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第8話 初陣

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若干誤差はあったものの、【世界応答】で小浜に転移した僕達はワラワラと群れて進行してくるその醜悪な侵略者達に目を細めます。

(最前がG、中間に人型、最後尾にタコか…)

約1万として、6:3:1の割合のようです。

(それにしても、司令室の映像で見ていたよりも、タコもGも大きく感じるな…)

タコの大きさは2m以上あるようで、体表は光学迷彩のように常に変化しています。

Gなんか大きくなって眼も分かるし、触覚が武器になっているようです。
もしかしたら人間を切断したり食べたりするのかもな…。

黒い絨毯に見えるそれらの移動速度は確かに早くて、カサカサ・シャカシャカと音がするのが気持ち悪いです。

「「ご主人様(マスター)、どうしますか?」」

「そうだな、とりあえず街への侵入を阻止しておこう。アイとマオは【火壁】で侵入を阻止し、Gは出来るだけ消滅させるようにお願いするよ。人型は一宮さんが言っていたように頭部や心臓を破壊、一応人型が持つ近代兵器には気を付けてね」

僕は自動的に防御されますが、二人の為に【魔力盾マジック・シールド】の魔法を創っておきます。

「僕は最後尾のタコ側から攻めるから、挟み撃ちにする感じで行こう」

「「はいっ」」



結果…、約30分ほどで敵を殲滅しました。

アイとマオは【火壁】で包囲すると、Gには【氷結】で動きを止めた後【雷撃】で消滅させ、人型には【風刃】や【火矢】で処分していきました。

まさかGが連帯飛行していたのには驚きましたが、それも【氷矢】で無難に対処していました。
一般人なら見ただけで失神しそうです。

僕はと言うと、タコの上空に【飛行】し【火球】攻めにしてやりました。
大概は焼き尽くされて溶けていきましたが、逃げようとしたタコには同じように【氷結】で動けなくしてから【雷撃】を打ち込んで殲滅しています。

タコは人類の言語を理解しているのか命乞いをしてきましたが、気持ち悪いので問答無用で完全消滅です。



XX XY



「一宮指令、シャルル組の皆さんが…」

「凄いわね…。まるで戦闘をしているように見えなかったわ」

取り囲んで一方的な蹂躙。
1万を3人でいとも簡単に…。
桂司組はまだ戦闘中だって言うのに…。

やはり侵略者達には武器やスキルによる攻撃よりも、広範囲の攻撃魔法が有効のようです。
さすが私の最愛の御方です。
お戻りになられたら癒して差し上げないと…。



「ただいま~」

「シャルル様~、映像で見ていました。アイ様とマオ様も凄かったです」

「所詮Gと人間、それに軟体生物だからね。最後は焼却するのが一番だよ」

多少人型を【風刃】で切り刻んでしまった為、焼却するのに手間が掛かってしまったのが反省点です。

「さて、シャルル様、お疲れでしょうから今日もどこか温泉旅館を予約しておきましょうか?(ボソッ)」

「それは嬉しいね。でも桂司組が帰ってくるんじゃ…」

映像では残り1/3程度になっているようです。

「大丈夫ですよ。彼らは魔力を使い切りますからこちらに転移で戻って来られません。おそらく彼らは現地で一泊してくるでしょう」

「そうなんだ…。じゃあ、宿はさくらに任せるよ(ボソッ)」

人前では名前で呼べませんが、僕達の中では名前で呼んで欲しいと言われています。

「はいっ。ちょうどお昼時ですから昼食でもどうぞ…」



XX XY



A:「一宮指令は?」

B:「自分のオフィスに戻られたわよ」

A:「えっ、まだ桂司組が戦闘中なのに?」

C:「それより一宮指令の変貌に驚いたわよ」

D:「結局、はぐらかされたままだものね」

C:「羨ましいわ~。どこか新しいエステでも出来たのかしら?」

E:「エステであんなに変わる訳ないじゃない。そんなお店があれば私も…」

F:「カスタムでもないよね…?」

G:「それにしても、一宮指令シャルルさんにベタベタよね~。様付けだし…」

D:「そうね、あんな指令見た事が無いわ。確か『共生婚』しているパートナーがいたわよね」

H:「私もシャルルならパートナーになってみたいわ~。一度ブレックスして下さらないかしら」

I:「馬鹿ね、シャルル様は勇者なのよ」

H:「だからこそよ~、勇者様とのブレックスってどんな感じかなぁ」

I:「気が多いわね~。一体これまで何人とブレックスしているのやら…。桂司君達にしてもらえば良いじゃない」

H:「あの三人は無理。子供、脳筋、陰険よ…。精神が持たないわ…」

E:「だよね…」

B:「他にも男性の勇者様達がいるじゃない」

H:「それも無理。シャルル様以外の勇者は自己中で横柄なのよねぇ。女性を変な目で見る者もいるし…」

A:「それには同意! 身体は大人でも頭の中は子供だよね。一体どんな世界にいたんだろうね…」

J:「先輩達、桂司組の戦闘が終わりそうですよ」

C:「桂司組の今晩の宿の手配をお願いね。スタンダードで良いから。戦闘終了の連絡が来たら伝えてあげて」

J:「はいっ」
(シャルルかぁ~。まだお話し出来ていませんが、本当に格好良くてたくましい男性ですよね…)



XX XY



「おいっ、本当か!?」

「どうしたんだ桂司、急に大声で…」

「あの後、シャルル達が出陣したそうだ。俺達が向かった舞鶴が囮で小浜にも1万現れたそうだ」

「小浜に1万!?」

「こっちと同じだな…」

「曜介、何を言っているんだ。小浜には日本軍は常駐していないんだぞ」

「じゃあ、もしかして…」

「あぁ、シャルル達三人で殲滅したらしい。それも30分ほどでだ…」

「「なっ…!?」」

「更に驚くことに、戦闘が終了すると転移で既に本部に帰っているらしい」

「すっご~い、シャルル様達の魔力はどれほどなのかな…?」

(くそっ)

同じ魔術師のすみれにしてみたら最早様付けは当然か…。
言い返せない…。

「どんな戦闘だったのか聞いてみたい所ね」

三人とも攻撃魔法が使えるなら私達より効率が良いのも頷けます。

「とりあえず宿に向かうか…」

「「賛成~!」」



「それにしても、今回の部屋も普通だよなぁ~。俺達は勇者なのに…」

「馬鹿ね、一人年間3000万も貰っているのよ。グレードアップは個人の自由ってことでしょ」

「由佳、それって多いのか? 俺達勇者じゃないとタコやGは簡単に殲滅できないんだぞ。前の世界じゃ一回の魔物討伐で1千万程度は簡単だったのにな…」

「こっちは魔物もいない成熟した世界なんだから、価値観の違いね…」

「私はちょっと良い部屋にしようかな~。温泉付き客室ってね」

日本に帰ってきてから戦闘があった後はオナニーしたくなるのよね。
由佳には言えないけど…。

「私もすみれと同じ温泉付きにするよ」

「……、男は長湯なんてしないからな…」

「だったら普通の部屋で良いじゃない。桂司はほんと面倒くさいわね…」

「由佳、酷いな…。陽介何か言ってやれよ…」

「いや、今のは桂司が悪いだろ」

「……」
コクコク…。

(博~、喋れよ~)
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