その為の調査だからな…」
「ところで先日、CN国側で大規模な爆発などが観測された。上海及び南西部が主な爆発地域だったが何か心当たりはあるか?」

「そんな事が…? いえ、全く心当たりがありません」
「こちらではそれほど大規模な反攻作戦が行われた様子も有りませんよ」

現状では基本受け身で、侵略されたら対処するだけなのです。
敵地攻撃はよほど大がかりな準備が必要となるでしょう。

「そうか…、分かった。引き続き調査を頼む…」

反攻に伴う制裁の様なものがないとすると日本が何かした訳ではないのだろう。

「了解しました!」

「あっ、それから…」

「まだ何か…?」



「オリビア、デーブ部長は何だって?」

「調査の続行だって。それに上海あたりで大きな爆発がいくつかあったそうだよ。日本が何かしたのかって…ね」

「調査って言ってもね。侵略者は神出鬼没だからね~」

「どうする、フローラ?」
「総領事のエドガーさんが言っていたように関東地方には特殊部隊はいなかったようね」
「ニュースで報道されるのもグレイによるテロ被害ぐらいだし…」

日本では誘拐よりテロの方が多いようです。
リーマンが比較的多いみたいだからね…。

それに当然ながら侵略者による侵攻は国民の不安を煽らないように報道規制されています。
だから本国と違って情報にタイムラグがあり、侵攻地に向かうことが遅れてしまうのです。

「う~ん、観光を続けようよ。奇跡が起きないと特殊部隊なんて見られないよ。探そうとしても無駄だから…」

「そうよね~、じゃあ次は北海道でしばらく滞在してみましょう」

別に特殊部隊がいなければいないで問題もなさそうな気がします。
どうしてもという調査ならもっと経験豊富で優秀な調査員を送ったことでしょう。

「うん、飛ばされたと思っていたけれどのんびりできて最高の任務だね」

「そうそう、デーブ部長がフローラの事を気にしていたわよ」
「本国から遠くに飛ばされて、私に会えなくて寂しくしていないかってね…」

「うわっ、ゾッとする」
「やっぱり今回の任務はブレックスを断った腹いせだったのね」

「よく考えればハラスメントよね。証拠を集めれば解任できるかもよ…」
「今度の報告はフローラがしてみる?」
「本国に帰りたいって言えば帰してもらえるかもよ」

「冗談はやめてよね~」
「当分は命令に従って頑張っているってことにしておこうよ。側にいるわけじゃないんだし…。経費でバカンス、バカンス!」

「そうね、最初は極東って思ったけれど日本は良いところだからね」



XX XY



「シャルル様、アメリカに行っておられた間に上海及び南西部で大きな爆発がいくつも確認されたそうです」

「へぇ~、そうなんだ」

「各国から政府に日本が攻撃したのかと問い合わせがあったそうですよ」

「……、あっ…そう言えば…」

僕は七家会議の時に侵攻してきたタコに自壊命令をしたことをさくらに話します。

「そんなことまで可能なのですか!?」

「あまりにも煩わしくてね。タコが減れば良いかな~って」
「おそらく生物兵器の工場や宇宙船の一部が爆発したんだよ。そう指示したからね」

「では、シャルル様がグレイの様にタコを操って自爆テロを起こさせている訳ですね」

「うん、そういう事」

タコを操るのは効果があったようです。
これで他の勇者達も楽が出来れば喜んでくれることでしょう。
ビルマやレイア、セシルとマリーも京都へ来やすくなると思います。

「そうだ、この間セシル達が街で被害に合ってから思ったんだけれど、この“シャルルの眼”を試験的に飛ばしておくよ」

「これは一体…?」

真っ黒で小さな立方体です。

「写真や動画を自動で撮ってくれて監視カメラにも使える物だけれど、改良して異星人やグレイに乗っ取られているリーマンを判別できるようにしてみたんだ」
「それに【結界】も付与しておいたから、もし街で見つけたら【結界】で拘束させるよ。それなら自爆されても被害は少なく済むからね」

「凄いです…。それなら安心ですね」

「まぁ、本当はグレイを根絶出来れば良いんだけれどね」

探し出すことは容易ですが、対峙するまでは放っておくつもりです。



XX XY



「デーブ君、日本の調査は進んでいるか?」

「いえ、まだ特殊部隊は噂でしかありません」

「CN国側での大規模な爆発については?」

「はい、そちらは日本の敵地攻撃ではなかったようです」

「そうか…」
「今回、君の判断で030と031を日本へ派遣したそうだが…」

どうしてフローラ君を派遣したんだ…?
またブレックスをしたいと思ったのに…。

「は…はい、この機関では若い二人に経験を積んでもらおうと…」

くっ、ゲイル長官はフローラ君とブレックスをしたと噂を聞きます。
ブレックスはコミュニケーションの一つなので誰としても良いのですが、どうして私が断られたのか納得がいきません。
あの若いのに駄肉感のある豊満なボディを感じてみたかったのに…。

侵略者たちとの前線である日本にしばらく放り込めば本国に戻りたいと言ってくるだろうな…。

「ふ~ん、なるほど…」

フローラ君にブレックスを断られた腹いせだと周りからは聞こえてくるが…。

「まぁ、選任したのは君だ。君も一度は最前線の日本に行った方が良いかもな…」

「わ…私がですか!?」
「諜報員達を取りまとめる部長なのですよ」

「ハハ…、絶対でもないし今すぐにでもじゃない。030と031の調査次第でだ」
「経験を積ませているというのなら、デーブ君が指導してあげても良いだろう」

「そ、それは…。現場の事は同じ諜報員達に任せても…」

いや、私直々に日本に行ってフローラ君たちに指導すれば好感が上がってブレックスも…。

「デーブ君、まだ何も決めていないから気にしないでくれたまえ」

「は…はい…」
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