12 / 98
第12話 身体検査
しおりを挟む
久しぶりに対策本部の自分達の部屋に転移し、さくらのオフィスに向かうと、さくらが待ちわびたように飛び付いてきました。
「シャルル様~! なかなかこちらに来られないので心配しましたよ」
「今の生活拠点は宝条家だからね。緊急時でもないし…」
「ゆっくりお話し出来ないので寂しいですよ」
「さくらも宝条家に出入り出来るようになったじゃない。玲にパートナーになったと言ってね…」
「そ、それは…、申し訳ありません」
「だって玲様があまりに艶やかで若々しくて…。シャルル様、玲ってまさか…」
「そのせいで玲もパートナーにする事になったんだよ…」
「そ、そんな~」
シャルル様のパートナーになる為にはセックスをしていただくことが前提ですが、シャルル様に身体を洗っていただくと身体の疲れや弱っているところが無くなり、更に子宮が覚醒することで艶やかで若々しく変貌するそうです。
私の時はセックスをしてもらった後にパートナーにして欲しいとお願いしたのですよね…。
「そういえば桂司組は北海道に戻ったんだよね?」
「はい、でも近い内に別の勇者達が帰ってきますね」
「侵略者の事は他の勇者たちに任せて、僕達はゆっくり旅行したいから出来るだけ関わり合いたくないかな」
会うまでは興味もあったけれど、結局、あまり話すこともなかったし…。
「そんなぁ、シャルル様は私を置いて行くのですか~」
「温泉旅館の予約をいっぱいしますから~」
「さくら、そんな事をして大丈夫なの? 一応けっこう立場の上な公務員なんでしょ? 僕達ばかりに優遇して一緒に泊まるのは…。あぁ、予約だけなら問題ないか、支払いは自分ですれば…」
「さくらさん、権力の私物化で捕まるんじゃ…」
「仕事してる?」
「アイ様もマオ様もひどいです」
「私も法律上シャルル様のパートナーなのですからね」
「尚更まずいんじゃ…。それに勇者達って基本的に自分達が優遇されていないとすぐ拗ねるから…」
「ご主人様、仕方がないのでさくらさんにもスライム・リーマンを作って差し上げれば…」
「やっぱりそうしておいた方が良いか…。一応大切なパートナーだからね」
「大切だなんて、嬉しい~」
さくらを僕達の部屋へ連れて来ると裸になってもらい、スライムで全身の型を取ります。
それから【知能複製】で【AI】を作って、コントローラーの指輪を用意して…。
「はい、完成!」
「うそっ、私がもう一人…」
「さくらは僕のファースト・スライムを知っているでしょ?」
「はい、もちろんです」
「お尻を押さえて顔を赤くしない!」
「だって~、あんなに…」
「それで、これは同じように僕の魔法で作ったスライム・リーマンなんだよ」
起動用の指輪を見せ、【接続】【転移門】【結界】魔法の説明をしておきます。
「では、このリーマンが私と同じように勝手に行動を? それに転移魔法まで…」
「そういう事。まずは起動して【接続】して試してみれば?」
「そうですね」
さくらはリーマンを起動させると【接続】して司令室に向かわせました。
「凄いです。頭の中に司令室の中の様子がはっきりと…、私が思った事を話しています」
「今は本体のさくらがここでジッとしているから良いけれど、さくらが行動中に【接続】するのは少し慣れないとね」
「【接続】を止めれば、勝手に一宮さくらとして行動するよ。たぶん…」
まだ【知能複製】した【AI】がどこまで本人と同じように行動するのか分かっていませんが、玲や可憐さんにも特に問題は起きていません。
「ではこれで私はいつもシャルル様の側に…、【転移門】で宝条家にも一瞬で行けると言う訳ですね」
「スライム・リーマンは金属じゃないけれど、瞳は金で出来ているからね。虹彩も指紋も無いから施設の出入りなどには注意するように。指紋ぐらいならコピー出来るけれど…」
「そうでした。本部内にリーマンは入れませんからね。でも機械では無いので問題ないでしょう。瞳の大きさの金ぐらいはアクセサリーみたいなものですよ。指紋はあると助かります」
「まぁ、さくらがそう言うのなら良いけれど…、とりあえず服を着ようか…」
「もう~、シャルル様~。私は仕事に行っていますからこのままセックスをしてくださいよ~」
XX XY
「くふぅ~っ、スライムが気持ち良いです~」
両乳首と剥き出しになったクリが繋がって…。
「さくらさん、しっかり訓練してくださいね」
「ヤリ過ぎても治してあげますからね~」
「アイ様、マオ様…」
シャルル様のファースト・スライムの様にシャルル様に擬態する訳ではないそうですが、様々な“モード”で胸や女性器などの訓練が出来るようになっていて、使い方によっては自分で尿道や子宮口、お尻の穴も訓練できるそうです。
(ゴクリ…)
「ほどほどにね…」
セックスした後に本来の目的であったスライムを作り、さくらに装着させてみました。
今のスライムの【AI】は前世のパートナー達の使い方や経験も蓄積されていて、ありとあらゆる性技で女性を悦ばせる究極の魔道具なのです。
※スライム
前世で作ったスライム形状の魔道具。
見た目や質感はド〇クエ等ゲームに出てくるようなイメージで、平常時は手のひらサイズ。
マオが産み出していた属性石を瞳状に加工し、知能などを完全にコピーした【AI】の下、【接続】や【振動】、【変形】など様々な魔法が付与されています。
前世ではパートナー一人に付き一つが与えられており、パートナーの好みに応じて成長していました。
「あっ、忘れる所でした。シャルル様、今日の午後、皆さんに身体検査を受けていただくことになっています」
「どこも悪くないけれど…」
「これは政府の研究機関が異世界から戻って来られた勇者様達の調査という事になっているのです」
「皆さん身体能力が高く、魔力もお持ちですからね」
「それに勇者様達の中には異種族の方もおられますから…」
「なるほど…」
いずれ地球人が魔法を使えるように研究でもしているのかもしれないな…。
XX XY
「やぁさくら、久しぶり…って、さくらなの!?」
「もちろん私よ。かえでも元気にしていた? 前の勇者様達の検査以来ね」
「そ、そうだけど…、なんでそんなに若返ったみたいになっているのよ」
「フフ…、内緒」
「同期の私にも言えない事なの?」
「プライベートのことだから…ね」
「それよりほら、今日は5組目の勇者様達に来ていただいたんだから仕事してよね」
「もう、はぐらかして…」
「そ…それにしても今回の勇者様達は人間とは思えないほど美男美女の三人ね」
異性として、同性としても見蕩れてしまいます。
「私は吉岡かえでと言います。勇者様達の身体能力の研究をしている一人です」
「僕はシャルル。こちらはアイとマオです」
「シャルル様はハーフで、アイ様は外国の方みたいですね。マオ様はまさに東洋の美と言う感じです」
「一宮さんにも話していますが、私は異世界に生まれ変わったのでこんな容姿なのです。僕達は似ていませんが魂で結ばれている存在ですね」
「魂で結ばれているとは興味深いですね」
「ハハ…、一心同体みたいな感じです」
「はぁ~? では早速研究…、いえ、検査をさせていただきたいと思います。どうぞこちらへ」
「ちょっとさくら、あなたの検査もするからね!(ボソッ)」
「どうしてよ~(ボソッ)」
「どうもこうもおかしいでしょ。そんなに若返って…。私も勇者様の研究より若返りの研究をしようかしら。もう見えない所がボロボロなんだからね!(ボソッ)」
XX XY
僕達は検査用の衣服に着替えさせられると、かつてSF映画で観たようなコールドスリープ用のカプセルみたいな物に入り身体を調べられました。
現代ではこれに寝ているだけでほとんどの事が分かるそうです。
もちろん血液も採取されたのですが、最初は身体に注射針が刺さらなくて驚かれました。
特に危害だと感じてはいなかったのですが、改めて自動で防御されているのに気付きました。
僕達のDNAが調べられるのかな?
少し興味があります。
「シャルル様、アイ様、マオ様、お疲れ様でした」
「さくらの検査も長かったね」
「もう、かえでがしつこくて…。私の方が研究材料にされた気分です」
「そういえば、ギャラリーが多かったね。いつもああなの?」
「今回は特にですね。アイ様とマオ様は他の女性達とは美しさのレベルが違いますからね」
それにシャルル様の身体も食い入るように観ていました。
シャルル様ほど格好良くてたくましい男性を観る機会もそうありませんからね。
「フフ…、それにはさくらさんも含まれていますよ」
「マスターのパートナーですからね」
「お二人からそんな風に言っていただけると嬉しいですよ」
「では、着替えて検査結果を聞きに行きましょうか?」
「もう、検査結果が分かるの?」
「はい。ここは病院じゃなく研究機関ですから特に早いですが、一般の病院でも一時間ほどで分かりますね」
やはりこの世界の医療は進んでいるようです。
吉岡さんは僕達に検査報告をする為に部屋に入って来てから難しい顔をしています。
悪い所は無いはずなのですが、検査資料を見返しながらウ~ンと唸っているのです。
「かえで、検査結果はどうなの? 早く教えてよ。私達もさっさと帰りたいんだからね」
私まで検査を受ける事になって時間が掛かったわ…。
コホン…。
「そ、そうね、勇者様達もさくらも異常は無かったわ…」
「でも、全く異常がないことが異常なのよ」
他の勇者様達も健康だけれど何かしら注意点はあったのに…。
「どういうこと?」
「シャルル様達は文句の言いようもないほど完璧な身体をされているわ。DNAも性別や身体的特徴の違いしかないみたいで、検査機器が壊れているのかと思うほど三人の遺伝子はほぼ同じだったわ。シャルル様がおっしゃっていたまさに一心同体ね」
あまりに美しく完璧なDNAだったので精子と卵子を補完させていただきたいと思ったぐらいです。
さすがにここではそんな事は出来ませんが…。
でも、シャルル様の精子欲しい~。
他の検査員たちもそう思ったに違いありません。
特にシャルル様は異世界人の体質なのか男性器が異様に大きいみたいです。
集まって来ていた研究員たちも形を想像してワーワー、キャーキャーと騒いでいましたからね。
そして、三人には不明な塩基対も…。
とはいえ、転移した元日本人の勇者様達もDNAが地球人とは若干違っていたので不思議ではありません。
おそらくそこに力強さや魔力の有無が関係するのかもしれませんね。
種族の違う方達は未ださっぱりですが…。
「良かったですね皆様…」
「それで、問題はさくらの方よ」
「あなたにも全くと言っていいほど問題がないのよ。免疫機能やホルモンバランスも正常だったわ」
「見た目だけじゃなく中身まで本当に若返っていたのには疑問だわ。まるで10代よ」
でもなぜか大腸内に排泄物がほとんど無かったのよね…。
腸内洗浄でもしているのかしら。
「フフ…、良かったわ…」
身体が覚醒して生まれ変わったんですもの、シャルル様のおかげですね。
「吉岡さん、免疫疾患やホルモンバランスが異常な方って多いのですか?」
「そうですね。数十年前から病気になる原因はほぼそれですね。もちろん最終的な死因は脳や心臓の病気、癌などになりますが…」
「単体の癌なら簡単に治療も出来ますが、様々な病気に派生する免疫疾患やホルモンバランスの異常は気付いた時には手遅れになることもあるそうです」
「そうなのですか…」
玲の病気もありえた訳か…。
「フフ…、シャルル様達にはそんな心配は無さそうですけれどね」
XX XY
「おかえりなさい、シャルル様~」
「ただいま玲…様…」
僕が宝条家に帰ってくると急いで出迎えてくれました。
早速リーマンを使っているようです。
「フフ…、もう玲と呼び捨てて下さってかまわないのですよ」
「まぁ、本体にはそうさせてもらおうかな(ボソッ)」
「玲様、お邪魔します…」
「あら、一宮さんもご一緒ですか…?」
「ひどいですよ玲様…。私の方が先にシャルル様のパートナーになったんですからね」
「後も先もありませんわ。私が全身全霊を持ってシャルル様にお仕えしますから」
「それは私もです!」
くっ、若返られて本当に綺麗です。
「まぁまぁ、二人の気持ちは分かっているから…」
ムチュウ~。
夕食までリビングで寛いでいると不意ではありませんが、玲が僕の頬に手を添えてキスをしてきました。
「シャルル様、お待たせいたしました」
「うん、ただいま」
やっぱり玲本体はキスをしてくるようです。
「えっ、そこにいる玲様はリーマンだったのですか~!?」
「さくらにも作ってあげたじゃない…」
僕達は一度本部に寄ってから宝条家に帰ってきています。
さくらも一緒に来るためにリーマンを起動させてきたようです。
「本来ならリーマンはリモートですからね。同時に行動出来て本当に助かりますよ。それにゼロ・エネルギーですし」
そう言いながら玲はリーマンと入れ替わるように座ります。
「シャルル様、今日は何をなさっていたのですか?」
「身体検査に行ってきたんだよ」
研究機関で受けてきた事を話します。
「そうだったのですか。私も先日受け直したのですが、お医者様もありえないと驚いておられましたよ」
誤魔化すことが難しくて、国家機密だと強引に押し切りました。
「まぁ癌はともかく、免疫疾患やホルモン異常まで一晩で治ったのだから驚くよね」
「それもありますが若返っていたので…」
「シャルル様、今晩もお願いしますね」
「なっ、玲様、ずるいですよ」
「さくらは朝にしてあげたじゃない…。それにスライムもあげたでしょ」
「まずは“二つの球モード”で一日耐えられるくらいにならないとね」
「そ、それなら玲様だって…」
「じゃあ、今晩は玲とさくらと三人でお風呂からね。明日からはさっき言ったようにするから」
「そんなぁ~」
「シャルル様、“二つの球モード”とは何の事です…?」
「それは明日のお楽しみ」
二人に訓練として渡しておけばゆっくり旅行に出られそうです。
「シャルル様~! なかなかこちらに来られないので心配しましたよ」
「今の生活拠点は宝条家だからね。緊急時でもないし…」
「ゆっくりお話し出来ないので寂しいですよ」
「さくらも宝条家に出入り出来るようになったじゃない。玲にパートナーになったと言ってね…」
「そ、それは…、申し訳ありません」
「だって玲様があまりに艶やかで若々しくて…。シャルル様、玲ってまさか…」
「そのせいで玲もパートナーにする事になったんだよ…」
「そ、そんな~」
シャルル様のパートナーになる為にはセックスをしていただくことが前提ですが、シャルル様に身体を洗っていただくと身体の疲れや弱っているところが無くなり、更に子宮が覚醒することで艶やかで若々しく変貌するそうです。
私の時はセックスをしてもらった後にパートナーにして欲しいとお願いしたのですよね…。
「そういえば桂司組は北海道に戻ったんだよね?」
「はい、でも近い内に別の勇者達が帰ってきますね」
「侵略者の事は他の勇者たちに任せて、僕達はゆっくり旅行したいから出来るだけ関わり合いたくないかな」
会うまでは興味もあったけれど、結局、あまり話すこともなかったし…。
「そんなぁ、シャルル様は私を置いて行くのですか~」
「温泉旅館の予約をいっぱいしますから~」
「さくら、そんな事をして大丈夫なの? 一応けっこう立場の上な公務員なんでしょ? 僕達ばかりに優遇して一緒に泊まるのは…。あぁ、予約だけなら問題ないか、支払いは自分ですれば…」
「さくらさん、権力の私物化で捕まるんじゃ…」
「仕事してる?」
「アイ様もマオ様もひどいです」
「私も法律上シャルル様のパートナーなのですからね」
「尚更まずいんじゃ…。それに勇者達って基本的に自分達が優遇されていないとすぐ拗ねるから…」
「ご主人様、仕方がないのでさくらさんにもスライム・リーマンを作って差し上げれば…」
「やっぱりそうしておいた方が良いか…。一応大切なパートナーだからね」
「大切だなんて、嬉しい~」
さくらを僕達の部屋へ連れて来ると裸になってもらい、スライムで全身の型を取ります。
それから【知能複製】で【AI】を作って、コントローラーの指輪を用意して…。
「はい、完成!」
「うそっ、私がもう一人…」
「さくらは僕のファースト・スライムを知っているでしょ?」
「はい、もちろんです」
「お尻を押さえて顔を赤くしない!」
「だって~、あんなに…」
「それで、これは同じように僕の魔法で作ったスライム・リーマンなんだよ」
起動用の指輪を見せ、【接続】【転移門】【結界】魔法の説明をしておきます。
「では、このリーマンが私と同じように勝手に行動を? それに転移魔法まで…」
「そういう事。まずは起動して【接続】して試してみれば?」
「そうですね」
さくらはリーマンを起動させると【接続】して司令室に向かわせました。
「凄いです。頭の中に司令室の中の様子がはっきりと…、私が思った事を話しています」
「今は本体のさくらがここでジッとしているから良いけれど、さくらが行動中に【接続】するのは少し慣れないとね」
「【接続】を止めれば、勝手に一宮さくらとして行動するよ。たぶん…」
まだ【知能複製】した【AI】がどこまで本人と同じように行動するのか分かっていませんが、玲や可憐さんにも特に問題は起きていません。
「ではこれで私はいつもシャルル様の側に…、【転移門】で宝条家にも一瞬で行けると言う訳ですね」
「スライム・リーマンは金属じゃないけれど、瞳は金で出来ているからね。虹彩も指紋も無いから施設の出入りなどには注意するように。指紋ぐらいならコピー出来るけれど…」
「そうでした。本部内にリーマンは入れませんからね。でも機械では無いので問題ないでしょう。瞳の大きさの金ぐらいはアクセサリーみたいなものですよ。指紋はあると助かります」
「まぁ、さくらがそう言うのなら良いけれど…、とりあえず服を着ようか…」
「もう~、シャルル様~。私は仕事に行っていますからこのままセックスをしてくださいよ~」
XX XY
「くふぅ~っ、スライムが気持ち良いです~」
両乳首と剥き出しになったクリが繋がって…。
「さくらさん、しっかり訓練してくださいね」
「ヤリ過ぎても治してあげますからね~」
「アイ様、マオ様…」
シャルル様のファースト・スライムの様にシャルル様に擬態する訳ではないそうですが、様々な“モード”で胸や女性器などの訓練が出来るようになっていて、使い方によっては自分で尿道や子宮口、お尻の穴も訓練できるそうです。
(ゴクリ…)
「ほどほどにね…」
セックスした後に本来の目的であったスライムを作り、さくらに装着させてみました。
今のスライムの【AI】は前世のパートナー達の使い方や経験も蓄積されていて、ありとあらゆる性技で女性を悦ばせる究極の魔道具なのです。
※スライム
前世で作ったスライム形状の魔道具。
見た目や質感はド〇クエ等ゲームに出てくるようなイメージで、平常時は手のひらサイズ。
マオが産み出していた属性石を瞳状に加工し、知能などを完全にコピーした【AI】の下、【接続】や【振動】、【変形】など様々な魔法が付与されています。
前世ではパートナー一人に付き一つが与えられており、パートナーの好みに応じて成長していました。
「あっ、忘れる所でした。シャルル様、今日の午後、皆さんに身体検査を受けていただくことになっています」
「どこも悪くないけれど…」
「これは政府の研究機関が異世界から戻って来られた勇者様達の調査という事になっているのです」
「皆さん身体能力が高く、魔力もお持ちですからね」
「それに勇者様達の中には異種族の方もおられますから…」
「なるほど…」
いずれ地球人が魔法を使えるように研究でもしているのかもしれないな…。
XX XY
「やぁさくら、久しぶり…って、さくらなの!?」
「もちろん私よ。かえでも元気にしていた? 前の勇者様達の検査以来ね」
「そ、そうだけど…、なんでそんなに若返ったみたいになっているのよ」
「フフ…、内緒」
「同期の私にも言えない事なの?」
「プライベートのことだから…ね」
「それよりほら、今日は5組目の勇者様達に来ていただいたんだから仕事してよね」
「もう、はぐらかして…」
「そ…それにしても今回の勇者様達は人間とは思えないほど美男美女の三人ね」
異性として、同性としても見蕩れてしまいます。
「私は吉岡かえでと言います。勇者様達の身体能力の研究をしている一人です」
「僕はシャルル。こちらはアイとマオです」
「シャルル様はハーフで、アイ様は外国の方みたいですね。マオ様はまさに東洋の美と言う感じです」
「一宮さんにも話していますが、私は異世界に生まれ変わったのでこんな容姿なのです。僕達は似ていませんが魂で結ばれている存在ですね」
「魂で結ばれているとは興味深いですね」
「ハハ…、一心同体みたいな感じです」
「はぁ~? では早速研究…、いえ、検査をさせていただきたいと思います。どうぞこちらへ」
「ちょっとさくら、あなたの検査もするからね!(ボソッ)」
「どうしてよ~(ボソッ)」
「どうもこうもおかしいでしょ。そんなに若返って…。私も勇者様の研究より若返りの研究をしようかしら。もう見えない所がボロボロなんだからね!(ボソッ)」
XX XY
僕達は検査用の衣服に着替えさせられると、かつてSF映画で観たようなコールドスリープ用のカプセルみたいな物に入り身体を調べられました。
現代ではこれに寝ているだけでほとんどの事が分かるそうです。
もちろん血液も採取されたのですが、最初は身体に注射針が刺さらなくて驚かれました。
特に危害だと感じてはいなかったのですが、改めて自動で防御されているのに気付きました。
僕達のDNAが調べられるのかな?
少し興味があります。
「シャルル様、アイ様、マオ様、お疲れ様でした」
「さくらの検査も長かったね」
「もう、かえでがしつこくて…。私の方が研究材料にされた気分です」
「そういえば、ギャラリーが多かったね。いつもああなの?」
「今回は特にですね。アイ様とマオ様は他の女性達とは美しさのレベルが違いますからね」
それにシャルル様の身体も食い入るように観ていました。
シャルル様ほど格好良くてたくましい男性を観る機会もそうありませんからね。
「フフ…、それにはさくらさんも含まれていますよ」
「マスターのパートナーですからね」
「お二人からそんな風に言っていただけると嬉しいですよ」
「では、着替えて検査結果を聞きに行きましょうか?」
「もう、検査結果が分かるの?」
「はい。ここは病院じゃなく研究機関ですから特に早いですが、一般の病院でも一時間ほどで分かりますね」
やはりこの世界の医療は進んでいるようです。
吉岡さんは僕達に検査報告をする為に部屋に入って来てから難しい顔をしています。
悪い所は無いはずなのですが、検査資料を見返しながらウ~ンと唸っているのです。
「かえで、検査結果はどうなの? 早く教えてよ。私達もさっさと帰りたいんだからね」
私まで検査を受ける事になって時間が掛かったわ…。
コホン…。
「そ、そうね、勇者様達もさくらも異常は無かったわ…」
「でも、全く異常がないことが異常なのよ」
他の勇者様達も健康だけれど何かしら注意点はあったのに…。
「どういうこと?」
「シャルル様達は文句の言いようもないほど完璧な身体をされているわ。DNAも性別や身体的特徴の違いしかないみたいで、検査機器が壊れているのかと思うほど三人の遺伝子はほぼ同じだったわ。シャルル様がおっしゃっていたまさに一心同体ね」
あまりに美しく完璧なDNAだったので精子と卵子を補完させていただきたいと思ったぐらいです。
さすがにここではそんな事は出来ませんが…。
でも、シャルル様の精子欲しい~。
他の検査員たちもそう思ったに違いありません。
特にシャルル様は異世界人の体質なのか男性器が異様に大きいみたいです。
集まって来ていた研究員たちも形を想像してワーワー、キャーキャーと騒いでいましたからね。
そして、三人には不明な塩基対も…。
とはいえ、転移した元日本人の勇者様達もDNAが地球人とは若干違っていたので不思議ではありません。
おそらくそこに力強さや魔力の有無が関係するのかもしれませんね。
種族の違う方達は未ださっぱりですが…。
「良かったですね皆様…」
「それで、問題はさくらの方よ」
「あなたにも全くと言っていいほど問題がないのよ。免疫機能やホルモンバランスも正常だったわ」
「見た目だけじゃなく中身まで本当に若返っていたのには疑問だわ。まるで10代よ」
でもなぜか大腸内に排泄物がほとんど無かったのよね…。
腸内洗浄でもしているのかしら。
「フフ…、良かったわ…」
身体が覚醒して生まれ変わったんですもの、シャルル様のおかげですね。
「吉岡さん、免疫疾患やホルモンバランスが異常な方って多いのですか?」
「そうですね。数十年前から病気になる原因はほぼそれですね。もちろん最終的な死因は脳や心臓の病気、癌などになりますが…」
「単体の癌なら簡単に治療も出来ますが、様々な病気に派生する免疫疾患やホルモンバランスの異常は気付いた時には手遅れになることもあるそうです」
「そうなのですか…」
玲の病気もありえた訳か…。
「フフ…、シャルル様達にはそんな心配は無さそうですけれどね」
XX XY
「おかえりなさい、シャルル様~」
「ただいま玲…様…」
僕が宝条家に帰ってくると急いで出迎えてくれました。
早速リーマンを使っているようです。
「フフ…、もう玲と呼び捨てて下さってかまわないのですよ」
「まぁ、本体にはそうさせてもらおうかな(ボソッ)」
「玲様、お邪魔します…」
「あら、一宮さんもご一緒ですか…?」
「ひどいですよ玲様…。私の方が先にシャルル様のパートナーになったんですからね」
「後も先もありませんわ。私が全身全霊を持ってシャルル様にお仕えしますから」
「それは私もです!」
くっ、若返られて本当に綺麗です。
「まぁまぁ、二人の気持ちは分かっているから…」
ムチュウ~。
夕食までリビングで寛いでいると不意ではありませんが、玲が僕の頬に手を添えてキスをしてきました。
「シャルル様、お待たせいたしました」
「うん、ただいま」
やっぱり玲本体はキスをしてくるようです。
「えっ、そこにいる玲様はリーマンだったのですか~!?」
「さくらにも作ってあげたじゃない…」
僕達は一度本部に寄ってから宝条家に帰ってきています。
さくらも一緒に来るためにリーマンを起動させてきたようです。
「本来ならリーマンはリモートですからね。同時に行動出来て本当に助かりますよ。それにゼロ・エネルギーですし」
そう言いながら玲はリーマンと入れ替わるように座ります。
「シャルル様、今日は何をなさっていたのですか?」
「身体検査に行ってきたんだよ」
研究機関で受けてきた事を話します。
「そうだったのですか。私も先日受け直したのですが、お医者様もありえないと驚いておられましたよ」
誤魔化すことが難しくて、国家機密だと強引に押し切りました。
「まぁ癌はともかく、免疫疾患やホルモン異常まで一晩で治ったのだから驚くよね」
「それもありますが若返っていたので…」
「シャルル様、今晩もお願いしますね」
「なっ、玲様、ずるいですよ」
「さくらは朝にしてあげたじゃない…。それにスライムもあげたでしょ」
「まずは“二つの球モード”で一日耐えられるくらいにならないとね」
「そ、それなら玲様だって…」
「じゃあ、今晩は玲とさくらと三人でお風呂からね。明日からはさっき言ったようにするから」
「そんなぁ~」
「シャルル様、“二つの球モード”とは何の事です…?」
「それは明日のお楽しみ」
二人に訓練として渡しておけばゆっくり旅行に出られそうです。
10
お気に入りに追加
137
あなたにおすすめの小説
チートな嫁たちに囲まれて異世界で暮らしています
もぶぞう
ファンタジー
森でナギサを拾ってくれたのはダークエルフの女性だった。
使命が有る訳でも無い男が強い嫁を増やしながら異世界で暮らす話です(予定)。
最底辺の落ちこぼれ、実は彼がハイスペックであることを知っている元幼馴染のヤンデレ義妹が入学してきたせいで真の実力が発覚してしまう!
電脳ピエロ
恋愛
時野 玲二はとある事情から真の実力を隠しており、常に退学ギリギリの成績をとっていたことから最底辺の落ちこぼれとバカにされていた。
しかし玲二が2年生になった頃、時を同じくして義理の妹になった人気モデルの神堂 朱音が入学してきたことにより、彼の実力隠しは終わりを迎えようとしていた。
「わたしは大好きなお義兄様の真の実力を、全校生徒に知らしめたいんです♡ そして、全校生徒から羨望の眼差しを向けられているお兄様をわたしだけのものにすることに興奮するんです……あぁんっ♡ お義兄様ぁ♡」
朱音は玲二が実力隠しを始めるよりも前、幼少期からの幼馴染だった。
そして義理の兄妹として再開した現在、玲二に対して変質的な愛情を抱くヤンデレなブラコン義妹に変貌していた朱音は、あの手この手を使って彼の真の実力を発覚させようとしてくる!
――俺はもう、人に期待されるのはごめんなんだ。
そんな玲二の願いは叶うことなく、ヤンデレ義妹の暴走によって彼がハイスペックであるという噂は徐々に学校中へと広まっていく。
やがて玲二の真の実力に危機感を覚えた生徒会までもが動き始めてしまい……。
義兄の実力を全校生徒に知らしめたい、ブラコンにしてヤンデレの人気モデル VS 真の実力を絶対に隠し通したい、実は最強な最底辺の陰キャぼっち。
二人の心理戦は、やがて学校全体を巻き込むほどの大きな戦いへと発展していく。
俺だけに効くエリクサー。飲んで戦って気が付けば異世界最強に⁉
まるせい
ファンタジー
異世界に召喚された熱海 湊(あたみ みなと)が得たのは(自分だけにしか効果のない)エリクサーを作り出す能力だった。『外れ異世界人』認定された湊は神殿から追放されてしまう。
貰った手切れ金を元手に装備を整え、湊はこの世界で生きることを決意する。
母親に家を追い出されたので、勝手に生きる!!(泣きついて来ても、助けてやらない)
いくみ
ファンタジー
実母に家を追い出された。
全く親父の奴!勝手に消えやがって!
親父が帰ってこなくなったから、実母が再婚したが……。その再婚相手は働きもせずに好き勝手する男だった。
俺は消えた親父から母と頼むと、言われて。
母を守ったつもりだったが……出て行けと言われた……。
なんだこれ!俺よりもその男とできた子供の味方なんだな?
なら、出ていくよ!
俺が居なくても食って行けるなら勝手にしろよ!
これは、のんびり気ままに冒険をする男の話です。
カクヨム様にて先行掲載中です。
不定期更新です。
豪華地下室チートで異世界救済!〜僕の地下室がみんなの憩いの場になるまで〜
自来也
ファンタジー
カクヨム、なろうで150万PV達成!
理想の家の完成を目前に異世界に転移してしまったごく普通のサラリーマンの翔(しょう)。転移先で手にしたスキルは、なんと「地下室作成」!? 戦闘スキルでも、魔法の才能でもないただの「地下室作り」
これが翔の望んだ力だった。
スキルが成長するにつれて移動可能、豪華な浴室、ナイトプール、釣り堀、ゴーカート、ゲーセンなどなどあらゆる物の配置が可能に!?
ある時は瀕死の冒険者を助け、ある時は獣人を招待し、翔の理想の地下室はいつのまにか隠れた憩いの場になっていく。
※この作品は小説家になろう、カクヨムにも投稿しております。
攫われた転生王子は下町でスローライフを満喫中!?
伽羅
ファンタジー
転生したのに、どうやら捨てられたらしい。しかも気がついたら籠に入れられ川に流されている。
このままじゃ死んじゃう!っと思ったら運良く拾われて下町でスローライフを満喫中。
自分が王子と知らないまま、色々ともの作りをしながら新しい人生を楽しく生きている…。
そんな主人公や王宮を取り巻く不穏な空気とは…。
このまま下町でスローライフを送れるのか?
異世界転生!俺はここで生きていく
おとなのふりかけ紅鮭
ファンタジー
俺の名前は長瀬達也。特に特徴のない、その辺の高校生男子だ。
同じクラスの女の子に恋をしているが、告白も出来ずにいるチキン野郎である。
今日も部活の朝練に向かう為朝も早くに家を出た。
だけど、俺は朝練に向かう途中で事故にあってしまう。
意識を失った後、目覚めたらそこは俺の知らない世界だった!
魔法あり、剣あり、ドラゴンあり!のまさに小説で読んだファンタジーの世界。
俺はそんな世界で冒険者として生きて行く事になる、はずだったのだが、何やら色々と問題が起きそうな世界だったようだ。
それでも俺は楽しくこの新しい生を歩んで行くのだ!
小説家になろうでも投稿しています。
メインはあちらですが、こちらも同じように投稿していきます。
宜しくお願いします。
高校では誰とも関わらず平穏に過ごしたい陰キャぼっち、美少女たちのせいで実はハイスペックなことが発覚して成りあがってしまう
電脳ピエロ
恋愛
中学時代の経験から、五十嵐 純二は高校では誰とも関わらず陰キャぼっちとして学校生活を送りたいと思っていた。
そのため入学試験でも実力を隠し、最底辺としてスタートした高校生活。
しかし純二の周りには彼の実力隠しを疑う同級生の美少女や、真の実力を知る謎の美人教師など、平穏を脅かす存在が現れ始め……。
「俺は絶対に平穏な高校生活を守り抜く」
そんな純二の願いも虚しく、彼がハイスペックであるという噂は徐々に学校中へと広まっていく。
やがて純二の真の実力に危機感を覚えた生徒会までもが動き始めてしまい……。
実力を隠して平穏に過ごしたい実はハイスペックな陰キャぼっち VS 彼の真の実力を暴きたい美少女たち。
彼らの心理戦は、やがて学校全体を巻き込むほどの大きな戦いへと発展していく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる